特別養子縁組とは|行政書士が相続時の問題や制度のしくみを詳しく紹介!

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「特別養子縁組を使おうか検討している。普通養子縁組とはどう違うのか」
「特別養子縁組後は、誰の相続ができるようになるのか知りたい。」
「特別養子縁組とは、具体的にどのようなしくみなの?」

養子縁組には2つの方法があり、「普通養子縁組」と「特別養子縁組」が検討できます。では、特別養子縁組は、相続にどのような影響をもたらすのでしょうか。この記事では特別養子縁組の制度について、行政書士がしくみや相続時の注意点にも触れながら詳しく紹介します。

特別養子縁組とは|相続に与える影響

特別養子縁組とは、養子と養親が実の親子関係となるためのしくみで、養子は養親の子となった時点で、実親との親子関係が解消されます。

普通養子縁組では実親との親子関係は養子縁組後も終了しない、という点で大きく異なります。では、特別養子縁組では、相続にどのような影響を与えるのでしょうか。

特別養子縁組とは養親の相続人になれるしくみ

特別養子縁組では、養親との親子関係を結ぶため、養親が死去した際には相続人になります。特別養子縁組は福祉の観点から制度が整備されており、実の親との親子関係は解消されます。

特別養子縁組後は、戸籍上に長男、長女のように実子と変わらない表記が行われます。普通養子縁組では、「養子」「養女」と表記されるため、この点も大きな違いと言えるでしょう。

実親の相続権は失う

養子縁組後は実親の死去後に相続人にはなりません。普通養子縁組では、養親・実親の双方の相続人になれるため、大きな違いがあります。

普通養子縁組より手続きが複雑

特別養子縁組は、普通養子縁組よりも複雑な手続きを経て成立するものです。養子となるためには、以下の手続きを経つ必要があります。普通養子縁組と比較すると、以下のような違いがあります。

 普通養子縁組特別養子縁組
実親の同意原則必要実父母の同意が必要とされるが、意思表示ができない場合や、虐待などの理由がある場合は同意不要
養親の制限成人であること、独身可満25歳以上の夫婦であること 夫婦のうち1人が25歳未満の場合は20歳以上であること
養子の年齢制限養親より年少者である原則15歳未満
手続き養子が未成年ではない場合、届出対象者の本籍地又は届出人の所在地(一時的な居所でも可能)の区役所に養子縁組届を提出家庭裁判所の審判が必要

特別養子縁組は福祉の観点から、養親が必要と考えられる場合に行われる養子縁組であり、手続きの際には、子を迎えるためにも、養親側に夫婦であること、という制限が設けられています。また、家庭裁判所に対して、特別養子適格の確認の申立てと、特別養子縁組の成立の申立てを行う必要があります。

家庭裁判所への手続きとは

■特別養子適格の確認の申立て

・申立先は養親となる方の住所地を管轄する家庭裁判所

・申立人は養親となる方

・収入印紙は不要

・連絡先切手(裁判所によって異なる)が必要

■特別養子縁組の成立の申立て

・申立先は養親となる方の住所地を管轄する家庭裁判所

・申立人は養親となる方

・収入印紙800円と連絡先切手(裁判所によって異なる)が必要

 参考URL 裁判所 特別養子適格の確認・特別養子縁組成立の申立書

特別養子縁組の相続時のメリット

普通養子縁組よりも、厳しい運用が行われている特別養子縁組ですが、相続時にはどのようなメリットがあるでしょうか。

血縁者以外に事業や財産を引き継ぎやすくなる

特別養子縁組をした養親が、事業や財産を養子に継承させたい場合、実子同様に相続させることができる、というメリットがあります。

この点も普通養子縁組と同様ですが、特別養子縁組は「子がおらず、里親などを視野に入れていた方」が子の受け入れを行うことが多く、親から子へのスムーズな相続が実現しやすいでしょう。

特別養子縁組の相続時における注意点

特別養子縁組における、相続時に知っておきたい注意点とはどのようなものでしょうか。詳しくは以下です。

普通養子縁組よりも条件が厳しい

双方の同意があり、年齢条件をクリアしていればスムーズに養子になれる普通養子縁組とは異なり、特別養子縁組は家庭裁判所の審判も経る必要があるため、非常に手続きが複雑です。

福祉の力を必要とする原則15歳未満の子を受け入れるしくみであり、相続対策を目的に運用されているものではありません。本当の親子として、長く生活していくことが求められています。 相続対策を行いたいなら、普通養子縁組を検討するべきでしょう。

実親側の相続に影響する

特別養子縁組はさまざまな事情を持つ子が養親に迎えてもらうしくみであり、実親との縁が切れるしくみです。普通養子縁組とは違い、特別養子縁組が成立した時点で、養親の相続しかできなくなります。この点は、「相続人」側に大きな影響があると知っておきましょう。

養子であると知るタイミングや離縁に注意が必要

特別養子縁組は夫婦で養子を迎えるしくみであり、親子関係を大切に育んでいく必要があります。養子は自身が養子であることを知らないまま育つことも多く、戸籍上も気付きにくいものです。しかし、養親の死去と同時に自身が養子であると知らされ、驚いてしまうリスクがあります。

また、特別養子縁組は原則として離縁ができません。(民法817条10)

やむを得ない事情で離縁する場合は裁判所に離縁審判を申立てする必要もあります。

特別養子縁組の子がいる相続は対策を進めよう

特別養子縁組は普通養子縁組のように相続対策として活用するものではありません。しかし、養子と知らないまま育つ場合や、円満な相続を目指すためには、しっかりと相続対策を行っておくことがおすすめです。

遺言書で思いを託そう

実子となるしくみである以上、遺言書を遺さなくても特別養子縁組の養子は相続人になれます。しかし、円満な相続を実現するには、養子のために遺言書を作り、思いを託すこともおすすめです。遺言書には付言事項と呼ばれる項目があり、なぜ財産を残したのか、など思いを書き留めることができます。

養子として大切に育てたことなど、しっかりと遺しておくことで、養親が去った後も、素敵な親子の思い出が残るでしょう。

養子縁組の知識も備えておこう

特別養子縁組は、普通養子縁組と言葉が似ているため、類似している制度と思いがちですが、実はまるで異なっています。事業継承などを名目に相続対策として行われるのは「普通養子縁組」であり、特別養子縁組は里親制度に近いしくみです。

一度親子関係を成立させたら、普通養子縁組とは異なり離縁が難しいものであり、ご自身が求める養子制度はどちらなのか、慎重に検討する必要があります。養子縁組の知識をしっかりと学んだ上で、手続きを進めるようにしましょう。

特別養子縁組の図

子どものための特別養子縁組と普通養子縁組の違いを知っておきましょう

この記事では特別養子縁組制度について、詳細を行政書士が解説しました。養子縁組制度という名称であっても、特別養子縁組は普通養子縁組とは大きく異なっており、福祉・保護を目的に運用されている特別養子縁組は、厳格に運営されています。

養親となるためにはさまざまなステップが用意されているものの、令和2年4月1日以降は養親負担を軽減するために、養子となる子の年齢も原則6歳未満から原則15歳未満へと引き上げられています。養子縁組をご検討の方はこの2つの制度の違いを、正しく知っておきましょう。


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この記事の執筆・監修者
長岡 真也(行政書士)

長岡行政書士事務所代表。1984年12月8日生まれ。
23歳の時に父親をガンで亡くしたことから、行政書士を志す。水道工事作業員の仕事に従事しながら、作業車に行政書士六法を持ち込んでは勉強を続け、2012年に27歳で合格。
当時20代開業者は行政書士全体の中で1%を切るという少なさで、同年開業。以来。「印鑑1本で負担のない相続手続」をモットーに、横浜市で相続の悩みに直面する依頼者のために、誠実に寄り添っている。最近は安心して相続手続したい方々へ向け、事務所公式サイト上でコラムを発信しており、相続手続の普及に取り組んでいる。

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