「そういえば親が貸金庫を使ってると聞いたんだけど、そもそも貸金庫って何なの?」
「遺産相続の際に貸金庫で注意すべき点なんてあるのかな」
「貸金庫の中に何が入ってるのか把握してないんだけど」
つい最近、貸金庫から銀行員が顧客の現金や貴金属を盗んでしまったという事件がありましたね。
そんな貸金庫の中身も、相続財産の一つです。
それでは貸金庫については、どのように相続手続を進めればいいのでしょうか。
このコラムでは貸金庫とは何かを説明したあと、相続に貸金庫が絡んできた際の注意点を解説していきます。
貸金庫とは
皆さんが普段行く銀行の2階などに貸金庫のエリアがある事が多く、一般の銀行の利用客とは暗証番号によるロック等で隔離されています。
大切な金品を自宅に置いておくのは不安だし、金庫に入れておいても心もとない。
そんな時に、より管理が厳重であろう銀行の中にある金庫を借りて金品を保管してもらうというのが貸金庫というサービスです。
ここで注意すべきは、銀行側はあくまで金庫というスペースを貸しているので中に何が入っているのかまで把握していまないという事です、
昨今の銀行員が貸金庫にある顧客の金品を盗んでしまったケースで一番問題になったのは、銀行は何が盗られたのかがわからないので被害額の確定に難航したという点です。
また、貸金庫の利用者(=契約者)も長く利用しているうちに自分が何を預けていたのか分からなくなってしまうこともあります。
目録のようなものを作っていればいいのですが、全部の契約者がそのように管理しているとは限りません。
銀行に預けたという安心感から、預けっぱなしで何を預けたか細かくは覚えてないという方もいることでしょう。
しかしこんなご時世なので、しっかり中身を記録しておくといいかもしれません。貸金庫の中身を記録していれば、相続手続にも役立ちます。
相続人全員の同意がないと貸金庫は開けられない
さて、実際に相続が始まって、あなたと複数の人が相続人になったとします。
遺言があればその通りに遺産を分割し、遺言がなければ相続する権利のある方(=相続人)同士で遺産分割協議を開いて遺産の分割について話し合うことになります。
ここで故人(=被相続人)が貸金庫を使っていて、どうもその中に遺産があるようだということになりました。
では中身を確認してみようと、何の準備もせずに相続人の代表者が一人で銀行に行っても、銀行は貸金庫を開けてくれません。
どんなに自分が正当な相続人であると主張してもダメです。
銀行からすると、相続人が複数いる場合に相続人の一人の求めに応じて貸金庫を開けてしまうと、後々他の相続人からクレームになるおそれがあります。
開けた相続人が貸金庫から何も持ち出していないと証明することができないからです。
そのため貸金庫を相続手続のために開けるためには、相続人全員の同意が必要です。
具体的には、遺産分割協議書・金融機関所定の同意を証する書面に、相続人全員が実印を押印して、さらに印鑑証明書と一緒に提出しなければならないのです。(金融機関によっては相続人全員の立ち会いを求めてくることもあります)
なお、遺言執行者については、遺言書で貸金庫開扉権限を定めれば単独で開扉・解約できることも知っておきましょう。
貸金庫を相続する流れ
相続人全員の同意がないと貸金庫は開けられないということを踏まえると、貸金庫を相続する流れは次のようになります。
- 貸金庫のある金融機関に連絡して必要書類・必要事項を確認する
- 書類などを準備する
- 貸金庫を開扉して中身を確認する
- 中身の相続方法を相続人同士で話し合う(遺産分割協議)
- 遺産分割協議に従って相続手続を進める
それぞれのステップについて、詳しく見ていきましょう。
貸金庫のある金融機関に連絡して必要書類・必要事項を確認する
まずは金融機関に連絡し、相続手続きの方法について問い合わせます。
相続人全員の同意文書だけがあればいいのか、全員の立ち合いが必要なのか、他に必要書類はあるのかを確認しましょう。
書類などを準備する
つづいて金融機関から求められた書類などを準備しておきます。主な必要書類は次のとおりです。(こちらは金融機関により異なる場合がございますのでご確認いただくことをおススメいたします。)
- 貸金庫の開扉に同意する書面(相続人の実印を押す)
- 相続人全員の印鑑証明書
- 被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本(出生から死亡まで)
- 貸金庫の鍵・カードなど
- 遺産分割協議書(完了している場合)
なお先述したとおり、遺言書で遺言執行者が指定されている場合は、遺言の内容によっては遺言執行者が単独で開扉できます。
貸金庫を開扉して中身を確認する
準備ができたら金融機関へ訪問し、貸金庫を開扉して中身を確認しましょう。
相続財産となり得るもの、たとえば有価証券や貴金属などが出てきた場合は、それらの相続手続を進めます。
中身の相続方法を相続人同士で話し合う(遺産分割協議)
遺言書がない場合、もしくは貸金庫の中から遺言書で相続方法が指定されていない財産が出てきたら、相続方法を相続人同士で話し合います。(いわゆる遺産分割協議です)
遺産分割協議に従って相続手続を進める
貸金庫の中身の相続方法を遺産分割協議で決めたら、その内容にそって相続手続を進めます。
なお、貸金庫そのものがもう不要であれば、解約手続も同時に進めるといいでしょう。
相続人が行方不明や遠方にいる場合はどうする?
これまで貸金庫が絡む場合の相続の説明をしてきましたが、上記以外にも細かいところで躓いてしまう可能性があります。
例えば、貸金庫開錠の為に他の相続人と連絡をとろうとしても、連絡がつかない場合をを考えてみましょう。
連絡の取れない相続人の戸籍を追って連絡先を見つけたり、家庭裁判所に申請し不在者財産管理人を立ててもらう必要がありますが、普段の生活の中で戸籍を追ったり家庭裁判所の申請を経験している方は多くはないでしょうから、どうすべきか戸惑ってしまう事態に陥ってしまうかもしれません。
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他にも、相続人の中に遠方の方や高齢者がいる場合は立会いができない可能性がありますが、専門家がいれば委任状をすぐ準備してくれます。
また、金融機関機関によっては開錠時に公証人を立ててくれと言ってくる可能性がありますが、専門家であれば公証人の手配もスムーズに行ってくれます。
横浜市の長岡行政書士事務所でも、貸金庫の相続をサポートすることも可能なので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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