世の中には、結婚はしていないものの、一緒に暮らしている内縁関係の方も少なくないでしょう。
実際には、夫婦同然の生活をしており、例えば内縁の妻が、夫の会社で保険証を交付してもらうことだってできます。
社会保険の上でも、内縁のパートナーは家族と見なされているわけですね。
ところが、どっこい。
いざ相続となると、少し話が違ってくるようです。
そこで内縁関係のパートナーが、相続でトラブルにならないよう、クイズ形式で楽しく学んでいきましょう。
本記事は、通常の法律の文章は難しいことから、楽しくわかりやすくお伝えするためにクイズ形式にしています。
そのため、法律的な表現が少し変、厳密に言うとこうだ!等あるかと思いますが、そこは温かい心で読んでいただきつつ、ぜひご参考にして頂ければと思います。
では、クイズ形式で出題しますので、家族やご友人とチャレンジしてください。さあ、あなたのまわりで、相続クイズ王になるのは誰だ⁉
今回も、司会の私と、解説の行政書士長岡さんでお届けしいたします! 長岡さん、よろしくお願いします!
内縁関係の相続問題とは
「私たち、内縁関係です!」というためには、2つの要件があります。ひとつは、男女間の間に婚姻意思があること。そして、婚姻意思に基づいた共同生活をしていることです。これらがなければ、ただの同居ということになります。
ではここで第1問です!
Q:婚姻届を出していなくても、夫婦だと主張することはできる。〇か×か?
正解は、〇です。
内縁関係とは
婚姻届を出していなくても、お互いがずっと夫婦として一緒にいるという意思を持つことは自由です。
さあ、長岡さん、婚姻生活は民法でも規定されているんですよね?
長岡「はい。民法752条で、『夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない』とありまして、夫婦として当たり前のことを前提として生活しているなら、婚姻届がなされていなくても夫婦同然の関係だとみなされます。つまり、これらがあるからこそ、婚姻届けを出していなくても内縁の夫婦と言えるんです。」
今回のテーマは、内縁のパートナーに関する相続ですが、実際、内縁関係で相続権は生じるものなんですか?
内縁の配偶者は相続人とならない
長岡「原則としては、内縁の配偶者は相続人になれないとされています」
だって、夫婦同然の関係だとみなされるんですよね?
長岡「実態としては。でも法律上では、夫婦ではないですからね。婚姻届けを提出し、法律上でも夫婦として認められて、初めて相続権が発生するんです」
なるほど、そこがひとつの境界線なんですね。では、ここで第2問です。
Q:内縁の配偶者の子は、相続人になれる。〇か×か?
正解は、×…でいいですよね、長岡さん。
長岡「これはひっかけ問題でしてね。実は×とは言い切れず、△とするほうが正確でしょう
内縁の配偶者の子は相続人になることもある
内縁関係の夫が死亡し、事実上の妻と子がいたとして、内縁の妻は法律上の夫婦ではないので、相続人にはなれません。しかし、子供は父親が認知していれば、相続人になることもありえます。
長岡「認知というのは、自分の子供だと認めるということですね。認知していれば相続権が発生しますが、認知していなければ、法律上の親子関係でない以上、相続権は発生しないんです」
母親の場合も、同様に子供への相続権が発生しないんですか?
長岡「母親の場合は話は別です。出産により、親子関係が当然認められるわけですから、認知の問題ではなくなりますよね」
では、コウノトリさんが運んで来た赤ちゃんはどうなるんですか?
長岡「…コウノトリ界の行政書士に聞かないとわからないですね…」
冗談はさておき。でも法律上の夫婦ではないにせよ、内縁のパートナーとして長年連れ添うことだってあるわけじゃないですか。それが遺産を残せないというのはちょっと物悲しいですよね。
長岡「いえ、決して遺産を残せないわけではなく、方法はあるんですよ」
早く言ってくださいよ~。ということで、ここで第3問です。
内縁の配偶者に財産を遺す方法
Q:内縁の配偶者に遺産を残す方法として、正しい組み合わせは次のうちどれ?
A:遺言書作成、生前贈与、埋蔵金として埋める
B:タンス預金、生前贈与、生命保険の活用
C:遺言書作成、生前贈与、生命保険の活用
正解は、Cです。まあ、Bのタンス預金もできなくはいんと言えますが…(笑)
長岡「そうですね。では遺言書作成、生前贈与、生命保険の活用について、簡単にまとめましたので、ご覧ください」
遺言書を作成する
遺言書によって、ある程度自分の意思に沿って、遺産を遺すことができる。ただし、書式を間違えると、遺言自体が無効になってしまうので注意。
長岡「内縁のパートナーに遺書で相続をしてもらうときは、「遺贈する」という言葉を使わなければいけないんです。それがないため、遺産を残せなかったというケースは多いですね」
遺言書の作成は細かな言葉の配慮が必要と言われますものね。やっぱり、遺言書を作るときには、専門家に頼るべきなのですね。
合わせて読みたい:遺言書とは~効力と種類について行政書士が詳しく解説!
生前に財産を贈与する
相続財産は、死後に残っている財産のこと。つまり、生きているうちに贈与してしまえばいいという話になります。生前贈与は相続税法上の対策と民法上の対策がありますので、その点はどのような対策が良いのかは検討されることが望ましいと思います。
合わせて読みたい:相続の生前対策とは?民法上の対策と相続税法上の対策の概要を行政書士が解説!
生命保険を活用する
生命保険金は、生前になされた保険契約によって生じるもので、遺産とはみなされません。ただし、生命保険の受取人になれる範囲は保険会社により異なる点があるので、注意しましょう。
なお、生命保険の受取人は遺言書で変えることも出来ますので、詳しくは以下の記事をご覧ください。
合わせて読みたい:遺言で生命保険受取人は変更できる?遺言記載例や注意点を行政書士が解説!
内縁の配偶者の相続問題は行政書士に相談
長岡「あとは、相続人がいないとき、内縁のパートナーが亡くなった相手と特別な関係にあったら、遺産を受け取ることもできるんです。この人のことを、特別縁故者といいますが、この説明はまた別の機会にしましょう」
ありがとうございます。いまや多様性の時代ですので、夫婦の形もさまざまですよね。自分たちらしい関係を最後まで大事にするために、ぜひ相続についても正しい知識をつけておきたいですよね。
長岡「ええ。お迷いのことがあれば、ぜひご相談ください」
長岡さん、ありがとうございました!
この記事を詳しく読みたい方はこちら:内縁の配偶者は相続人になれるのか?その注意点と対策を徹底解説!