内縁の配偶者は相続人になれるのか?その注意点と対策を徹底解説!

内縁の配偶者は相続人になれるのか? その注意点と対策を徹底解説! 相続手続の基礎
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「内縁の妻に相続財産って遺してやれるのだろうか」

「内縁の夫からもらった遺産って、通常の遺産とは何か違うの」

「内縁の配偶者に遺産を遺すとき、具体的にどんなことに注意すればいいのだろう」

結婚はしていなけれど一緒に暮らしている内縁関係の方もたくさんいると思います。

そして内縁関係になると、様々な場面で夫婦と同様にみられることがあります。

たとえば、内縁の妻は働いている夫の会社で保険証を交付してもらうことができます。つまり社会保険上、内縁の配偶者は家族と同等の扱いを受けているのです。

では相続ではどうなるのでしょう? 今回は内縁の配偶者が家族と同等に扱われる、つまり相続人となるのかについて説明し、いくつかの具体的な注意と必要な対策もお話したいと思います。

法律上の内縁関係とは?

内縁とひとことで言っても、ただ単に同棲していたら内縁関係なのか、それとも何か特別なことをしなければ内縁と言えないのか、わからないこともあると思います。

実は内縁には大きくわけてふたつの要件が必要であるとされています。

①男女間に婚姻意思があること

②婚姻意思に基づいた共同生活があること

の二点です。これからそれぞれの説明をします。

男女間に婚姻意思があること

これは婚姻届を出して夫婦になろうというよりも、お互いがずっと夫婦として共に生きていこうという意思を持っていること、ということになります。

つまり実際に結婚するかよりも、結婚のような生活を送っていその認識がふたりの間にあることが重要ということです。

婚姻意思に基づいた共同生活があること

こちらは結婚生活とおおむね同じものです。

民法には婚姻生活について以下の規定があります。

民法752条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない

同居・協力・助け合い、不倫をしないというような夫婦として当たり前のことが生活の前提としてあれば、婚姻届がなされていなくても夫婦同然の関係、つまり内縁になるということです。

内縁関係で相続権は生じるのか

こうした事実上ほとんど夫婦として暮らしている内縁関係のふたりのうち、どちらかが死亡したとします。

その時、どうなるのかをいくつかのパターンで考えていきます。

内縁の配偶者は原則相続人にはなれない

当事者の意思としてはほとんど婚姻状態であるはずの内縁関係。片方が死亡した際、その相手方が相続人になれそうな気もします。

けれど実は、内縁の配偶者は相続人になれないとされています。

相続は法律上の夫婦のみで行われる

相続は重要な法律上の行為なので、相続人の地位は法律によってしっかりと定められています。

しかし内縁関係とは、実態として夫婦であっても法律上夫婦ではないため、相続人にはなれないのです。

  • 婚姻届を提出した ➡ 法律上夫婦となる ➡ 相続権が発生する

 ある程度形式で判断することにより、相続をシンプルに、円滑にするためだといえます。

内縁の配偶者の子は相続人になることもある

たとえば、内縁関係の夫が死亡し、その事実上の妻と子がいたとします。

妻はさきほど述べた理由から、相続人になることができません。けれど、子供は相続人になることがあります。

亡くなった父が子を「自分の子供だ」と認めていれば(これを法律用語では認知と言います)、親子関係が発生するので子に相続権生まれます

逆に、父がその子を自分の子だと認めていなかったら法律上の親子関係はないので、相続権は発生しません。

また、仮に母親が死亡した場合は出産により子と母の親子関係は当然に生じますから、認知は問題ではなくなり、子は当然に相続人になります。

【内縁の配偶者の子は相続人になれるか】

認知した認知していない
相続人になる相続人にならない

内縁の配偶者に遺産を遺す方法

相続人にはならないとしても、せっかく人生の苦楽を共にした大切な相手なのだから、法律上の結婚相手と同様に何かを残してあげたいと思いますよね。

そこで、ここではいくつか遺産を遺す方法を提示していきます。

遺言書を作成する

遺言書を書けば、ある程度自分の意思に合った財産の整理ができます。

相続人にならない人にも遺言書で意思表示をすれば、遺産を遺すことは可能です。

その際、遺言書特有の書き方がありますので注意してください。たとえば相続人でない誰かに財産を与えるとき、「遺贈する」という言葉を使わなければなりません。

遺言書の作成は細かな言葉の配慮が必要なので、必要な際は専門家に頼るといいでしょう。

生前に財産を贈与する

厳密には遺産ではありませんが、次のようにすることも有効です。

相続財産は、死後に残っている財産のことなので基本的に生前のことは関係がありません。なので、相続人になれないのなら、亡くなる前に内縁の配偶者に財産を遺しておくこともひとつの手になります。

生命保険を活用する

生命保険は一般的に、誰かが死亡した際にその遺族に支払われるものですが、それを活用して内縁の配偶者に財産を残すことも可能です。

生命保険金は基本的に生前になされた保険契約によって生じるもので、遺産とは関係がないとされているからです。ただし、生命保険の受取人になれる範囲は保険会社により異なりますので確認することをお勧めします。

特別な関係があった者として遺産を受け取ることもできる

相続人がいない時、内縁の配偶者が死亡者と特別な関係があった者(これを民法では特別縁故者と言います)として遺産を受け取ることもできます。

内縁の配偶者に遺産を遺す際の注意点

様々な手段を使って内縁の配偶者に財産を遺した場合、相続においていくつか問題が発生することがあります。

他の相続人の遺留分に注意する

相続には遺留分というものがあります。各相続人が相続財産を受け取ることができるように、最低限の財産が保障されているのです。

遺贈などで内縁の配偶者に財産を遺す際は、自分の家族の遺留分に十分注意しないと後々トラブルになるかもしれません。

合わせて読みたい:遺留分の計算事例をわかりやすく解説!行政書士がクイズ形式で教えます

税務上の優遇措置がない

配偶者、親や子などが相続をする際に比べると、他の人が受け取る遺産は相続税が二割増しになります。

また生命保険も相続人ならば税金が一部免除されるのですが、内縁の配偶者は相続人ではないためその全額に対して税金がかかることになります。

このほかにもたとえば、障害者控除という相続人が障害者である場合の相続税の免除もあります。たとえ内縁の配偶者が障害者の認定を受けていたとしても、相続人でないからこの優遇措置も受けることができません。

内縁の配偶者に遺産を遺す際の注意点への対策

上記の注意すべきポイントについて、その内容を考えて具体的な対策をとることは可能です。

いくつかその対策を列挙してみたいと思います。

遺留分の財産を把握し、その分を残しておく

遺贈などをした際に問題となる遺留分。やはりシンプルな対策としては、遺留分は相続財産として最低限残してくことでしょう。

また遺言は単独でできてしまう行為のため、その有効無効も問題になりやすいです。

ですから遺言書で遺贈する時には、必要ならば専門家に相談し、公正証書遺言を作成することをおすすめします。

計画的に贈与をしていく

贈与税は年間110万まではかかりません。つまり、ある程度の年齢になったら計画的に毎年少しずつ贈与していく、という方法をとることもできます。

また贈与をする際は、贈与があったことを証明するために書面で贈与した旨を残しておきましょう。

内縁関係で相続が不安な方は当事務所にご連絡ください

社会が多様化して、内縁関係も珍しくなくなっています。幸せの形はそれぞれで、みなが自分らしく生きる世の中になっています。

けれど、法律はどうしてもある程度形式的に考えるしかない部分があります。相続はそのひとつの例といえるでしょう。

そしてやはり、内縁の配偶者のことも考えながら相続をするとなると、相続に詳しい専門家の助けを借りることをおすすめします。

遺言書の作成がより重要になる

内縁の配偶者が相続に関わると、遺言書に相続ではなく遺贈について記載をしなければならなくなります。

また遺言書自体の効力が無くなってしまうと、内縁の配偶者が遺産にまったく関わることができないということも起こりかねません。

そのため、通常の相続よりも注意深く遺言書を作成しなければならないのです。

財産の調査や税金の計算もより正確に行う必要がある

遺産の調査がうまくできていないと遺留分の問題が発生して、内縁の配偶者と相続人でトラブルになるかもしれません。

また、内縁の配偶者にかかる税金も通常の相続人よりも多額になるため、少しでも節税できる知識があるとよりよい相続になるでしょう。

相続に特化した当事務所だから最適な提案ができます

ずっと相続にたずさわってきた当事務所だからこそ、一番お客様のためになる提案をし、実行することができます。

もし相続でお困りのことがあれば、いつでも長岡行政書士事務所にご相談お待ちしております。


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この記事の執筆・監修者
長岡 真也(行政書士)

長岡行政書士事務所代表。1984年12月8日生まれ。
23歳の時に父親をガンで亡くしたことから、行政書士を志す。水道工事作業員の仕事に従事しながら、作業車に行政書士六法を持ち込んでは勉強を続け、2012年に27歳で合格。
当時20代開業者は行政書士全体の中で1%を切るという少なさで、同年開業。以来。「印鑑1本で負担のない相続手続」をモットーに、横浜市で相続の悩みに直面する依頼者のために、誠実に寄り添っている。最近は安心して相続手続したい方々へ向け、事務所公式サイト上でコラムを発信しており、相続手続の普及に取り組んでいる。

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