「代表相続人という存在があると知った。なぜ相続人の間で代表者を決める必要があるのですか」
「代表相続人になると何か特別な権限が与えられるのでしょうか」
「代表相続人としての手間が増えるから、多めの相続を期待していいのかな」
皆様は「代表相続人」という言葉を聞いた事はありますでしょうか?
相続人なら知ってるけど・・・その代表者のこと? と思われるかもしれませんね。
今回は横浜市で相続手続をサポートしている行政書士の目線から、代表相続人の主な業務や決め方、定める意味を解説します。
代表相続人とは
代表相続人とは相続手続を進めるための地位のことです。
しかし代表相続人という立場が法律で定められて、権限が与えられているわけではありません。
あくまでも相続人が複数いる場合に、代表して手続きを行う人という意味です。
例を用いて説明していきましょう。
高齢のAさんが亡くなり、配偶者のBさん、長男のCさんと長女のDさんが相続人になりました。
Aさんは遺言を残してくれなかったので、相続人の3人で遺産を分けることにしました。
遺産の中に不動産はなく、全て預貯金として銀行に預けられているものとします。
故人の銀行口座から金融資産を引き出す場合は、相続人全員の署名捺印を揃えてから銀行で手続きをしないといけません。
このような場合に、相続人全員を代表して長男のCさんが代表相続人になれば、CさんがAさんの預金口座を解約して一度全額自分で預かってから、BさんとDさんに分配するということができるようになります。
そしてこの例のような預貯金に限らず、納税や相続登記等とそれぞれに別の代表相続人を立てることも可能です。
銀行手続きはCさんが、納税関係と相続登記はDさんが代表相続人として取り仕切るという感じです。
代表相続人の主な業務
代表相続人の主な業務としては、次のような例が挙げられます。
- 金融機関にある遺産の受取と分配を行う
- 代表して固定資産税の納税通知書を受け取る
- 相続税の申告手続きを代表して行う
- 不動産の相続登記や売却手続きをとりまとめる
金融機関にある遺産の受取と分配を行う
先ほどの例の通り、銀行口座にある遺産を引き出したり口座自体を解約したりするためには、相続人全員の署名捺印を集めて銀行で手続きを行う必要があります。
相続人の中から代表相続人を選び銀行での手続きを一任することで、代表相続人が故人の遺産である預貯金をおろして一旦預かり、改めて他の相続人に分配するという形をとることができます。
その際の注意すべき点としては、代表相続人は受け取った故人の預貯金を自身の預貯金と混同しないようにすることです。
預貯金の額が大きかったり比較的縁の薄い相続人がいる場合、自身の預貯金と一時的にしろ混ぜてしまうとあらぬ疑いをかけられてしまうおそれがあります。
そのため、相続資産を管理するための専用口座を新たに開設し、自身の資産と相続資産が混ざることを避け混乱や誤解を防ぐようにしましょう。
合わせて読みたい:死亡届を提出すると銀行口座は凍結される?行政書士が詳細を解説!

代表して固定資産税の納税通知書を受け取る
故人が不動産を所有していた場合は、その不動産を相続した相続人が固定資産税を納税する義務を負います。
しかし市町村は誰が相続人になったのかがわからないため、相続人の方から市町村に対し誰が代表相続人かを申し出る必要があります。 (市町村に「相続人代表者指定届」というものを提出します)
横浜市の場合、「固定資産税等に係る現所有者の申告」として次のような定めもあるため注意してください。
令和2年度の地方税法改正を受けて、横浜市市税条例の一部改正が行われ、固定資産の現所有者に関する申告が義務化されました。
地又は家屋の登記簿上の所有者が亡くなられた場合、その土地又は家屋の現所有者の方(相続人など)は、住所・氏名など必要事項を申告していただく必要がございます。ただし、所有権移転登記が完了している場合は、申告は不要です。
引用元:横浜市
市町村はその申し出に従い代表相続人に対し納税通知書を送ることになります。
もっとも、代表相続人になり納税通知書を受け取ってもその人にすべての納税負担が生じるわけではないことに注意してください。
代表相続人はあくまでも納税通知書を受け取り、必要な手続きを相続人全員の代表として行うだけです。
この点については他の相続人にも理解を得て、代表相続人がまとめて払ってくれる等の誤解がないようにしておきましょう。
相続税の申告手続きを代表して行う
固定資産税は不動産を所有した人にかかる税金ですが、遺産を相続した時もその相続財産に対し相続税がかかります。
相続税の申告の際は税理士のアドバイスを受けながら行う場合もあります。
代表相続人が窓口になり必要な書類などを取りまとめて提供することで、税理士も効率的に手続きを進めることができ結果として円滑な相続につながります。
関連記事:相続税申告の税理士報酬は誰がいつ払う?タイミングと分担方法を解説

不動産の相続登記や売却手続きをとりまとめる
不動産を相続した際は相続登記を行い名義変更をしないといけません。
複数人で共同して不動産を相続した場合は、代表相続人が相続登記を取りまとめて申請等を行うことで手続きをスムーズにすすめることができます。
また、不動産を共有するのではなく売却してその代金を相続人同士で分配する場合(換価分割といいます)、代表相続人が売却や資産の分配を手配することもできます。
換価分割に関しては当事務所の別コラムもご参照ください。
あわせて読みたい>>>遺産分割時の換価分割とは|押さえておきたい4つのポイントを行政書士が解説

代表相続人の選び方
代表相続人は、相続人なら誰でもなれます。長男が就任すべき、といった法的な規定もないため、相続人が合意すれば誰が就任しても構いません。
しかし現実的には、相続手続がスムーズに進めるためにも、次のポイントを満たす方を選ぶのがおすすめです。
- 平日の昼間に自由に動ける人
- 事務手続きに強い人
- 責任感のある信頼できる人
平日の昼間に自由に動ける人
相続手続は、役所や銀行などで進めることになりますが、これらは基本的に平日の昼間にしか開いていません。
そのため相続手続をスムーズに進めるためには、平日の昼間に自由に動ける人を代表相続人にしたほうがいいでしょう。
(平日の昼間は仕事をしている人を代表相続人としてしまうと、その方の負担も大きくなってしまいます)
事務手続きに強い人
相続手続では、さまざまな書類を用意する必要があります。
そのためできれば、事務手続きに強い人を代表相続人にしたほうが安心です。
もし代表相続人になったはいいものの、書類用意がうまく進まないという場合には、行政書士などの専門家にも相談してみてください。
もちろん、横浜市の長岡行政書士事務所でもご相談を承っております。
責任感のある信頼できる人
代表相続人が相続手続を進める場合、金融資産などが代表相続人に集約されてから分配されることになるため、万が一にも着服・使い込みなどがあってはなりません。
そのため無用なトラブルを避けるためにも、責任感のある信頼できる人を代表相続人にするべきです。
また、他の相続人から「代表相続人になってほしい」と依頼されたものの、大きな金額を扱うことに不安を感じる方もいるでしょう。
このような場合は、やはり行政書士などの専門家に相続手続を依頼してしまうのも一つの手です。
相続手続のお悩みは
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代表相続人に関する3つの注意点
相続を進めるにあたり代表相続人は非常に便利な存在ですが、3点ほど注意すべき点があります。
- 代表相続人を引き受けても相続分に影響するわけではない
- 相続放棄をしたら代表相続人にはなれない
- 払戻のお金を分配しても贈与税は発生しない
それぞれ詳しく見ていきましょう。
代表相続人を引き受けても相続分に影響するわけではない
よく勘違いされやすいのが、代表相続人は他の相続人より手間が増えるので相続分も多くなるのではないか、という点です。
相続人としての権利は代表相続人もその他の相続人も同じです。
つまり、代表相続人になっても遺産の取り分が増えるわけではありません。
代表相続人を引き受ける人もその他の相続人も、その点は明確に理解したうえで代表相続人を選ぶことが大切です。
ただし、遺言がない相続では相続人全員の合意で相続の取り分を決めることが可能なので、手間が多くなってしまう代表相続人に対して何らかの報酬をあらかじめ約束したり、多めに財産を相続させたりするという調節は可能になります。
相続放棄をしたら代表相続人にはなれない
代表相続人はその名の通り「相続人」なので、相続放棄により相続人でなくなった人は代表相続人になる事ができません。
注意すべき点としては、税金に関して代表相続人であると市町村に連絡すると固定資産税の通知書がまとめて送られてきますが、自分の分を払ってしまうと相続したとみなされて相続放棄ができなくなってしまう可能性があります。
相続放棄をすると判断したら自分が代表相続人になる場合も、他の相続人が代表相続人になる場合も、どちらの場合でも速やかに意思表示を徹底することが大切です。
あわせて読みたい>>>相続放棄とは?遺産相続で負債がある場合の対処法を行政書士が解説!
払戻のお金を分配しても贈与税は発生しない
人から財産をもらうと、もらった側は贈与税という税金を払う必要があります。
金融資産の受取と分配に関し代表相続人になると、相続人を代表して故人の預貯金を受け取り、その後に相続人間で分配することになります。
この相続人間の分配によりお金の受け渡しが生じますが、これはあげる・もらうという行為ではなく代表相続人による単なる遺産の分配なので贈与税はかかりません。
代表相続人ではなく専門家に手続きを依頼する方法も有効
これまで解説してきたように、代表相続人は法律により権限が与えられた役割ではなく、相続を円滑に進めるために設けられた便宜上の代表者になります。
しかし仕事をしていて日中に時間がとりにくかったり、手続きのために書類を取りまとめたりするとなると、代表相続人の負担は大きくなってしまいます。相続人調査のために戸籍情報を調べることも、一般の方には大変でしょう。
相続手続きをスムーズに進めるためには、代表相続人ではなく専門家に手続きを依頼する方法も有効です。横浜市の長岡行政書士事務所も、相続人調査・財産調査・遺産分割協議書の作成など、さまざまな相続手続きをサポートしています。
相続手続きをスムーズに進めたいものの、代表相続人になれそうな方がいない場合には、ぜひ長岡行政書士事務所にご相談ください。初回相談は無料です。

