代表相続人とは何か?相続時に定める意味と代表的な業務を行政書士が解説!

代表相続人とは何か? 相続時に定める意味と代表的な業務を行政書士が解説! 相続手続の基礎
相続手続の基礎

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「なぜ相続人の間で代表者を決める必要があるのですか」  
「代表になると何か特別な権限が与えられるのでしょうか」  
「手間が増えるから、多めの相続を期待していいのかな」
 

皆様は「代表相続人」という言葉を聞いた事はありますでしょうか? 

相続人なら知ってるけど・・・その代表者のこと? と思われるかもしれませんね。 

実際のところ、複数の相続人がいる相続が発生した際にはこの代表相続人が重要な役割を果たすことになります。 

本日はこの代表相続人の定義とその仕事内容、そして注意すべき点を解説していきます。 

代表相続人とは手続を進めるための地位 

代表相続人という立場が法律で定められて、権限が与えられているわけではありません。 

相続人が複数いる場合の代表者

あくまでも相続人が複数いる場合に、代表して手続きを行う人という意味です。 

例を用いて説明していきましょう。 

高齢のAさんが亡くなり、配偶者のBさん、長男のCさんと長女のDさんが相続人になりました。 

Aさんは遺言を残してくれなかったので、相続人の3人で遺産を分けることにしました。 

遺産の中に不動産はなく、全て預貯金として銀行に預けられているものとします。 

故人の銀行口座から金融資産を引き出す場合は、相続人全員の署名捺印を揃えてから銀行で手続きをしないといけません。 

代表相続人が遺産分割を取り仕切る役目

このような場合に、相続人全員を代表して長男のCさんが代表相続人になれば、CさんがAさんの預金口座を解約して一度全額自分で預かってから、BさんとDさんに分配するということができるようになります。 

そしてこの例のような預貯金に限らず、納税や相続登記等とそれぞれに別の代表相続人を立てることも可能です。 

銀行手続きはCさんが、納税関係と相続登記はDさんが代表相続人として取り仕切るという感じです。 

それでは、具体的に代表相続人が行う業務を見てみましょう。 

代表相続人が遺産分割で行うべきことを解説 

ここからはより理解を深めていただくために、代表相続人が行うべきことうちの主なものを具体的に解説していきます。 

金融機関にある遺産の受取と分配を行う 

先ほどの例の通り、銀行口座にある遺産を引き出したり口座自体を解約したりするためには、相続人全員の署名捺印を集めて銀行で手続きを行う必要があります。 

相続人の中から代表相続人を選び銀行での手続きを一任することで、代表相続人が故人の遺産である預貯金をおろして一旦預かり、改めて他の相続人に分配するという形をとることができます。 

その際の注意すべき点としては、代表相続人は受け取った故人の預貯金を自身の預貯金と混同しないようにすることです。 

預貯金の額が大きかったり比較的縁の薄い相続人がいる場合、自身の預貯金と一時的にしろ混ぜてしまうとあらぬ疑いをかけられてしまうおそれがあります。 

そのため、相続資産を管理するための専用口座を新たに開設し、自身の資産と相続資産が混ざることを避け混乱や誤解を防ぐようにしましょう。 

合わせて読みたい:相続発生後の死亡届と銀行凍結の関係について~行政書士が解説します!【相続座談会】

代表して固定資産税の納税通知書を受け取る 

故人が不動産を所有していた場合は、その不動産を相続した相続人が固定資産税を納税する義務を負います。 

しかし市町村は誰が相続人になったのかがわからないため、相続人の方から市町村に対し誰が代表相続人かを申し出る必要があります。 

市町村はその申し出に従い代表相続人に対し納税通知書を送ることになります。 

もっとも、代表相続人になり納税通知書を受け取ってもその人にすべての納税負担が生じるわけではないことに注意してください。 

代表相続人はあくまでも納税通知書を受け取り、必要な手続きを相続人全員の代表として行うだけです。 

この点については他の相続人にも理解を得て、代表相続人がまとめて払ってくれる等の誤解がないようにしておきましょう。 

相続税の申告手続きを代表して行う 

固定資産税は不動産を所有した人にかかる税金ですが、遺産を相続した時もその相続財産に対し相続税がかかります。 

相続税の申告の際は税理士のアドバイスを受けながら行う場合もあります。 

代表相続人が窓口になり必要な書類などを取りまとめて提供することで、税理士も効率的に手続きを進めることができ結果として円滑な相続につながります。 

不動産の相続登記や売却手続きをとりまとめる 

不動産を相続した際は相続登記を行い名義変更をしないといけません。 

複数人で共同して不動産を相続した場合は、代表相続人が相続登記を取りまとめて申請等を行うことで手続きをスムーズにすすめることができます。 

また、不動産を共有するのではなく売却してその代金を相続人同士で分配する場合(換価分割といいます)、代表相続人が売却や資産の分配を手配することもできます。 

換価分割に関しては当事務所の別コラムもご参照ください。 

あわせて読みたい>>>遺産分割時の換価分割とは|押さえておきたい4つのポイントを行政書士が解説 

代表相続人に関する3つの注意点

このように、相続を進めるためにあたり代表相続人は非常に便利ですが、3点ほど注意すべき点があります。 

代表相続人を引き受けても相続分に影響するわけではない 

よく勘違いされやすいのが、代表相続人は他の相続人より手間が増えるので相続分も多くなるのではないか、という点です。 

相続人としての権利は代表相続人もその他の相続人も同じです。 

つまり、代表相続人になっても遺産の取り分が増えるわけではありません。 

代表相続人を引き受ける人もその他の相続人も、その点は明確に理解したうえで代表相続人を選ぶことが大切です。 

ただし、遺言がない相続では相続人全員の合意で相続の取り分を決めることが可能なので、手間が多くなってしまう代表相続人に対して何らかの報酬をあらかじめ約束したり、多めに財産を相続させたりするという調節は可能になります。 

相続放棄をしたら代表相続人にはなれない 

代表相続人はその名の通り「相続人」なので、相続放棄により相続人でなくなった人は代表相続人になる事ができません。 

注意すべき点としては、税金に関して代表相続人であると市町村に連絡すると固定資産税の通知書がまとめて送られてきますが、自分の分を払ってしまうと相続したとみなされて相続放棄ができなくなってしまう可能性があります。 

相続放棄をすると判断したら自分が代表相続人になる場合も、他の相続人が代表相続人になる場合も、どちらの場合でも速やかに意思表示を徹底することが大切です。 

あわせて読みたい>>>相続放棄とは?遺産相続で負債がある場合の対処法を行政書士が解説!

払戻のお金を分配しても贈与税は発生しない 

人から財産をもらうと、もらった側は贈与税という税金を払う必要があります。 

金融資産の受取と分配に関し代表相続人になると、相続人を代表して故人の預貯金を受け取り、その後に相続人間で分配することになります。 

この相続人間の分配によりお金の受け渡しが生じますが、これはあげる・もらうという行為ではなく代表相続人による単なる遺産の分配なので贈与税はかかりません。 

代表相続人は遺産分割を円滑に進めるために必要 

これまで解説してきたように、代表相続人は法律により権限が与えられた役割ではなく、相続を円滑に進めるために設けられた便宜上の代表者になります。 

仕事をしていて日中に時間がとりにくかったり、手続きの便宜上の為とは言え書類を取りまとめたりする中で、相続の経験があった方が手続きを円滑に進めやすくなることも多いです。 

是非専門家のサポートを有効に使い、円滑な相続を達成してください。 

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この記事の執筆・監修者
長岡 真也(行政書士)

長岡行政書士事務所代表。1984年12月8日生まれ。
23歳の時に父親をガンで亡くしたことから、行政書士を志す。水道工事作業員の仕事に従事しながら、作業車に行政書士六法を持ち込んでは勉強を続け、2012年に27歳で合格。
当時20代開業者は行政書士全体の中で1%を切るという少なさで、同年開業。以来。「印鑑1本で負担のない相続手続」をモットーに、横浜市で相続の悩みに直面する依頼者のために、誠実に寄り添っている。最近は安心して相続手続したい方々へ向け、事務所公式サイト上でコラムを発信しており、相続手続の普及に取り組んでいる。

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