法定単純承認とは?相続を承認したとみなされる行為を行政書士が解説!

法定単純承認とは? 相続を承認したとみなされる行為を行政書士が解説! 相続に関連する法制度
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遺産相続が起こり、借金等の債務が資産を超過した場合は相続を放棄することを考えると思います。

その場合、例えばお亡くなりの方の財産を処分したり、債務を支払ったとしたらどうなるでしょうか。

相続を「放棄」するにあたってやってはいけないことはあるのでしょうか。

今回はこの相続放棄をする場合にやってはいけないことについて「物語風」にお話しいたします。

・・・・・

むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。

2人の飼っていた愛犬、シロが「ここ掘れわんわん」と小判を探り当て、2人はすっかり大金持ち。

その姿を見ていた神様が、ご褒美にシロを人間にしてくれました。

おじいさんとおばあさんはシロの成長を見守りながら幸せに暮らし、やがて天国へと旅立っていきました。

遺されたシロは、おじいさんの遺言書がきっかけとなり、なんと行政書士になりました!

実家を事務所に改装し「シロ行政書士事務所」として、今日も村人たちの相談に乗っています。

そんなある日、シロの友人でもある隣村の佐吉さんが、真っ赤なオープンカーでブイブイいわせながら、事務所の前に乗りつけました。

佐吉「おう、シロ! ドライブいくべ! 今日は湘南の風になるべ! 灼熱のジャンボリーだべ」

シロ「あれ、佐吉ちゃん。相続のほうはもういいのかい?」

佐吉「相続? そんなもん、後回しだよ。明日できることは、明日に回す。それが俺のポリシーってやつよ」

シロ「大丈夫? たしか亡くなったお父さんに借金があるから、相続放棄するかどうか考えるって言ってたけど、あれ期限あるよ」

佐吉「…え? そうなの?」

シロ「じゃ、とりあえずドライブしながら教えよっか」

佐吉「…行くんじゃん」

相続が起こった時の3種類の承継方法

相続人となった人は、遺産について単純承認、限定承認、相続放棄という3つの選択肢を持ちます。どの選択肢を選ぶにも期限があり、何も知らないまま放っておけば、単純承認を選択したとされてしまいます。

故人の遺産がプラス財産だけの場合は良いですが、借金などマイナス財産が多くあった場合、相続人は不利な状況になってしまいます。ですので特に、法定単純承認は相続人にとっては絶対に知っておかなければならない知識の一つなのです。

単純承認とは

佐吉「そもそもよ、単純承認ってなによ?」

シロ「シンプルに、亡くなった人の財産を相続することだよ。だから手続きとか、そういうのはいらないんだ。でも被相続人が生前に有していた地位や権利義務をまるっと相続するってこと。だから、借金とかマイナス財産も相続することになるんだよ」

佐吉「そりゃねえぜ~」

シロ「このクルマ、売っちゃえば、いくらかは返せるんじゃない」

佐吉「これ…命の次の次の次の次の次に大事な相棒なんだぜ…」

シロ「だいぶ優先順位低いね…」

佐吉「つうかよ、相続放棄と限定承認、どっちにしたらいいか、ぶっちゃけわかんないんだよな…」

限定承認とは

シロ「限定承認は、相続した額の範囲で、マイナス財産を背負うってことだよ。例えば借金が1000万円あって、相続額が300万だったとすると、300万円分は借金返さなくちゃいけないけど、それ以外は佐吉ちゃんが責任追わなくていいわけ」

合わせて読みたい:限定承認とは何か?資産もあるが負債もありそうな時の対処法を行政書士が解説!

相続放棄とは

佐吉「じゃ、相続放棄は?」

シロ「もう、あらゆる相続を完全拒否するから、プラスの財産も受け取らないし、マイナスの財産についても責任を負わないって話」

佐吉「俺、しーらね!って感じか。あとさ、さっき法定単純承認って言葉が出てきたじゃん? あれ、なんなの?」

合わせて読みたい:相続放棄とは?遺産相続で負債がある場合の対処法を行政書士が解説!

相続放棄や限定承認ができなくなる法定単純承認

法定単純承認とは、法に定められた事由に該当する行為をした場合に、単純承認したとみなされることです。法定単純承認になると、相続放棄や限定承認ができなくなります。

シロ「例えば、佐吉ちゃんがこんなことをした場合だね」

  • 相続財産の一部または全部を処分した
  • 熟慮期間内(3ヶ月以内)に限定承認または相続放棄をしなかった
  • 限定承認や相続放棄をした後に、相続財産を隠したり、消費するような背信的行為がある

シロ「佐吉ちゃん、まさかこのクルマ…」

被相続人の財産の処分をした

佐吉「ちげーよ、これはちゃんと買ってるよ! てかさ、相続財産の処分って例えばどんなの?」

シロ「相続人の預貯金を解約してお金を使っちゃったとか、相続財産に含まれる不動産を売っぱらっちゃったとかかな。佐吉ちゃん、やりそうだね」

熟慮期間内に限定承認及び相続放棄をしなかった

佐吉「…そんなワルじゃねえよ。熟慮期間内がどうこうってのは?」

シロ「要するに、相続手続きが始まってから3ヶ月以内に限定承認か相続放棄をしなきゃいけないんだ。この期間のことだね」

佐吉「あのさ…それ過ぎたらどうなるの?」

シロ「単純承認けってーい! ま、でも熟慮期間は延ばせる場合もあるけど」

相続放棄等をした後に相続財産の隠匿、消費するような背信的行為がある

佐吉「相続財産を隠したりとか、自分のために相続財産を使うとかは、なんだかそういうヤツいそうだな」

シロ「財産目録に相続財産を記載しなかったってケースもあるよ。財産が相続財産に含まれることを知りながら財産目録に記載しない。隠蔽けってーい!」

佐吉「なんだか楽しそうだな…」

シロ「ま、要するに、信義に反するようなことや、相手の信用・信頼を失わせることしたら、月に代わって法がお仕置きするってわけさ」

相続放棄を検討している際は法定単純承認には注意が必要

佐吉「なんかよ、法定単純承認の規定が存在する理由って、筋が通ってんな」

シロ「そうだね。相続放棄は、相続人を相続から解放する目的があるからね。借金にはさ、当然貸す側と借りる側がいるわけじゃん。貸す側からすると、相続放棄されたら自分が大損害になるから、最終的に相続財産を売却して借金の回収をするんだよね。そういう権利も守らなくちゃいけないってわけ」

佐吉「借金を返したくないから相続放棄をしたけど、被相続人の財産を処分して利益出てウハウハ…ってことは、さすがに人としてマズイよな」

シロ「ね。だから佐吉ちゃんも、このクルマをさっさと売って、マイナスの財産を処分して、あとはぼくが中古で安くこのクルマを買うから、またドライブいこ」

佐吉「お前ってやつは、灼熱のジャンク野郎だな…」

この記事を詳しく読みたい方はこちら:相続放棄ができなくなる行為とは?法定単純承認について行政書士が解説!

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この記事の執筆・監修者
長岡 真也(行政書士)

長岡行政書士事務所代表。1984年12月8日生まれ。
23歳の時に父親をガンで亡くしたことから、行政書士を志す。水道工事作業員の仕事に従事しながら、作業車に行政書士六法を持ち込んでは勉強を続け、2012年に27歳で合格。
当時20代開業者は行政書士全体の中で1%を切るという少なさで、同年開業。以来。「印鑑1本で負担のない相続手続」をモットーに、横浜市で相続の悩みに直面する依頼者のために、誠実に寄り添っている。最近は安心して相続手続したい方々へ向け、事務所公式サイト上でコラムを発信しており、相続手続の普及に取り組んでいる。

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