同性パートナーは現行法上「配偶者」ではなく、法定相続人にも該当しません。
しかし、遺言書による遺贈や死亡保険金の受取りがあれば、相続税の申告義務が発生します。
そして異性婚のケースの相続とは異なり、同性パートナーの相続には税務上不利な点も多いため、相続税申告の流れを理解しておくことが重要です。
この記事では、同性カップルが実際に相続税申告を行う際の具体的な手順を、実務目線で整理していきます。
同性カップルに相続税申告が必要となるパターン
同性パートナーが相続税申告の対象となるのは、主に次の2つです。
- 遺言による遺贈を受けた場合
- 死亡保険金を受け取った場合
遺言による遺贈を受けた場合
同性パートナーが財産を取得する多くのケースは遺言書による遺贈です。
遺贈は相続税の対象になります。
死亡保険金を受け取った場合
生命保険金は「みなし相続財産」として相続税の対象になります。
しかし同性パートナーには相続税の非課税枠(500万円×法定相続人の数)が適用されません。
関連記事:同性カップルが生命保険金を受け取ったら税金はかかる?現行制度の注意点を税理士が解説
同性パートナーの相続税申告の流れ
同性カップルの場合、相続人ではないため、一般的な相続手続きとは流れが異なります。おおまかな全体フローは次のとおりです。
- 被相続人の財産調査
- 遺言書・保険金・財産取得の確認
- 法定相続人の確定(基礎控除額の算定)
- 必要書類の収集
- 相続税額の計算
- 相続税申告書の作成
- 相続税の納税(現金一括)
- 相続税申告後のリスク管理
それぞれの手続きについて、詳しく見ていきましょう。
被相続人の財産調査
まずは同性パートナーに、どのような財産があったかを洗い出します。
財産調査する際に例えば以下のようなものを調査していくことになります。
- 預貯金
- 不動産(土地、建物)
- 有価証券
- 生命保険
- 借金の有無
- 相続開始前3~7年以内の贈与
しかし同性パートナーは法定相続人ではないため、財産調査に苦労するケースが多いです。
※相続人(親族)が協力的でない場合、資料収集に時間がかかることがあります。そのため行政書士などの専門家に、相続税申告以外の相続手続を任せるのもおすすめです。
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遺言書・保険金・財産取得の確認
つづいて、洗い出した財産のうち、同性パートナーとして取得できる財産があるのかを調査します。
- 公正証書遺言の内容確認
- 自筆証書遺言があれば検認手続き
- 生命保険金の受取額等の確認
同性パートナーは遺産分割協議に参加しないため、遺言書が唯一の根拠となるケースが多いです。
遺言書が残されてないか、しっかり確認しましょう。
また、故人の生命保険の調べ方については、下記の記事を参考にしてみてください。
参考:故人の生命保険はどう調べる?生命保険契約照会制度を活用して遺言執行者・相続人が保険金請求する方法を紹介!
法定相続人の確定(基礎控除額の算定)
同性パートナーは法定相続人ではありませんが、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)の計算には、法定相続人の人数の把握が必要です。
戸籍謄本等を取得し、法定相続情報一覧図を作成することを推奨いたします。
なお、遺言書によって同性パートナーが取得する財産が指定されていた場合、相続人から遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。
相続人との調整をしていくうえでも、法定相続人の確定は必須となってきます。
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必要書類の収集
同性パートナーは相続人ではないため、必要書類の取得に制限がある場合があります。このような必要書類の収集については、やはり長岡行政書士などの専門家に相談することを推奨いたします。
- 遺言書
- 生命保険金支払証明書
- 財産評価資料(預金の残高証明書・固定資産税評価証明書など)
- 被相続人および法定相続人の戸籍謄本等
- 同性パートナーの住民票
- 法定相続人の印鑑証明書
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相続税額の計算
被相続人が所有していた相続財産に係る相続税を計算し、うち同性パートナーが取得した財産に係る相続税を計算します。
同性パートナーの相続税計算には以下のような注意点があります。
- 配偶者の税額の軽減が適用できない
- 生命保険金の非課税枠が適用できない
- 基礎控除の計算に同性パートナーは含まれない
- 相続税額の2割加算の対象になる
なお、相続税額の計算からは、税理士の出番です。
相続税申告書の作成
相続税の申告が必要な場合、お亡くなりになった日の翌日から10カ月以内に、相続税申告書の提出が必要です。
被相続人が所有していた相続財産を相続税申告書に記載していきます。
専門性が高い領域になりますので、相続税専門の税理士に相談して進めていくことを推奨します。
相続税の納税(現金一括)
お亡くなりになった日の翌日から10カ月以内に相続税を納めなければなりません。
相続税は原則として現金で一括納付することが望ましいとされています。
延納・物納は条件が厳しく、同性パートナーは利用しづらいケースが多いので事前の対策が必要です。
相続税申告後のリスク管理
同性カップルの相続の場合、次のようなリスクがあります。
これらのリスクを前提に相続手続を進めていくことになります。
- 相続人からの遺留分侵害額請求
- 遺言無効の主張
- 財産調査の不備による申告漏れ
そのため、同性パートナーが一人で手続を進めるより、やはり専門家に相談したほうが安心でしょう。
同性カップルの相続税申告・相続手続は専門家へ相談!
同性カップルの相続税申告は、同性パートナーは「相続人ではない」ことを前提にした特有の流れを理解しておく必要があります。
同性カップルの相続は、制度上の不利が多いからこそ、早い段階での事前対策と専門家の関与が不可欠です。
また、実際の手続についても、専門家に相談するのがおすすめです。相続税申告は税理士へ、相続財産・相続人調査などは行政書士へ任せることが可能なので、ぜひ活用してみてください。



