「不動産相続といえば押さえておきたい帳簿はなに?」と聞かれた時に、相続に詳しい人ならすぐに「名寄帳だね」とピンとくるはずです。名寄帳というのは、市区町村ごとにまとまった不動産資料のことです。
名寄帳がどうして不動産相続で押さえておきたいものなのか? それは、被相続人が所有していた不動産情報を突き止めるのに役に立つから。
例えば投資などの目的で、被相続人があちこちに不動産を持っていたとしましょう。
その情報を丁寧にまとめていてくれれば遺族は助かりますが、被相続人だけにしかわからない整理方法だと、どこにどんな不動産を持っているかわからないということになります。
そうすると厄介なのが納税。被相続人名義で登録されている不動産は、被相続人の死亡後、相続人が納税しなくてはいけないことになります。
なのである日突然、知らない土地の税金について督促状が来て大問題になってしまうというケースは枚挙にいとまがありません。
そうなるまえに、まずは「このあたりに不動産を買ったとかなんとか言ってきた気がするな…」など心当たりがありそうな記憶があれば、念のため調べてみることをお勧めします。
藤沢市で名寄帳を入手する方法は?
藤沢市で名寄帳を取得する場合、3つの方法から選ぶことができます。窓口に行って申請する方法、郵送で申請する方法、電子申請をする方法の3つです。ただし毎年4月は窓口が混雑するため、郵便や電子申請をお勧めします。
窓口で請求する際に必要なもの
相続人として申請する場合は、次の書類(コピー可)の提出が必要です。
- 被相続人(所有者)の死亡が確認できる書類(住民票除票、除籍謄本など)
- 被相続人(所有者)に対して相続権のあることが確認できる書類(戸籍謄本など)
《窓口に行くのが本人の場合》
本人確認書類が必要です。本人確認書類は以下のいずれかを持参します。
①官公署が発行した顔写真付のもの(1点で確認できるもの)
- マイナンバーカード(個人番号カード)の表面
- 運転免許証
- パスポート
- 障害者手帳
- 宅地建物取引士証
- 在留カード など
※マイナンバー(個人番号)の「通知カード」は、本人確認書類として取り扱うことができません。
②複数の書類が必要なもの(2点以上で確認できるもの)
- 官公署が発行した顔写真がないもの(健康保険の資格確認書、年金手帳など)
- 法人が発行している会員証(弁護士会、司法書士会、税理士証など)
- 法人が発行した顔写真付き身分証明書(社員証) など
《窓口に行くのが代理人の場合》
代理人が申請する場合は、窓口に行く人の本人確認書類と委任状が必要です。
代理で申請するのが、住民票の上で同一世帯とされている親族の場合や、成年後見人・納税管理人等である場合(証明書必要)は委任状は必要ありません。
藤沢市外に住民登録している人、同一世帯の親族であっても、続柄の記載のある住民票など同一世帯であることが確認できる書類が必要になります(直近3月以内、コピー可)。
委任状については、書式は自由ですが、必要な記載事項は必ず記載するようにし、原本を提出してください。記載事項についてはこちらを参考にしてください。
※委任状等がある場合でも証明する人の生年月日を申請書に記載する必要があります。
手数料および発行場所・時間など
《手数料》
1件につき300円
※現年度を含めて5年度分まで発行可能
手数料のお支払いにクレジットカードや電子マネー、コード決済が利用できます。利用可能な決済方法は次のとおりです。
- クレジットカード(1回払いのみ/Visa、MasterCard、銀聯)
- 電子マネー(楽天Edy、交通系/Suica、PASMO、ICOCAなど)、iD、nanaco、WAON
- コード決済(PayPay、メルペイ、d払い、auPAY)
※窓口でのチャージは行えません。現金とキャッシュレスとの併用はできません。
《発行場所》
- 税制課(本庁舎4階)
- 各市民センター(六会、石川分館、片瀬、明治、御所見、遠藤、長後、辻堂、善行、湘南大庭、湘南台、鵠沼)
《発行可能時間》
8:30~17:00
※土・日、祝日、年末年始(12月29日から1月3日)は発行不可
窓口以外の方法で名寄帳を入手する方法は?
窓口に行けない人のために、郵送で申請する方法、電子申請をする方法もあります。
《郵送で申請する方法》
郵送で申請した際、申請書類が市役所に到着した翌日から起算して2日(土日祝日除く)以内に証明書が返送されます。
申請内容に不明点や不備がある場合は、問い合わせが入ることもあります。
《電子申請で申請する方法》
マイナンバーカードなどを利用して、パソコンやスマートフォンから請求できる方法です。申請後は郵送で証明書を受け取ることができます。
電子申請では手数料や郵送代の支払いがキャッシュレス決済のみになりますので、定額小為替証書や切手を貼った返信用封筒の準備などが不要になります。
またパソコンやスマートフォンさえあれば申請時間、申請場所も問いませんので、いつでもどこでも申請手続きができます。郵送にかかる時間も省けるため、スピーディな手続きが可能になります。
ただし、電子申請では納税義務者本人しか申請できず、委任状による代理人からの申請はできません。
専門家に相談して「困ったこと」にならないようにしましょう!
さて、名寄帳を取り寄せることができたとしても、実はまだスタートラインに立ったのと同じ。大事なのはここからです。
名寄帳を見て、被相続人の不動産があるかどうかを確かめなくてはいけません。チェックすべきは、以下の3つの項目です。
- 不動産の所有者に関する情報
- 種類、所在地、用途など不動産そのものの情報
- 固定資産税の評価額と課税標準額
これらの項目に該当する不動産がなかったので一安心…と言いたいところですが、ここで第2のチェックポイントが。矛盾するようなことを言いますが、「名寄帳を信じすぎない」ようにしてください。
なぜなら名寄帳には、その年の1月1日現在の情報が載り、この情報は「翌年の1月1日まで更新されない」からです。また、売却済みなのに名寄帳に記載があるなんてことも。もし1月2日以降に変更があったとしたら、残り364日は古い情報がずっと載っていることになるのですね。
もちろん見落としてしまうと、もれなく督促状がやってきますので、不動産契約書など名寄帳以外の方法で不動産の有無をダブルチェック、トリプルチェックできれば安心です。
でも「そんな時間ないし、難しそうだし…」とご不安になられる場合は、ぜひ相続の専門家である長岡行政書士事務所にご相談ください。相続手続全般に寄り添って、ご依頼者様のご負担、ご不安が和らぐようサポートしております。