遺言執行手続きとは?行政書士がポイントを解説!

遺言執行手続きとは? 行政書士がポイントを解説! 遺言書
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「遺言があるにしても、一体どんな手続きが必要なのだろう?」

「遺言執行者として、自分は何をするのだろう? 遺言執行者ってそもそも何?」

「そのほかにも執行者として注意すべきことはあるのだろう?」

鈴木「ど、どうしよう。友達の遺言で、遺言執行者にぼくが指名されてしまったのだけれど。どこにでもいる頼りない中年の鈴木は頭を抱えて、考えていました。こうなったら、やっぱり専門家の先生に聞くしか・・・」

 そう思いながら歩いていると、目の前に長岡行政書士事務所がありました。決心したあと、鈴木は扉をノックしました。・・・ガチャ。扉が開きました。

鈴木「せ、先生、突然すみません。ぼく、友達の遺言で、遺言執行者に選ばれました。あの、遺言の執行って何をするんですか? それに執行者って一体なんなんですか?」

長岡「遺言執行について知りたいのですか? まあ、座ってください」

長岡「その、遺言執行とは基本的には、遺言書を確認し、その内容通りに遺産を配分させる作業になります。うーん、そうですね、ざっと説明しましょう」

遺言の執行とは?

鈴木「先生、そもそも、遺言の執行ってなんなんですか? 遺言とか相続とかならなんとなくわかるんですけど。執行?」

長岡「遺言執行とは簡潔に言えば、遺言の内容を実現するためになされる行為です」

鈴木「ジツゲンスルタメニナサレルコーイ・・・」

遺言の内容を実現するためになされる行為

長岡「たとえば、ご友人の遺言で“私が使っていた車は鈴木さんにあげる”という旨があったとします。けれどそれだけで、車が鈴木さんのものになるわけじゃありません。

自動車の名義変更手続きをご友人から鈴木さんに変えて、ようやく車の名義が鈴木さんに移る。これが遺言の内容を実現するということです」

鈴木「なるほどです」

遺言執行は重要な手続き

鈴木「遺言だけで名義が変わるわけじゃないんですね」

長岡「そうです。だから遺言執行という手続きが非常に重要なわけです。車をもらえる権利があったとしても、実際にもらえなかったら意味ないじゃないですか。ちゃんと遺言の内容に沿って名義を変更したりして、それを現実に処理しないと、結局遺言の意味がなくなってしまうのです

遺言の確認

鈴木「先生、でも、遺言通りに進めていくとして、その遺言が偽物だったらどうするんですか?」

長岡「偽造ということですか?」

鈴木「いや、そんなことないと思いますけれど、もしもの場合です。ぼくだってさすがにそんなところにまで責任を持てません」

裁判所による遺言の検認

長岡「そうですね。実は遺言書の“検認”というものがあります」

鈴木「ケンニン・・・」

長岡「簡単にいえば、裁判所に遺言書がちゃんと存在しているか、そして本物か、をチェックしてもらう作業です。遺言は重要な法律行為なので、やはりそこには適正な手続きがあります」

自筆証書遺言、秘密証書遺言

長岡「少し細かい話になりますが、ご友人が作った遺言が、自筆で書いた遺言(自筆証書遺言)や遺言内容を秘密にした遺言(秘密証書遺言)だったりした場合、原則的に、この検認手続きが必要になります」

鈴木「あ、でも確かぼくの友達は、公証役場で遺言を作ってもらったと言っていました」

合わせて読みたい:自筆証書遺言とは|効力やその他の遺言書との違いを行政書士が解説!

公正証書遺言

長岡「ならきっと、公正証書遺言ですね。実は、公正証書遺言の場合、裁判所の検認手続きが不要になります。だって、もう役所の人間がチェックしているんですから。つまり、遺言執行を最初からスムーズに進めることができるということです」

合わせて読みたい:公正証書遺言とは|効力や知っておきたい注意点を行政書士が紹介

鈴木「なるほどです」

長岡「ポイントをまとめておきます」

遺言の種類 裁判所による検認 
自筆証書遺言・秘密証書遺言原則必要
公正証書遺言不要

長岡「どちらにせよ遺言が存在し、本物であるとわかったら、遺言が執行され、遺産分割や財産の移転が始まります。遺言執行者、つまり鈴木さんが、ここから活躍していきます」

遺言執行者とは?

鈴木「そうだ、ぼく、遺言執行者になってしまったんだ・・・」

長岡「なってしまった、とは。信頼されている、名誉なことではないですか」

鈴木「けれど、遺言執行者って一体どんな人で、何をすればいいんですか?」

遺言内容を実現する人

長岡「遺言執行者は、先ほども執行のところで話したように、遺言の内容を実現する人。現実に名義変更をして、車を鈴木さんのものにしてくれる人です。ちゃんと民法にも規定されています」

民法1012条1項 遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する

遺言執行者は必ず要る訳ではない

鈴木「でも遺言執行者って決めなくちゃいけないんですか? なんでぼくなんかに?」

長岡「別に遺言執行者を決める必要はありません。でもその場合、相続人同士で話し合いをして手続きを進めたり、金融機関だと相続人の同意が必要な可能性もあったりと、かなり執行が大変になります。だって、相続人同士の利害や意思が必ず一致するわけではありませんから」

鈴木「大切な人がなくなったのに、もめながら話し合うなんて、嫌だなあ・・・」

合わせて読みたい:遺言執行者が単独で執行できる手続きとはなにか?行政書士が解説!

遺言執行者制度が存在する理由

鈴木「でも、ぼく、遺言執行者なんて、無理ですよ」

長岡「確かに大変かもしれませんが、遺言執行者を選んだご友人はちゃんとした方だったと思います。遺言執行は思ったよりも厄介です。相続人や遺贈を受ける人も、それぞれの思惑があるからです。中立な執行者というのは、その点で、スムーズに遺言を進めるための素晴らしい方法ですきっと信頼されていたのでしょう。誇りに思ってください」

鈴木「じゃあ、ぼくがみんなに車をあげるサンタさんになるんですね!」

長岡「え、いや、遺産は車だけじゃありませんけど・・・(サンタさん?)」

遺産の種類による手続方法

鈴木「そいや、あいつは車だけじゃなくて、家も持っているし、貯金もうらやましいほどあったなあ。ん、これって、これもぼくが名義とかを変更していくわけですよね」

長岡「そういうことになります。けれど、それぞれ手続きが変わるのでご注意を」

鈴木「え」

不動産(家)の場合

長岡「そうですね。たとえば家なら登記の変更をしなければなりません。不動産は登記によって管理されていますから、登記が必須要件になります」

鈴木「登記なんてしたことないなあ、そういえば」

預貯金(債権)の場合

長岡「一方、預貯金の場合は名義変更したり、一旦払い戻したりしてから相続人や受遺者に交付するといった形になります。問題はそれぞれの財産ごとに手続きが違うことなので、それに気をつけるといいでしょう。ここらへんは遺言執行のなかでも非常に大変なところです」

鈴木「なんか頭がパンクしそうです・・・」

長岡「あくまでも一例ですが、話したことをまとめると、

 遺産の種類 手続き 
不動産(家)登記の変更
預貯金(債権)名義変更または払い戻して再交付

という形になります。頑張ってください。

遺言の文言にも注意

長岡「パンクしそうなところ申し訳ないですが、まだ遺言執行において気をつけるべきポイントがあります」

鈴木「え、まだあるんですか・・・」

長岡「法律というものの性質上やむを得ないのですが、文言の確認です」

相続させるの意味

長岡「遺言の文言で遺言の意味合いがかわってしまうので、それも注意した方がいいでしょう。”相続させる”とあったら、それは相続人(妻や子供などの身内)に遺産を受け継いでもらうことになります」

鈴木「でも遺産を与えるのって、相続以外に何かあるんですか?」

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遺贈するの意味

長岡「実は”遺贈する”というのがあります。相続が受け継いでもらうという感じなら、こちらはあげる”といった感じでしょうか

鈴木「なぜそんなものがあるのですか?」

長岡「相続は妻や子供などの身内、つまり相続人しかすることができません。けれど、遺贈は、それ以外の人にもすることができます。ご友人は鈴木さんとは家族ではないけれど、遺贈によって鈴木さんに車をあげることができるんです」

鈴木「友達って素敵です!」

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言葉が変わるだけで行為の性質が変わる

鈴木「けれど些細な言葉の違いで、内容が大きく変わってしまうのですね」

長岡「はい。言葉が違うだけで、行為の性質が変わってしまうのが遺言という法律行為なので、ちょっと遺言を確認するとき、こういう言葉のニュアンスに気をつけたほうがいいでしょう。執行は遺言に沿って行われるのですから」

鈴木「は、はい、気をつけます(もう頭がパンクしそうですが・・・)」

合わせて読みたい:特定財産承継遺言とは?遺贈との違いや作成時の注意点を行政書士が解説

遺言執行は重要な手続き!行政書士などの専門家に相談しよう

鈴木「えっと、ちょっと細かいことはあれですが、とにかく基本的には、遺言を確認し、その財産や名義を移転させていく、という感じですよね」

長岡「おっしゃるとおりです。けれどそのシンプルな作業に、たくさんの注意点があります。今回話したことをまとめただけでも、遺言執行をするために、

① 裁判所による遺言の検認が必要か

② 遺言執行者は定められているか、そして何をするか

③ 遺産の種類ごとの適切な手続きは何か

④ 遺言書の文言はどんな法律行為に該当するのか

などを考えていく必要があります」

鈴木「た、大変だあ」

長岡「それに、実は遺言執行者の定め方も、結構細かい作業が求められます。それはそうです。法律は権利関係を確かなものにするためにありますから、どうしてもある程度細かな配慮が必要になります

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鈴木「本当に大変です。うう・・・」

長岡「ですから、もし不安ならば私のような行政書士などの法律専門家に相談してみるのがやはり安心できる近道だと思います」

鈴木「はい、先生。今日はありがとうございました! ぼく、やります、やってみせます! あいつの遺言執行人!」

・・・鈴木はいくらかすっきりした顔で、事務所を去りました。きっと自分でもなんとかなると思ったのです。

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この記事の執筆・監修者
長岡 真也(行政書士)

長岡行政書士事務所代表。1984年12月8日生まれ。
23歳の時に父親をガンで亡くしたことから、行政書士を志す。水道工事作業員の仕事に従事しながら、作業車に行政書士六法を持ち込んでは勉強を続け、2012年に27歳で合格。
当時20代開業者は行政書士全体の中で1%を切るという少なさで、同年開業。以来。「印鑑1本で負担のない相続手続」をモットーに、横浜市で相続の悩みに直面する依頼者のために、誠実に寄り添っている。最近は安心して相続手続したい方々へ向け、事務所公式サイト上でコラムを発信しており、相続手続の普及に取り組んでいる。

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