相続で大変困りがちなのが、「突然相続をしなくてはならなくなった」という流れ。事前の準備なく、いきなり相続の手続きを求められて、パニックになってしまうケースはよくあります。今回は鎌倉市で「名寄帳」(なよせちょう)を使って相続をスマートに進める方法をお伝えします。
被相続人が所有していた不動産があちこちに点在している場合は、すべての不動産資産を探しだすのが困難になることもあるのです。
もし相続時に抜け漏れがあると、場合によっては納税トラブルになってしまったりも…。突然、税金の督促が来て驚いてしまうケースは、案外枚挙にいとまがないのです。
そうならないためにも、ぜひ「名寄帳」を使って、被相続人の不動産を確認していきましょう。
名寄帳は、市区町村ごとの不動産情報がまとまった帳簿のことで、これを閲覧するとその市区町村での被相続人名義の不動産の有無が確認できるのです。
つまり、被相続人が資産の全容を伝える前に亡くなっても、遺族が資産を探し出すために役に立つ帳簿というわけですね。
ですので、相続に直面したら、すぐに「名寄帳を調べよう!」と思い出せるようになれば安心でしょう。
合わせて読みたい:名寄帳とは?取得方法や相続時の活用方法を行政書士が解説!
名寄帳の記載事項と本人が申請時に必要な書類
鎌倉市では、本人ならびに本人から委任された代理人が、名寄帳の閲覧を申請できます。有料(1件300円)ですが、縦覧期間中は無料となります。縦覧期間については鎌倉市にお問い合わせください。
鎌倉市の名寄帳に記載されている内容
土地記載内容
- 所在地
- 登記地目
- 登記地積
- 課税地目
- 課税地積
- 価格
- 固定資産税・都市計画税課税標準額
- 税相当額
家屋記載内容
- 所在地
- 家屋番号
- 種類
- 床面積
- 価格
- 固定資産税・都市計画税課税標準額
- 税相当額
※証明書ではないため公印は押されません。
名寄帳請求時に必要な書類
本人申請の場合
以下のように本人を証明できる証明書を持参。
《1点で確認できるもの》
- マイナンバーカード(個人番号カード)
- 運転免許証
- 旅券(パスポート)
- 身体障害者手帳
- その他官公署が発行した写真付の免許証等
《2点以上の組み合わせで確認できるもの》
- 健康保険の被保険者証
- 介護保険被保険者証
- 年金手帳
- 社員証
- 学生証
- 預貯金の通帳
- クレジットカード
- 医療機関の診察券
- 会員券等
本人以外の請求者の場合
①本人の代理人
委任状の原本と代理人の身分証明書を持参。
以下の場合は委任状を省略できます
鎌倉市に住民登録があり、かつ証明書に載せる人と住民票上で同一世帯の親族であって、本人から依頼を受けている場合。
※同一住所でも住民票上の世帯が異なる場合は委任状が必要
※鎌倉市から転出している場合は現住所で住民票上の同一世帯でも委任状が必要
※法人の証明について従業員の方が請求される場合は、代表者からの委任状を持参
②法人の代表者
鎌倉市外の法人の場合、代表者であることが確認できる書類を持参。
③相続人
所有者が亡くなっていることや、相続関係が確認できる戸籍等の書類が必要。
④借地人・借家人・管財人など(賃借などの対象になっている資産について閲覧可能)
閲覧の際は賃貸借契約書など権利を証明する書類と本人を証明できるものが必要。
委任状に関する注意事項とは
委任状に関する注意事項
委任状を作成するときには、以下の記載事項を確認しましょう。
- 委任者の住所、氏名、生年月日、日中に連絡の取れる電話番号が記載されていること
- 委任状の作成年月日が記載されていること
- 代理人の住所・氏名・電話番号が記載されていること
- 委任者の自署又は押印(認印可)がされていること(委任者が法人の場合、法人の実印が押印されていること)
- 委任する内容が明記されていること
※委任状の記載内容が市の課税台帳の記載内容と異なる場合、別途聴聞及び資料の提出などを求められるケースもあります
鎌倉市の名寄帳の交付窓口
鎌倉市の納税課窓口で交付(郵送による交付も可能)
◆問い合わせ窓口◆
所属課室:総務部資産税課
鎌倉市御成町18-10 本庁舎1階
資産税担当 電話番号:0467-61-3931(直通)
土地評価担当 電話番号:0467-61-3934(直通)
家屋評価担当 電話番号:0467-61-3936(直通)
鎌倉市で名寄帳請求にお困りの方は行政書士に相談を!
名寄帳を取り寄せたあとには、どのように不動産情報を調べればよいのでしょうか? 名寄帳のチェックポイントは3つあります。
以下の内容を調べ、該当するものがあれば相続時に資産として扱うようにしましょう。
- 不動産の所有者に関する情報
- 種類、所在地、用途など不動産そのものの情報
- 固定資産税の評価額と課税標準額
ただしその市区町村の名寄帳には、その市区町村の情報しか載っていないため、複数の市区町村に不動産が点在する可能性があるときには、それぞれの名寄帳を調べる必要があります。
また、名寄帳には、すべての情報が完璧に載っているわけではないという点にも注意が必要です。
名寄帳に載るのは、その年の1月1日現在の情報となります。その情報が1年間使用され、翌年の1月1日にならないと情報が更新されません。
ですので、仮に1月2日に不動産情報に変更が加わった場合、その変更内容は翌年の1月1日を迎えるまで名寄帳からではわからないことになるのです。
こうした抜け漏れを防ぐ意味合いでも、名寄帳だけに頼らず、不動産契約書などもチェックしておきましょう。
不動産の相続は、ひとつ間違えると大きな納税トラブルにつながりかねません。ご不安があれば早い段階で横浜市の長岡行政書士事務所にご相談ください。