未登記家屋を相続したら|相続登記や固定資産税の支払者変更を行政書士が解説

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相続トラブル・事例

「亡父の相続財産の中に未登記の家屋があった。相続するけど何に注意が必要?」
「被相続人の相続財産の中に未登記の家屋があるが、固定資産税は誰が払う?」

2024年4月に相続登記が義務化されましたが、全国にはまだまだ「未登記」状態の不動産が眠っていると考えられます。では、未登記の家屋を相続することになったら、相続登記や固定資産税の支払いはどうすればよいのでしょうか。

そこで、本記事では未登記家屋をテーマに、相続登記や固定資産税の支払者変更について行政書士がわかりやすく解説します。

この記事の執筆・監修者
長岡 真也(行政書士)

長岡行政書士事務所代表。1984年12月8日生まれ。
23歳の時に父親をガンで亡くしたことから、行政書士を志す。水道工事作業員の仕事に従事しながら、作業車に行政書士六法を持ち込んでは勉強を続け、2012年に27歳で合格。
当時20代開業者は行政書士全体の中で1%を切るという少なさで、同年開業。以来。「印鑑1本で負担のない相続手続」をモットーに、横浜市で相続の悩みに直面する依頼者のために、誠実に寄り添っている。最近は安心して相続手続したい方々へ向け、事務所公式サイト上でコラムを発信しており、相続手続の普及に取り組んでいる。

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未登記家屋とは|固定資産税は発生している?

未登記家屋とは、法務局に登記されていない家屋を意味します。新築時に登記が行われていなかったり、登記すべき建物の種類や構造に変更があったりするにも関わらず、登記が行われなかったなどの理由が考えられます。

この章では未登記家屋について、固定資産税の発生の有無や、未登記か否かを調べる方法についてわかりやすく解説します。

未登記家屋は登記がされていない家屋のこと

本来家屋や建物は法務局にて不動産登記が行われます。登記とは国が管理している登記簿に権利関係を登録するもので、不動産の場合は土地や建物の所有者氏名や住所、所在地、地目、構造などが記載されています。

未登記とは、登記が行われていない状態です。未登記状態が起きてしまう理由は主に以下です。

  • 登記のルールがあいまいだった時代に建てられた
  • 増改築した一部分の登記を失念した
  • 抵当権が不要のため家屋の登記をしなかった、などが考えられます。

未登記かどうかを調べるためには「固定資産税納税通知書」「土地家屋名寄台帳」を確認されることがおすすめです。家屋の場合は家屋番号が空欄、もしくは「未登記」と記載があったら、その家屋は未登記家屋であるとわかります。

合わせて読みたい:名寄帳とは?取得方法や相続時の活用方法を行政書士が解説!

未登記家屋にも固定資産税は課税されている

なぜ固定資産税納税通知書など、固定資産税にまつわる書類で未登記の有無がわかるのでしょうか。結論からいうと、たとえ未登記であっても家屋には固定資産税が発生するためです。

不動産の所有者は登記にかかわらず所有している不動産に発生する固定資産税を支払う義務があります。不動産が所在している自治体は未登記の建物もしっかり調査し、把握しています。そのため、固定資産税関係の書類に未登記であっても記載があるのです。

あわせて読みたい:相続時に不動産はどのように調べる?調べ方や注意点を行政書士が解説

未登記家屋を相続する際の注意点

被相続人の相続財産の中に未登記家屋が含まれている場合、相続する際にはどのような注意点があるでしょうか。この章では2つの注意点にわけて紹介します。

相続登記は義務化されている

2024年4月以降、相続登記は義務化されています。未登記家屋を相続する場合、以下のステップを踏まえて相続登記に向けて準備を進める必要があります。

  1. 未登記家屋を相続する人を決める
  2. 建物表題登記の申請を行う
  3. 所有者保存登記の申請を行う

未登記状態の家屋を正当な理由なく登記せずに放置してしまうと、相続登記の義務化に違反することとなり、10万円以下の過料が科せられるおそれがあります。また、未登記の家屋の売却が出来ない可能性があるため注意が必要です。

未登記状態で放置していると、相続人がどんどん増えてしまい、次の相続時にさらに大きな負担を残すことになります。なお、未登記の家屋を登記上に表示(表題登記)するのは土地家屋調査士が行います。

未登記家屋でも売買自体は可能ですが、買主側が表題登記・所有者保存登記を行うため、費用と手間を負担することになります。さらに、解体する場合は滅失登記の負担も発生するため未登記家屋の売買に関心を持つ人の数は限られてしまうのです。

合わせて読みたい:相続法改正のまとめ|2024年4月・2023年4月・2018年7月の改正を行政書士が解説!

固定資産税の納税義務は相続人が引き継ぐ

未登記家屋であっても、固定資産税の納税義務は相続人に引き継がれます。相続開始後は所有者が確定するまで共有状態として相続人全員が納税義務を負うことになります。

そのため、相続人間で誰が固定資産を取得するのかを明確にし、納税義務者を変更する手続きを行うことが重要です。

固定資産税の支払者を変更する方法

遺言書や遺産分割協議によって未登記家屋の所有者が決まったら、速やかに固定資産税の支払者も変更しましょう。この章では変更方法について、手続方法をわかりやすく解説します。

亡くなられた年の固定資産税は納付済み場合

被相続人の固定資産税がすでに納税済みだった場合、亡くなられた年の翌年1月1日までに相続登記を行いましょう。

固定資産税は賦課期日(1月1日)時点の登記簿上の所有者に課税されます。12月31日までに相続登記を行えば自動的に翌年度以降の納税通知書は、新しい登記簿上の所有者に送付されます。

亡くなられた年の固定資産税が未納の場合

1月1日以降に時点の所有者が亡くなり、本年度の固定資産税が未納の場合は被相続人宛に郵便物が発送されるため、漏れなく納税が必要です。

亡くなられた年の12月31日までに相続登記を行えば新所有者となる相続人へ固定資産税納税通知書が発送されますが、相続登記が完了しない場合は、固定資産を現に所有している者(一般的には法定相続人)に送付されます。

遺産分割協議が終わっていなくても、固定資産税は支払う必要があるため相続人間で協議が必要です。

横浜市における固定資産税の注意点

令和2年度の地方税法改正を受けて、横浜市では市の条例で「固定資産の現所有者に関する申告」が義務化されています。

登記簿上の所有者が亡くなられた場合、現所有者であると知った日から3か月以内に固定資産現所有者申告書を不動産が所在する区の区役所税務課へ提出することが必要です。この手続は相続登記とは別ですので漏れなく行いましょう。

未登記の家屋の場合は、未登記家屋が所在する区の区役所へ未登記家屋の所有者変更申請書を提出します。

参考URL  横浜市 土地・家屋の名義人が亡くなられた場合の固定資産税・都市計画税について(相続登記・現所有者申告制度)

横浜市における所有者変更申請書と必要書類

相続を理由に横浜市で所有者変更申請書を提出する際には、以下の書類をご用意ください。

  • 固定資産現所有者申告書
  • 被相続人及び相続人の戸籍(除籍)謄本または法定相続情報一覧図の写し(原本)
  • 相続人の住民票(写し可)
  • 法定相続以外で相続する場合、遺産分割協議書など相続の内容を証する書類(原本)
  • 遺産分割協議書などに押印された実印の印鑑登録証明書(原本)

相続人の住民票については、住民票以外での住所確認も可能です。固定資産現所有者申告書は以下サイトからPDF形式でダウンロードできます。

参考URL  横浜市電子申請・届出システム 【様式ダウンロード】固定資産現所有者申告書

未登記家屋の相続は相続登記と固定資産税に注意しよう

未登記家屋を相続した場合、法的な権利関係を明確にするための相続登記と、毎年発生する固定資産税の両方に注意が必要です。

横浜市にお住まいの方は、相続登記とは別に「固定資産現所有者申告書」の提出が義務付けられている点を忘れてはなりません。本記事を参考にお手続きを進めてください。

横浜市の長岡行政書士事務所は、各専門家とも連携した相続手続を実施しています。まずはお気軽にご相談ください。

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長岡 真也(行政書士)

長岡行政書士事務所代表。1984年12月8日生まれ。
23歳の時に父親をガンで亡くしたことから、行政書士を志す。水道工事作業員の仕事に従事しながら、作業車に行政書士六法を持ち込んでは勉強を続け、2012年に27歳で合格。
当時20代開業者は行政書士全体の中で1%を切るという少なさで、同年開業。以来。「印鑑1本で負担のない相続手続」をモットーに、横浜市で相続の悩みに直面する依頼者のために、誠実に寄り添っている。最近は安心して相続手続したい方々へ向け、事務所公式サイト上でコラムを発信しており、相続手続の普及に取り組んでいる。

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