経営者の地位は相続できる?会社経営の相続時の注意点を行政書士が解説

経営者の地位は相続できる? 会社経営の相続時の注意点を行政書士が解説 相続手続の基礎
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「年齢を重ねたのもあり、会社経営面も考慮した相続対策をしたい。経営者の地位は相続させられるのか。」
「会社の財産や経営に関する地位は、相続対象になるの?」
「会社の相続時に知っておきたい注意点はある?」

会社を経営している方は、自身の死後に会社がどうなるのか不安を持つことが多いでしょう。経営者としての地位が相続対象になるのか、正しく把握し相続対策を進めましょう。この記事では、会社経営の相続時について、「経営者の地位の相続」の視点から行政書士が詳しく解説します。

経営者の地位は相続できる?

大切に経営してきた会社は、経営者が亡くなった時に相続人はその地位を相続できるのでしょうか。経営者とは、会社の最高責任者の地位に就く人を意味します。

結論から言うと、地位そのもの(例、取締役の地位)は相続の対象外です。地位を巡って相続人間で遺産分割協議などを行うのではありません。詳しくは以下のとおりです。

経営者の就任は相続の対象外

会社経営者が亡くなったら、自動的にその地位が相続対象となり、相続人が地位を継承するものではありません。会社は法人格であり、経営者自身は個人であるため、個人の死によって法人の経営者としての地位が個人の相続財産の対象にはならないのです。経営者への就任は相続の対象外となるため、別の方法での承継を目指す必要があります。

会社の財産も相続の対象外

法人格と個人が異なる以上、法人として所有している財産も、相続の対象外です。会社の経営者が亡くなっても、法人として所有していた土地や建物などの不動産、社有車などの動産は、相続財産の対象にはなりません。

なお、個人事業主として個人名で所有していた不動産や動産の資産は、相続の対象となります。たとえば、個人事業主として屋号を持って運送業を営んでおり、運送に使用していた車両が個人名であった場合は相続財産に車両を含みます。

会社の経営を引き継ぐためには対策が必要

相続によって自動的に会社の承継が行われるものではないため、経営者の死後は法人を引き継ぐための対策を行っていく必要があります。まずは会社が法人格なのか、個人事業主なのかによっても対応は異なりますが、法人格の場合は次に紹介する対策を検討しましょう。

会社の相続には何をする必要がある?

会社を経営していた方が亡くなったら、経営を続けていくためにもその地位は誰が引き継ぐのか、慎重に検討する必要があります。多くの会社相続を目指すケースでは、株式の3分の2以上を取得できれば、安定して事業継承を進めていくことができるでしょう。株式は議決権としての意味があり、3分の2以上を取得できると自己株式の取得に関する事項の決定や、定款の変更、解散なども決定できます。

そこで、この章では会社の相続について、何をする必要があるのか詳細を解説します。

株式を相続する

今回はこの会社を一般的に知られる「株式会社」に焦点を当ててお話しします。そもそも株式会社、とは株主が出資し、取締役が経営を行う会社のことを意味します。会社の所有者である株主と、経営者である取締役は本来分かれています。

しかし、中小企業が多い日本において、経営者が自社株のほとんどを個人の資産として所有していることは珍しくありません。会社の株式のほとんどを所有することで支配権を確保するためです。

会社経営者が自社株式を100%所有しているなら、この株式自体は個人資産であるため相続の対象です。つまり、株式をまとめて相続すれば会社の経営を事実上引き継いでいけることになります。先に触れたように、株式の3分の2以上の取得が鍵となります。

もしも複数の相続人がおり、株式をそれぞれ分散させるような形で相続手続きを行うと、取締役解任などの権利行使によって事業継承が危うくなる可能性があるため注意が必要です。

合わせて読みたい:遺産の中に株式があるか調査したい!遺言執行者がほふり機構を利用した調査の仕方について解説

株式の飛散を防止する

株式を分散させるような形で複数の相続人が相続すると、以下のようなトラブルが起きる可能性があります。

従来のような経営が立ち行かなくなる
株式が分散することで現在の経営に関する意見が増加し、従来通りの経営が上手く立ち行かなくなる可能性があります。

さらなる相続により分散化が進んでしまう
複数の相続人で株式を継承していくと、さらに相続が発生してしまい株式がさらに分散してしまうおそれがあります、少数の株主がどんどん増えてしまい、誰が現在株主となっているのか、特定に時間がかかるおそれがあります。

不特定多数の株主が日々流動的に動いている上場企業とは異なり、中小企業の場合は株式の飛散にさまざまなリスクがともなうため、できれば特定の相続人に株式を集中させられるような対策が必要です。

相続人間のトラブルを防ぐ

会社の経営を巡るだけではなく、相続時には相続人間でトラブルが起きることがあります。よくあるケースとしては、以下のとおりです。

・欲しい財産をめぐって言い争いが起きている
・長年仲が悪く、相続人間で話し合える雰囲気ではない
・相続人が交流の無い子(例・前妻との子など)であっても遺産分割協議に参加してもらう必要がある

こうした相続人間のトラブルがあると、そもそも相続自体が上手く進まない可能性があります。相続手続きもトラブル解消が優先となり、長期戦となりやすいため、できればトラブルが起きないように進めていくことが大切です。

会社を相続する際の注意点

これから大切な会社を相続したい、と思っている場合に知っておきたい注意点はあるでしょうか。この章では3つの注意点を紹介します。

連帯保証人の地位や債務も相続する

会社の経営者は、法人の借入金について連帯保証人となっていることがあります。連帯保証人の地位は相続の対象となるため、相続人全員が注意するべきものです。

また、会社の経営のために、会社経営者が生前に個人として家族に内緒で借り入れをしていることもあります。債務もまた相続財産に含まれるため、相続人は引き継ぐ必要があります。

債務などは相続放棄によって放棄をすることができますが、事業承継が必要な場合は株式などプラスの財産も放棄するため相続放棄が困難です。生前から連帯保証人の地位や債務総額などを把握し、誰がどのように引き継いでいくか、早めに検討する必要があります。

合わせて読みたい:遺産相続における債務の調べ方とは?行政書士がわかりやすく紹介!

株式を評価する必要がある

株式を相続する場合は、相続発生後に株式を評価する必要があります。上場株式は評価がしやすいですが、非上場株式は慎重に評価をする必要があります。評価方法によって相続税が高くなることもあるためです。会計士や税理士に相談しながら進めることがおすすめです。

相続税が発生する場合は、「被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内」ですので、早急に進める必要があります。

株主名簿の記載変更も必要

非上場の株式を相続によって引き次ぐ場合は、株主名簿における「株主欄」の記載変更も必須です。株主名簿管理人がいる場合は手続きを管理人へ依頼しますが、会社によって手続き方法が異なるため、こちらも専門家のアドバイスを受けることが望ましいでしょう。

知っておきたい会社相続の生前対策とは

会社相続は一般的な故人の相続よりも複雑であり、生前から対策を進めることがおすすめです。では、生前対策にはどのような方法があるでしょうか。

生前贈与

後継者がすでに内定している場合、株式の生前贈与を開始することを検討しましょう。贈与を開始しておくことで、死後の経営者の地位争いを防ぐ効果もあります。なお、後継者側に資金が用意できる場合は、株式を買収するという方法も考えられます。

遺言書の作成

遺言書を経営者が元気なうちから作成しておくこともおすすめです。株式を相続させたい方を明確にする効果もあります。

遺言書は法人だけではなく、個人事業主にもメリットが大きいものです。個人事業主の場合は個人資産と事業資産のいずれも個人名で所有していることが多いため、遺された相続人にはどれが事業資産だったのかわからない場合があります。

相続の開始後に事業資産を、事業継承をしたい相続人が引き継げない可能性もあります。
遺言書があれば、誰にどの財産を相続させるのか示すことができるため、円滑な事業継承につながります。

合わせて読みたい:会社経営者が子に事業を承継させたい!遺言の活用方法を行政書士が解説

家族信託

現在経営者が所有している財産を、家族信託として信託財産にする方法もあります。信託財産にすると、株式の所有権は形式上、次の後継者に移すことが可能です。

家族信託では「自益信託」にすることで、生前贈与にはあたらないため贈与税がかからないというメリットがあります。ただし、税制との兼ね合いなども確認しながら進める必要があるため、専門家に相談をすることがおすすめです。

経営者こそ遺せる遺言書があります|詳しくは長岡行政書士事務所へ

この記事では会社経営者の地位について、相続時の視点から詳しく解説しました。一般的な個人間の相続より、会社経営者の死去後にはさまざまな手続きが発生します。円滑な事業継承を目指すなら、遺言書の専門家である行政書士とともに作成することがおすすめです。

後継者に株式を集中させる、その他の相続人に配慮を尽くした内容の遺言書を作ることもできます。言書の作成に関心がありましたら、まずはお気軽に横浜市の長岡行政書士事務所にご相談ください。

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この記事の執筆・監修者
長岡 真也(行政書士)

長岡行政書士事務所代表。1984年12月8日生まれ。
23歳の時に父親をガンで亡くしたことから、行政書士を志す。水道工事作業員の仕事に従事しながら、作業車に行政書士六法を持ち込んでは勉強を続け、2012年に27歳で合格。
当時20代開業者は行政書士全体の中で1%を切るという少なさで、同年開業。以来。「印鑑1本で負担のない相続手続」をモットーに、横浜市で相続の悩みに直面する依頼者のために、誠実に寄り添っている。最近は安心して相続手続したい方々へ向け、事務所公式サイト上でコラムを発信しており、相続手続の普及に取り組んでいる。

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