「独身の自分が亡くなったとき、親戚に相続手続で迷惑をかけたくない…」。そんなご希望をお持ちの方は少なくありません。どんなに終活を行なっていても、生前にすべて死後事務を片付けてしまうのは不可能というもの。
「では、独身者は相続手続を誰に頼めばいいの?」
実は「死後事務委任契約」という契約で、お一人様が死亡後の親族の負担を減らす対応策があります。この契約を活用すれば、独身者は相続手続について、行政書士などに依頼することができるのです。
今回は死後事務委任契約とは何か、手続きや対応策まで「報道ニュース風」にご紹介します。
皆様、こんばんは。社会の構図をわかりやすくお届けするニュース番組「報道小路」のお時間です。アナウンサーの西園寺遺子です。
この西園寺がさまざまな現場を徹底的に取材しており、この合成皮の手帳、通称、白革の手帳にまとめておりますのでご期待ください。
本日の特集はお一人様の終活ということで「死後事務委任契約で親族の負担を減らすには?」です。
本日はコメンテーターとして、死後事務委任契約に詳しい寺務マカセさんにお越しいただいています。
では、早速まいりましょう。いつものセリフでスタートです。
「私、調べましたけど!」
死後事務委任契約とは
死後事務委任契約は、死後に行わなければならない事務手続きや整理を生前のうちに第三者に依頼する契約です。
死後事務は、死亡後の関係者への連絡から役所に対する連絡、病院や公共料金の支払いに至るまで煩雑な手続きなどのこと。こうした手続きを委任していくことができるのです。
身寄りがいないお一人様の終活の一環として、最近は注目されています。
死後事務委任契約の活用がおすすめな人
遺子「さて、寺務さん。死後事務委任契約、どんな方に必要な契約なんでしょうか?」
寺務「死後事務委任契約をしたほうがいいのは…」
遺子「身寄りがいないお一人様等のご自身の死後の事務手続きにご希望がある場合ですよね!」
寺務「(しゃべれない…これがコメントキラー…西園寺遺子…)」
遺子「例えば、子どもも誰も家族がいない人や家族が高齢で頼めないとか、家族と絶縁している、内縁関係や事実婚、家族と希望が異なるとき等…いろいろなケースがありますが、自分の相続手続について頼れる人に心当たりがない場合は死後委任契約を考えていいでしょうね」
寺務「…は、はい。あとは家族と死後の意向が違うとか…」
遺子「ですよね、私今それ言おうと思ってました。本人は樹木葬にしてほしいけど、家族が反対だとか」
寺務「そうですね」
死後事務委任契約で実現可能なこと
寺務「さっき埋葬方法についての話がありましたけど、死後事務委任契約でそんなことまで任せられるんですか?」
遺子「ということで、死後事務委任契約で可能なことをフリップにまとめてみました。こちらです」
死後事務委任契約で実現可能なこととしては、次のようなことが挙げられます。
- 依頼者が希望する形式でのお葬式
- お墓の管理
- 行政への届出
- 住居の明渡し
- 親族や関係者への連絡
- 医療費や施設利用費の精算
- 残されたペットの引き継ぎ先への引き渡し
- SNSのアカウント削除やwebサービスの解約
- デジタル遺品に関する手続
遺子「けっこういろいろできるんですね。デジタル遺品などは確かに委任しておきたいですね。」
死後事務委任契約で実現不可能なこと
死後事務委任契約はさまざまなことに活用できますが、実現不可能なことも存在します。
相続や身分関係に関する事項
相続分の指定
遺産分割方法の指定
認知や遺言執行者の指定
生前に発生する手続き
生前の財産管理
生前の身の回りのこと
寺務「相続や身分関係については…死後委任契約では実現できないんですね」
遺子「はい、相続や身分関係については遺言書に記載しないと法的拘束力はないですものね!このような相続・身分関係についてのことを実現したい場合は、遺言書を作成して、遺言執行者という役割の方を指定する必要があります!」
死後事務委任契約と遺言執行の違い
寺務「死後事務委任契約は、遺言執行と勘違いされやすいですが、似て非なるものなんですね」
遺子「遺言は、財産の承継についてのご希望を表明したもので、遺言執行者は遺言に基づいて遺言者の意思に沿って財産の承継を行うわけですよね」
寺務「つまり、遺言では財産の承継以外の手続きはできず…財産の承継以外のことを死後事務委任契約で扱うんですね」
実は遺言書には「遺言事項」という、書ける内容(効力を持つ内容)が定められています。
- 財産の処分に関する事項
- 相続人に関する事項
- 身分に関する事項
- 遺言の執行に関する事項
これら遺言事項を実現してくれるのが「遺言執行者」です。
関連記事:遺言執行者は何をやる?遺言執行手続きの進め方や注意点を行政書士が解説!
反対に考えると、遺言事項以外のこと、たとえば「死後の住居の明渡し手続き」などは、遺言書に書いても効力がないということです。
このような遺言事項以外のことで、死後の手続きを頼みたい場合には、死後事務委任契約を活用しなければなりません。
死後事務委任契約と遺言執行は、お互いに対応できないことを補完し合っているともいえるでしょう。
死後事務委任契約の手続き方法
死後事務委任契約の手続きをする際には、まず死後事務委任契約で依頼したい内容を確認しましょう。
どんなことを依頼したいか、何を不安に思っているのか、受任者に相談しながらまとめていくのが理想です。
遺子「さて、委任内容がまとまったら、あとは契約の手続きです。こちらは大きく分けて2ステップですね。
契約書の作成
口頭などではなく依頼者の生前の意思を明確に残すために契約書の作成をしておきましょう。
公正証書化
できあがった契約書を公証役場で公正証書にします。公正証書にしておくことで、あとから内容の是非をめぐってトラブルになるのを防げます。
遺子「ちなみに、公正証書にするためにはどんなものをそろえる必要があるのか。ではここで、この白革の手帳の出番です! 寺務さん、ご一緒にお願いします!」
遺子「私、調べましたけど!!!」
世美「(私、ほとんどしゃべれてませんけど!!!)」
死後事務委任契約時に必要な書類
実印+印鑑証明証(発行後3ヶ月以内のもの
認印+顔写真付きのマイナンバーカード
認印+自動車運転免許証
認印+顔写真付きの住民基本台帳カード
遺子「はい、こちらのいずれかと1万1000円の手数料ですね!」
寺務「…ですね。一応、公証役場に問い合わせてから準備しましょうね…」
契約書を公正証書とする手続についても、行政書士に相談できます。横浜市の長岡行政書士事務所でも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。
お一人様の相続手続に悩んだら行政書士にご相談を
お一人様の相続手続への対策として、遺言書だけではなく死後委任契約を活用する方も増えてきました。
自分が手続きをしてもらう側だとしたら、これらの準備を進めておくといいでしょう。
反対に、自分がお一人様の親戚に該当し、あまり付き合いのなかった故人の相続手続をしなければならないこともあるかもしれません。もし故人が死後委任契約を結んでいたとしたら、その契約者が手続を進めてくれるでしょう。
しかし故人が何も対策していなければ、付き合いがなかったとはいえ、親戚として相続手続に対応しなければならないこともあるかもしれません。
このようなお一人様の相続手続に悩んだら、ぜひ横浜市の長岡行政書士事務所にご相談ください。長岡行政書士事務所は相続手続を全般的にサポートしているため、行政への手続などもご相談いただけます。
お一人様の相続の場合、具体的な手続に入る前に、まずは相続人・相続財産を調べたりする必要もあるため、ぜひ一度ご相談ください。初回相談は無料です。