公正証書遺言の方が優先される?実際の効果と確実性を行政書士が解説!

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公正証書遺言と自筆証書遺言だと、なんとなく公正証書遺言の方がしっかりしていて効力が強いように感じませんか。実際どちらが強いのでしょうか。

今回はそんな疑問を、またまた猫ちゃんが【文学風】に解説してくれるようですよ。

・・・・・

吾輩は猫である。

名前はまだないが、そろそろちゃんとした名前が欲しいお年頃ではある。

なにせ、わが主ときたら、最近再びハマっているファンタジー映画から吾輩の名前を付けようとしている。

ある日はハリー、ある日はロン、ある日はハーマイオニーときたもんだ。

どうしても吾輩をホグワーツ魔法魔術学校の生徒にしたいらしい。

まあ、どうして吾輩がここで語っているかというと、わが主が原因だ。

以前、わが主の人間(女性)が、薄暗いところでニャーニャー泣いていた。

どうやら主の父親の遺言やら相続やらの問題で、わが主もほとほと困っていたようなので、行政書士の長岡とやらのもとに出向かせたのだ。

すると、長岡とやらの仕事っぷりに崇敬の念すら抱いたわが主が、「行政書士に、私はなる!」と言い出す始末。

相談者を見つけては足しげく事務所へ通う日々なのである。

今日もわが主は、あの映画に出てきた百味ビーンズを作ったとか言って、長岡とやらにおすそ分けしに出掛けていった。

そんな、わが主のマイブームのせいか、今日はさすがの吾輩も腰を抜かすような出来事が起きた。

わが主が勉強用にと預かっていた、わが主の祖父の遺言書がしゃべりだしたのである!

この記事の執筆・監修者
長岡 真也(行政書士)

長岡行政書士事務所代表。1984年12月8日生まれ。
23歳の時に父親をガンで亡くしたことから、行政書士を志す。水道工事作業員の仕事に従事しながら、作業車に行政書士六法を持ち込んでは勉強を続け、2012年に27歳で合格。
当時20代開業者は行政書士全体の中で1%を切るという少なさで、同年開業。以来。「印鑑1本で負担のない相続手続」をモットーに、横浜市で相続の悩みに直面する依頼者のために、誠実に寄り添っている。最近は安心して相続手続したい方々へ向け、事務所公式サイト上でコラムを発信しており、相続手続の普及に取り組んでいる。

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公正証書遺言と自筆証書遺言はどちらが優先される?

公正証書遺言は、安全性が高い遺言書として知られています。

しかし、もし別に自筆証書遺言も同時に存在した場合には、どちらが優先されるのでしょうか。

また、この際どんなトラブルが起きやすいのか。今回は公正証書遺言は自筆証書遺言の優先度の違いを考えてみましょう。

遺言書の種類による優先の違いはない

公正証書遺言は公証役場で保存されるため、自筆証書遺言よりも優先されると勘違いされやすいもの。でも、遺言の種類によって優先度が異なるわけではありません。

公正「だからさ、俺のほうが偉いって。だって名前からして立派じゃん」

自筆「いいや、僕は遺言者自ら書いてるんだ。お手製だよ。僕のほうが偉いにきまってる」

いきなり頭が痛い内輪もめがはじまってしまった。

公正「ねえねえ、君はどう思うの?」

我輩か? 仕方ない。以前長岡とやらに教えてもらった知識ではあるが、教えてやろうか。そもそも、遺言書の種類による優先の違いはない

自筆「え? そうなの?」

遺言の優先度は作成年月日で決まる

種類というよりも「いつ作られたか」が大切です。

そう、吾輩は知っている! 優先は遺言書の種類によってではなく、作成年月日によって決まるのだ。

公正「じゃ、どっちが先輩か後輩かってことだね。遺言の世界は縦社会なんだよ!」

体育会系の部活か! 実際、どちらが先に書かれたものかわかるのか?

合わせて読みたい:遺言書が2枚以上出てきたらどうする?複数枚の遺言の優先順位について行政書士が解説!

新しい遺言が優先されることになる

遺言の世界にも先輩後輩があるみたいですが、原則として遺言者の意思表示が重んじられます。

新しい遺言の方が最新の意思表示であり、つまりは真意に近いと言えます。そのため、遺言の世界ではフレッシュな方が強いのです。

自筆「それは…公正証書遺言のほうだけど」

公正「ああ、僕のほうが1年先輩だ」

ふむ、確か公正証書遺言を書いたけど、1年後に自筆証書遺言を書いたのだったな。

公正「そうさ。おい自筆、後輩なんだから菓子パンとコーラ買って来いよ」

待て待て。この場合は、日付が新しいほうが優先されるから、この場合、自筆証書遺言の方が優先されることになるんだが。

合わせて読みたい:遺言書は撤回できるのか? 撤回方法とその注意点について行政書士が解説!

自筆「ふふん、やっぱり俺じゃねえか。おい、公正、ちっと肩揉んでくれよ」

…お前らはまったく。確かに優先とはなるが内容はどんなんだ?

内容が矛盾していなければ無効とはならない

新しい遺言で前の遺言の内容と矛盾するような箇所がある場合、それは前の遺言を撤回したものとみなされます。逆に言えば、内容に特に矛盾がないときは、新しい意思表示として両方とも有効になりえます。

自筆「内容?」

例えば、古い日付の遺言書に「すべての不動産を長男へ」と記載してあり、新しい遺言書に「すべての預貯金を長女へ」と記載されていたとしよう。

公正「内容が違っているね」

この場合、双方の遺言内容が重複していないから、いずれも有効とみなすわけだ。

公正「なるほど、じゃ、どちらも有効ってわけなんだね」

同じ内容で、かつ不備がなければ確かに後から作成された自筆証書遺言が優先されるが、内容が違うなら、どちらが偉い…じゃなくて、優先されるわけではないと長岡とやらが言っていたぞ。

自筆「…そうか。俺たち間違ってたよ。内容が違うなら、個性ってわけだよな」

…まあ、当たらずとも遠からずだな。大事なのは、それぞれのメリットとデメリットをふまえたうえで、遺言者が一番最適な方法で遺言を残すことであろう。

合わせて読みたい:財産処分によって遺言は撤回される?生前処分による遺言の一部撤回について行政書士が解説

公正証書遺言でも注意点はある

公正証書遺言自筆遺言証書の優先度はともに並列ですが、どちらが確実性の高い遺言書と言えるのかについては公正証書遺言に軍配が上がります。

しかし、公正証書遺言とはいえトラブルがゼロであるわけではありません。

自筆「トラブルって…公正はこう見えてすごくきっちりしたヤツだぜ? どんなトラブルがあるって言うんだ?」

長岡とやらが言っていたが、大きくは3つ。まずは遺留分によるトラブルだ。

遺留分の請求

遺留分とは相続人が最低限有する遺産を受け取ることができる範囲です。遺言書がこれを侵害していれば、状況によっては争いになります。

公正「遺留分は僕の泣き所だね。遺留分を侵害された側の相続人は、請求できる権利を持っているから、遺言書をきっかけに相続人間でトラブルになることは確かにあるんだ…」

※もちろん、公正証書遺言に限らず自筆証書遺言でも遺留分の請求をされることはあります。

遺言能力が欠けている

自分のしている行為がわかって、自分の意思で遺言を作成することを遺言能力と言います。場合によってはこれが欠けていることがあり、その場合は無効となることがあります。

次に遺言能力に疑問があるケース。公正証書遺言でも、遺言者が認知症を患っていたなどの理由で効力が争われたケースが実際にあるようでな。

公正「ああ、錯誤・詐欺・脅迫とか、民法上の無効・取消原因が認められると公正証書遺言であっても無効となることはある…」

あとは証人が不適格だったケースだな。

証人としてふさわしくない人が証人となった

公正証書遺言は、その公的な性格を担保するため2人の証人を必要とします。そうすることで、より客観性と確実性がある書類となります。しかし、能力上の問題があったり利害関係が絡んでいたりするため、証人にふさわしくない人もいます。

公正「…公正証書遺言は証人が2名以上必要だが、この人たちは証人になれないんだ。もし証人になっていたら無効になる」

  • 未成年者
  • 推定相続人
  • 受遺者、受遺者の配偶者および直系血族
  • 公証人の配偶者、4親等以内の親族、書記、使用人

合わせて読みたい:公正証書遺言の証人は誰に依頼する?なれない人・なれる人を行政書士が解説!

確実な遺言作成のため行政書士にご相談ください

公正「ハハ…なんだよ、僕は完璧だと思っていたのに、そうじゃなかったんだな」

自筆「バッカヤロー! お前がすげえやつだってのはこの俺が一番知ってるぞ。さっき、この猫バスも言ってたろ、どちらが優先されるわけでもないって」

誰がトトロに出てくる「メイちゃんゆき」猫バスや。世界観変わっているではないか。

公正「…自筆、ありがとう。そうだね、僕たちは遺言者にとって最後の望みなんだ…しっかりしなくちゃね」

自筆「おお、その意気だぜ」

…吾輩はいったい何を見せられているのか。

公正「遺言書の作成は行政書士さんからアドバイスをもらいながら…つまり、僕たちのことをすごくよくわかっている理解者のもとでやるのが一番だよね」

それは同感だ。特に長岡とやらなら、こやつらの気持ちを汲んでうまく撮り測ってくれるであろう。

自筆「ああ。今日はすまなかったな。あんたも話を聞いてくれてありがとうよ」

まあ、暇つぶしにはちょうどよい。わが主に相談するよりはよかったろう…な。さて、一応吾輩の方でおさらいしておくか。

『遺言は種類ではなく作成日により優先度が変わる』

『遺言が効力を持つには、必要な要件をおさえることが大切』

とりあえずこちらはきっちり覚えておこう。

この記事を詳しく読みたい方はこちら:公正証書遺言は自筆証書遺言より優先する?行政書士が詳細を解説!

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この記事の執筆・監修者
長岡 真也(行政書士)

長岡行政書士事務所代表。1984年12月8日生まれ。
23歳の時に父親をガンで亡くしたことから、行政書士を志す。水道工事作業員の仕事に従事しながら、作業車に行政書士六法を持ち込んでは勉強を続け、2012年に27歳で合格。
当時20代開業者は行政書士全体の中で1%を切るという少なさで、同年開業。以来。「印鑑1本で負担のない相続手続」をモットーに、横浜市で相続の悩みに直面する依頼者のために、誠実に寄り添っている。最近は安心して相続手続したい方々へ向け、事務所公式サイト上でコラムを発信しており、相続手続の普及に取り組んでいる。

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