戸籍の広域交付制度は相続手続きで活用できる?概要を行政書士が解説!

相続時の戸籍が1か所で取得できるようになった 広域交付制度とは?【相続座談会】 相続手続の基礎
相続手続の基礎

令和6年3月1日から「戸籍の広域交付制度」という制度がはじまりました。

相続手続きをするときなどに必要となる戸籍を、よりスムーズに収集できる制度として、注目されています。

しかし、便利な反面、利用時には注意点もあります。

それでは、戸籍の広域交付制度を相続時にどのように利用して行けばいいか、一緒に考えてみましょう。横浜市で相続手続きをサポートしている行政書士として、戸籍の広域交付制度は相続手続きで活用できるのかどうか紹介します。

この記事の執筆・監修者
長岡 真也(行政書士)

長岡行政書士事務所代表。1984年12月8日生まれ。
23歳の時に父親をガンで亡くしたことから、行政書士を志す。水道工事作業員の仕事に従事しながら、作業車に行政書士六法を持ち込んでは勉強を続け、2012年に27歳で合格。
当時20代開業者は行政書士全体の中で1%を切るという少なさで、同年開業。以来。「印鑑1本で負担のない相続手続」をモットーに、横浜市で相続の悩みに直面する依頼者のために、誠実に寄り添っている。最近は安心して相続手続したい方々へ向け、事務所公式サイト上でコラムを発信しており、相続手続の普及に取り組んでいる。

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戸籍の広域交付制度とは

これまで、戸籍を取得するためには、本籍地のある役所に対して請求を行わなければなりませんでした。

しかし、戸籍の広域交付制度がスタートしたことにより、本籍地以外の役所からでも戸籍が取得できるようになりました。

わざわざ本籍地まで戸籍をとりにいくのは大変ですし、郵便で請求するのも手間になります。

今回の広域交付制度の大きな利点は、そんなことをしなくてもよくなったこと。相続手続きがより効率的に進められるかもしれませんね。

A「よろしくお願いします。皆さんは、戸籍の広域交付制度は使ったことありますか?」

B・C「いえ、まだ」

A「私、ありますけど、これがまた便利なんです」

B「例えばどんなときに?」

A「私の場合は相続の戸籍収集時でした。相続時にはさまざまな手続きで必要となるため、基本的に被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本類、相続人全員の戸籍謄本類を集めなきゃいけません」

C「なるほど」

A「でもほかにも、本籍地以外で婚姻・離婚届・転籍届を提出する時とか、パスポートの申請時とかでも利用できますよ」

横浜市で戸籍の広域交付制度を活用する方法

戸籍の広域交付制度が具体的にはどんなものなのか、長岡行政書士事務所がある横浜市を例にしてまとめてみたいと思います。

B「Aさんは、横浜市にお住まいでしたよね。横浜市のケースはどんな感じなんですか?」

A「ええ。まずは基本的な情報をこちらにまとめてみました」

請求できる人本人・配偶者・直系尊属(父母・祖父母など)・直系卑属(子や孫など)
必要な費用・戸籍全部事項証明書…450円
・除籍全部事項証明書、除籍謄本、改正原戸籍謄本…750円
必要な本人確認書類・有効期限内の運転免許証
・パスポート
・マイナンバーカード
など

※顔写真付きの官公庁発行による証明書
※厳格な本人確認が必要なため、顔写真の無い健康保険証や年金手帳は不可
手続き方法窓口のみ

※郵送やオンライン請求は不可
参考:令和6年3月1日から戸籍制度が変わりました。|横浜市

A「ちなみに、戸籍謄本類の請求は今まで1通ずつ請求しなくてはいけませんでしたが、新制度ではまとめて請求できます。本籍地以外でも戸籍が確認できるようになったため、証明書添付も原則不要になったんです」

B「手続きの煩雑さがだいぶなくなったんですね」

相続手続きで戸籍の広域交付制度を使用するときの注意点

相続手続きで戸籍の広域交付制度を使用する際には注意点もあります。次のポイントを把握しておきましょう。

  • 本人確認が厳しい
  • 郵送や代理もできない
  • 取り寄せられない戸籍謄本もある
  • 兄弟姉妹は利用できない

では、下記で解説していきます。

本人確認が厳しい

便利なものはその反面、危険でもあります。安易に戸籍が取得出来たら大切な個人情報が漏洩してしまうことになります。そのため戸籍の広域交付制度を利用するにあたっては、厳しい本人確認が設けられています。

A「戸籍の広域交付制度が本人確認が厳しく、取得をしたい請求者本人が窓口に直接出向かなくてはいけないとされています。戸籍謄本は非常にセンシティブな個人情報ですからね、誰でもかれでもというわけにはいかないんです」

郵送や代理もできない

広域交付制度における本人確認が厳しいということは、それだけ関係のない第三者が勝手に戸籍を取得することを警戒しているということです。ですから、本人が窓口に来さえしない郵送や代理というものもできないことになります。

C「例えば、請求者本人の顔写真付きの証明書とかを添えて郵送で送ってほしい…なんてことも難しいんですか?」

A「従来の本籍地への郵送請求は可能ですが、広域交付制度における郵送請求はできないんですよ。委任状を添付した親族が代理人として請求するのもNGなんです」

B「ま、むしろ、それだけガードが固ければ安心できるという見方もできますけどね」

代理ができないということは、法律上の権限を与えられている行政書士や弁護士なども、戸籍の広域交付制度を利用することはできません。本当に請求者本人のみがする、という徹底ぶりです。安心ですね。

A「あと、専門家による第三者請求という形の職務上の請求できないんです」

B「職務上の請求?」

A「行政書士や弁護士など、法律の専門家に依頼して収集を代行してもらう方法です。広域交付制度に限ってはこれが認められず、請求者本人が請求しなくてはいけないんですね」

C「すごく徹底してますね」

取り寄せられない戸籍謄本もある

戸籍にもいくつか種類がありますから、その中にはどうしても広域交付制度では取得できないものもあります。万能ではないということです。

A「ちなみに、戸籍抄本や除籍抄本、コンピューターにデータ保存されていない一部の戸籍謄本・除籍謄本、戸籍の附票は広域交付制度では請求できないので、そこも気を付けなくてはいけません」

合わせて読みたい:相続で戸籍はどこまで必要?行政書士が戸籍謄本・改製原戸籍謄本・除籍謄本について解説!

コンピューターにデータ保存されていない一部の戸籍謄本・除籍謄本、戸籍の附票なども、相続手続きにおいて必要となることがあります。

相続手続きに必要なすべての戸籍謄本を広域交付制度で取り寄せられるとは限らないことは知っておきましょう。

兄弟姉妹は利用できない

兄弟姉妹も相続人となることがあります。

しかし戸籍の広域交付制度を利用できるのは「本人・配偶者・直系尊属(父母・祖父母など)・直系卑属(子や孫など)」だけであるため、兄弟姉妹は利用できません。

兄弟姉妹は今までどおりの方法で戸籍を集める必要があるため、その点はデメリットだといえるでしょう。

相続時の戸籍請求・相続人調査は行政書士へ依頼できる

戸籍の広域交付制度は便利な制度ですが、必ずしもすべての戸籍を集められるとは限らず、兄弟姉妹は活用できないなどの制約もあります。

そして相続手続きで戸籍を集めるのは、相続人の範囲を確定させるためです。そのため戸籍を集めるだけではなく、戸籍を読み解いて相続人の関係を明らかにしなければなりません。

この作業は思ったよりも手間がかかり、相続手続きの障壁となることがあります。(たとえば故人に離婚歴があったりすると、前の配偶者との間の子も相続人になります。このようなことを丁寧に探っていく必要があるのです)

相続時の戸籍請求・相続人調査は行政書士へ依頼できるため、相続手続きの負担を減らしたいと考えている方は、一度相談してみてください。

横浜市の長岡行政書士事務所も相続手続きを全般的にサポートしており、相続人調査、銀行口座の相続手続きを、自動車の相続手続きはもちろん、その他の手続きについても他士業と連携しながら進めさせていただきます。初回相談は無料ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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平日9:00~21:00(土日祝日予約制)

この記事の執筆・監修者
長岡 真也(行政書士)

長岡行政書士事務所代表。1984年12月8日生まれ。
23歳の時に父親をガンで亡くしたことから、行政書士を志す。水道工事作業員の仕事に従事しながら、作業車に行政書士六法を持ち込んでは勉強を続け、2012年に27歳で合格。
当時20代開業者は行政書士全体の中で1%を切るという少なさで、同年開業。以来。「印鑑1本で負担のない相続手続」をモットーに、横浜市で相続の悩みに直面する依頼者のために、誠実に寄り添っている。最近は安心して相続手続したい方々へ向け、事務所公式サイト上でコラムを発信しており、相続手続の普及に取り組んでいる。

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