「お墓は誰が相続するの?そもそもお墓も相続財産なの?」
「お墓を相続する人は法律で決まっているの?」
「実家のお墓や仏壇を承継するが、知っておくべき方法や注意点はある?」
日本では亡くなられた方を見送った後、お墓に納骨をすることが一般的です。全国には形状や宗派は違えども、多くのお墓があります。
では、お墓は誰が相続するものでしょうか。もしお墓を相続するとしたら、名義変更のような手続が必要なのでしょうか。今回の記事ではお墓の相続について方法や注意点を、相続手続に詳しい行政書士が解説します。
お墓は相続財産ではない
まず前提として、お墓や仏壇などの祭祀財産は相続財産には含みません。
被相続人が生前に、「自身のお墓や仏壇は内縁の方に管理してほしい」と遺言書を残した場合、相続人ではない内縁の方でも祭祀財産を承継できます。
なお、祭祀財産には3つの種類があります。系譜・祭具・墳墓です。いくつか例を見てみましょう。
- 仏壇
- 墓地や墓石
- 家系図や家系譜
- 位牌
系譜には家系図などが挙げられ、祭具には仏壇や位牌類などが挙げられ、祠や鳥居など、移設が簡単ではないものも含まれます。墳墓とはお墓のことを意味し、墓石や墓地を指します。
もちろん、日本で信者数が少ない宗教で必要なものも、祭祀財産に含まれます。たとえば、キリスト教の場合はイエス像や十字架、家庭内の祭壇などが祭祀財産となります。
そして祭祀財産は相続財産の対象ではない以上、相続人間で遺産のゆくえを話し合う「遺産分割協議」からも対象外となります。
お墓を引き継ぐのは祭祀承継者
お墓は相続財産ではない以上、引き継ぐのも相続人ではありません。
お墓を引き継ぐのは、祭祀承継者です。
祭祀承継者とは、お墓や仏壇など信仰にまつわるものを引き継ぐ人を意味します。
では、祭祀承継者はどのように決めるのでしょうか。
祭祀に関係する財産は「祭祀財産」と呼び、先述したとおり原則として相続財産の対象にはなりません。法定相続人が承継する義務もなく、民法第897条第1項および第2項によって、以下のように定められています。
第1項
系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。第2項
民法第897条第1項および第2項
前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。
そして、祭祀財産を承継する人は、以下のようにまとめられます。
- 慣習にしたがって承継する
- 被相続人の指定(遺言や口頭)に従って承継する
- 慣習が分からない際には家庭裁判所が決める
一般的にはお墓や仏壇の管理は暗黙の了解で、被相続人と同居していた家族や、慣習にしたがって長男・長女が引き継ぐことが多いでしょう。原則1名が祭祀を主宰する人としてすべての祭祀財産を引き継ぎますが、複数の祭祀財産を分けて承継することも可能です。
たくさん財産を相続する方が祭祀承継者となることもできれば、相続放棄をした方が祭祀承継者となることもできます。
祭祀承継者が家族内で決まらない場合は、家庭裁判所で決められます。
関連記事:祭祀承継者とは?決め方や役割、承継する財産について行政書士が解説!

なお、先に触れたように、祭祀財産については相続財産には含まないため、相続放棄をしても承継できます。
被相続人に債務があり、放棄をする場合はお墓や仏壇も相続放棄しなければいけないのか、と不安な方もいるかもしれませんが、墓地や代々使用してきた数珠なども相続財産ではないため、相続放棄後も祭祀承継者として引き継げるため、安心してください。
合わせて読みたい:相続放棄とは?遺産相続で負債がある場合の対処法を行政書士が解説!
お墓を承継する(名義変更する)手続の流れ
墓地や寺院などによって手続き方法は異なりますが、お墓を承継する際には一般的に墓地の管理者に対して引き継ぎの手続きを行う必要があります。
これが一般的に、お墓の名義変更と呼ばれるものです。
祭祀承継者が決定したら、今後は誰が墓地を含むお墓を管理するのか、書類などを提出する必要があるということですね。
具体的な流れは、次のとおりです。
- 墓地の管理者へ連絡する
- 必要書類を集める
- 書類と手数料を提出する
近年は、従来型の墓地ではなく、マンション型の納骨堂なども登場していますが、基本的な承継手続きは同じです。
なお、これらお墓の相続手続(承継手続)も、行政書士に依頼できます。横浜市の長岡行政書士事務所でも相続手続の一環としてサポートしているため、ぜひお気軽にご相談ください
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それでは、各ステップでやることについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
墓地の管理者へ連絡する
まずは、お墓のある霊園の管理事務所や、寺院の住職へ連絡します。
名義変更に伴い、どのような書類が必要なのかや、手数料はいくらなのか、このタイミングで確認しておきましょう。参考として、手数料の相場も紹介します。
- 公営霊園:~数千円
- 民営霊園:数千円~
- 寺院墓地:数千円~1万円以上
必要書類を集める
必要な書類がわかったら、順番に揃えていきます。一般的に必要とされる書類は、次のとおりです。
- 名義変更の申請書(各霊園ごとの書式)
- 墓地使用許可証(お墓の権利書のようなもので、永代使用承諾証などともいいます。仏壇などに保管されていないか確認してみてください)
- 承継の理由がわかる書類(故人の死亡記載のある戸籍謄本など)
- 承継者の戸籍謄本・住民票
- 承継者の印鑑証明書
書類と手数料を提出する
必要書類と手数料を管理者へ提出します。書類は窓口へ持参するのが基本ですが、遠方の場合は、郵送でもいいか確認してみてください。
新しい名義の使用許可証(永代使用許可証)の交付を受けたら、お墓の承継は完了です。
お墓を円満に承継する3つのコツ
ここからは、お墓を円満に承継する3つのコツを紹介します。
- あらかじめ祭祀承継者を決めておく
- 管理・処分の方法を家族で話し合う
- お墓の移転も検討する
それぞれ具体的に紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
あらかじめ祭祀承継者を決めておく
祭祀財産は、長年大切にしてきた家系図や位牌なども含まれます。複数の親族で祭祀財産を管理すると、飛散や破損などが心配される場合は、あらかじめ終活の一環として遺言書を使い祭祀承継者を決めておくこともおすすめです。
祭祀承継者は誰でもなれます。ご近所に住まわれている親族や、内縁の方なども可能です。
もしまだ相続が発生していないタイミングなら、誰か信頼できる方を指定しておくといいでしょう。
管理・処分の方法を家族で話し合う
近年お墓や仏壇は管理が難しいと感じる人が多く、墓じまい以外にも仏壇処分を検討する人も多くなっています。しかし、長年大切にされてきた祭祀財産を処分することには、反対の意見を持つご家族も多いでしょう。
そこで、墓じまいをはじめとする祭祀財産の管理や処分の方向性については、早めに家族で話し合うことがおすすめです。管理者が1名だと負担が多い場合は、複数の親族の協力を依頼したり、仏壇を入れるスペースがない場合は買い替えも検討してみましょう。
祭祀財産は相続税の課税対象ではないため、生前にお墓や仏壇を買い替えることは、相続税の節税効果もあります。
ただし、過度に高い祭祀財産の購入は相続税が課税されるおそれもあるためご注意ください。
お墓の移転も検討する
お墓は維持したい、でも遠すぎて管理が難しい…このような場合には、お墓の移転も考えてみましょう。お墓は手続きを行うと移転できる場合があります。遺骨の移転をともなう場合は行政機関への手続きを要する場合があるため、早めに調べておくことがおすすめです。
埋蔵・収蔵されている遺骨などを、他の墓地・納骨堂に移す行為は「改葬」と呼ばれており、「墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)」の規定に従い、「改葬許可申請」という手続きが必要です。
行政書士は「改葬許可申請」を扱えますので、横浜市の長岡行政書士事務所にお気軽にご連絡ください。
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なお、横浜市の場合、新しく墓地を購入するなど改葬先を決めた上で手続きを進める必要があります。詳しくは以下リンクをご一読ください。
参考URL:横浜市|改葬(遺骨の移動)の手続き
お墓の相続でよくある質問
最後に、お墓の相続でよくある質問について解説します。
Q. 長男以外や、親族以外でも承継できますか?
「お墓は長男が継ぐもの」という認識がある方もいるかもしれませんが、記事前半で紹介した民法の条文からも分かるとおり、法律において祭祀承継者=長男とはされていません。近年は、兄弟姉妹で話し合って承継者を決めるケースも増えています。
さらに、故人の指定があれば、親族以外の方でも承継できます。ただし、公営墓地や民間霊園では、その施設の規約として、承継できる人を「使用者の親族に限る」「○親等以内の親族」などと定めている場合もあるため、もし親族以外の方が承継したい場合は、あらかじめ確認しておいたほうがいいでしょう。
Q. お墓の名義変更に期限はありますか?
お墓の名義変更(承継手続き)、法律上の期限はありません。
ただし、公営墓地や民間霊園などの施設ごとに、「名義人が亡くなってから○年以内」といった期限が設けられているケースもあるため、あまり後回しにしないほうがいいでしょう。
名義変更をしないまま放置すると、管理料の請求先が分からない状態になり、意図せずして管理料を滞納してしまうこともあります。結果として、永代使用権が取り消されてしまう可能性もあるため、承継者が決まったら早めに手続きを済ませましょう。
自分たちで手続を進めるのが大変だという場合は、他の相続手続とあわせて、行政書士などの専門家へ代行してもらうことも検討してみてください。
Q. お墓が不要な場合、相続放棄はできますか?
お墓は相続財産に含まれない以上、相続放棄をしたからといって、お墓を手放すことはできません。
お墓が不要となった場合、基本的には「墓じまい」をする必要があります。墓じまいとは墓石を撤去し、使用していた墓地を管理者側へ返還する手続きです。
関連記事:お墓じまいとは?改葬方法や相続に合わせた手続について行政書士が解説!

お墓が祭祀承継者の近くに立地しておらず、管理の手が行き届かない場合は墓じまいを行い、お近くにお墓を新設したり、納骨堂へ移設することがおすすめです。専門家に相談しながら進めると良いでしょう。
実はお墓じまいは、行政書士の専門分野の一つでもあります。お墓じまいをする際には「改葬許可証」というものが必要となり、行政への手続が発生するためです。
横浜市の長岡行政書士事務所では、お墓じまいのサポートにも対応しています。もしお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。
お墓の相続(承継)やお墓じまいは長岡行政書士事務所にご相談ください
この記事ではお墓の相続について、祭祀承継者や祭祀財産についても触れながら詳しく解決を行いました。お墓などの祭祀財産は相続財産には含まれないため、相続放棄をしても承継できる一方で、放棄をすることができません。
お墓を引き継ぐ手続や、お墓じまいをする手続は、どちらも行政書士の専門分野です。もしお墓についてお悩みの方は、ぜひ横浜市の長岡行政書士事務所へご相談ください。初回相談は無料で対応しています。


