同性カップルの間でも、将来に備え相続対策として生命保険に加入するケースは増えているようです。
しかし、同性パートナーが実際に亡くなって生命保険金を受け取った場合、税金がかかります。
そして日本では同性カップルは法律上の「配偶者」と認められていないため、現行制度の税制では、異性婚の夫婦とは異なる取り扱いが生じるのです。
本記事では、同性パートナーが生命保険金を受け取った場合の税金の扱いを、実務的な視点から整理していきます。
同性パートナーは生命保険の受取人になれるのか?
そもそも同性パートナーは生命保険の受取人になれるのか、疑問に感じる方もいるかもしれません。
実際のところ、近年は多くの保険会社が、同性パートナーを受取人に指定できるように制度を整えています。
「パートナーシップ証明書」や「同居の事実を示す住民票」の提出を条件とする会社もありますが、同性パートナーが生命保険の受取人になることは可能です。
ただし税務上の扱いは、「同性パートナー」と「配偶者」で異なります。
生命保険金にかかる税金は3種類
そもそも生命保険金を受け取った場合にかかる税金は、「保険料を誰が支払っていたか」「誰が受け取ったか」によって種類が変わります。
| 被保険者 | 保険料負担者 | 保険金受取人 | 税金の種類 |
|---|---|---|---|
| Aさん | Bさん | Bさん | 所得税 |
| Aさん | Aさん | Bさん | 相続税 |
| Aさん | Bさん | 第三者 | 贈与税 |
AさんとBさんが同性カップルだとすると、課税されるのは保険料負担者によって所得税もしくは贈与税になる、ということです。
として相続税の対象となるケースについては、同性カップルと異性婚では税務上の取扱いが変わります。
同性カップルの生命保険金にかかる相続税の注意点
同性カップルがパートナーを生命保険の受取人とする場合に知っておきたい注意点としては、下記の2点が挙げられます。
- 相続税の非課税枠が使えず生命保険金全額が課税対象
- 相続税額の2割加算の対象
相続税の非課税枠が使えず生命保険金全額が課税対象
同性カップルの場合、最も問題となるのは、生命保険にかかる相続税の非課税枠(500万円×法定相続人の数)が使えない点です。
冒頭にもお伝えした通り、同性カップルは法律上の「配偶者」と認められていないため、法定相続人としてカウントされません。
そのため生命保険金にかかる相続税の非課税枠が使えないのです。つまり受け取った生命保険金の全額が課税対象です。
合わせて読みたい:生命保険金は相続財産?遺産分割・特別受益への影響を行政書士が解説
相続税額の2割加算の対象
相続税には、2割加算という制度があります。
これは「相続」「遺贈」「相続時精算課税に係る贈与」によって財産を取得した人が、被相続人の「一親等の血族(代襲相続人となった直系卑属を含む)」と「配偶者」以外の人である場合、その人の相続税額に、その”相続税額の2割”に相当する金額を加算するものです。
参考:相続税額の2割加算とは?対象者や計算方法について税理士が解説!
残念ながら同性パートナーが生命保険金を受け取った場合には、この相続税額の2割加算の対象となります。異性婚と比べて、税負担が大きくなるということです。
生命保険とあわせて知っておきたい同性カップルの相続対策
同性カップルの場合、生命保険金を契約しているだけでは相続対策として不十分なケースが多いのが実情です。
相続時に困らないよう、ぜひ次の3つの対策を進めてみてください。
- 遺言書の作成
- 保険契約の設計見直し
- パートナーシップ証明書の取得
遺言書の作成
同性パートナーは遺言がなければ相続できないため、遺言書は必須です。
同性パートナーならではの注意点をカバーした遺言書を作るためにも、長岡行政書士のような専門家に相談することを推奨します。
関連記事:同性パートナーが公正証書を活用する方法とは?結婚せずに将来へ備える対策を行政書士が解説|横浜市の遺言作成相談は港南区の長岡行政書士事務所
保険契約の設計見直し
生命保険に加入していない場合、もしくは既に生命保険に加入している方は、税理士と保険会社に、以下のようなことを相談してみてはいかがでしょうか。
- 誰が保険料を負担するか
- 受取人を誰にするか
- 税負担を少なく手取りを多くするにはどの契約形態が良いか検討
パートナーシップ証明書の取得
保険会社によっては受取人指定の条件となりますので、加入したい保険会社に問い合わせてみて、必要か否か確認することを推奨します。
同性パートナーの相続は専門家に相談!
同性カップルが生命保険金を受け取る場合、異性婚の夫婦に認められる生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)が使えません。
他にも、実務で検討すべき対策で述べたように、遺言書や生命保険の加入など早い段階から準備することが重要です。
生命保険は同性カップルにとって有効な資産承継手段である一方、税務上の落とし穴も多いため、実務では慎重な設計が求められます。
スムーズに相続を進めるためにも、ぜひ一度専門家へ相談してみてください。



