嫡出子と非嫡出子の法定相続分はどうなるの?注意点を行政書士が解説!

嫡出子と非嫡出子の法定相続分はどうなるの?注意点を行政書士が解説! 相続手続の基礎
相続手続の基礎

今、悩まれている方はお問い合わせください

長岡行政書士事務所

まずは初回0円相談でお悩み解決!

ご予約・お問い合わせはこちら

平日9:00~21:00(土日祝日予約制)

「あまり普段使わない言葉なので、嫡出子と非嫡出子の定義から教えてください」  

「認知をすると具体的にどうなるのでしょうか」  

「非嫡出子と連れ子って同じですか」 

・・・ 

時代と共に価値観が変化するにつれて、結婚のスタイルも多様化してきました。 

以前はDINKSが流行し、今は事実婚を選択するカップルが増えていると聞きます。 

このような多様化した結婚のスタイルを考えるのに避けて通れないのが、嫡出子と非嫡出子という概念です。 

あまり普段生活している分には馴染みがない言葉かもしれませんので、このコラムでまず定義を理解していただき、次に非嫡出子が絡んだ相続で起こりうるトラブルの可能性を把握していただければと思います。 

嫡出子と非嫡出子の違いとは?

では、具体的に嫡出子と非嫡出子の定義を見ていきましょう。 

嫡出子の定義 

嫡出子とは法律上の婚姻関係にある夫と妻の間で生まれた子の事を指します。 

より具体的に列挙すると以下の通りです。 

  • 婚姻中に妊娠をした子 
  • 婚姻後201日目以後に生まれた子 
  • 父親の死亡後、もしくは離婚後300日以内に生まれた子 
  • 未婚時に生まれて認知をされ、その後に父母が婚姻した子 
  • 未婚時に生まれてから、父母が婚姻し、父親が認知をした子 
  • 養子縁組の子 

生まれた時に父母が婚姻関係になくても、例えば離婚後300日以内に生まれたり、血の繋がりがなくても養子縁組をすることにより法律上の親子になったりと、法は嫡出子の定義に幅を持たせていることが見て取れます。 

非嫡出子の定義

非嫡出子は上記に当てはまらない子で、且つ婚姻関係にない男女の間に生まれた子の事を指します。 

具体的には事実婚のカップルから生まれた子が挙げられます。 

事実婚や内縁関係ではいかに実際の生活が他の夫婦と変わらなくても法律上は他人のままとなり、生まれてきた子は非嫡出子となります。 

非嫡出子と連れ子の違い

混同しないよう注意いただきたいのが、再婚した場合の「連れ子」と非嫡出子は異なるという事です。 

連れ子は再婚相手が前夫(妻)との間にもうけた子であり、再婚後実子と同じ扱いにする為には養子縁組が必要です。 

男性の連れ子であれば再婚相手の女性との間で養子縁組を、女性の連れ子であれば再婚相手の男性との間で養子縁組をすることになります。 

非嫡出子の関係は男性との間でのみ

一方、非嫡出子の関係は男性と子の間でしか発生しません。 

女性は子を産んだという事実があるからです。 

そして子を産んだ女性と婚姻関係にない男性がその子を「私の子である」と認めることを認知と言います。 

認知があるかどうかによって相続の結果は変わる 

嫡出子と非嫡出子では相続の際にどのような違いがでてくるのでしょうか。 

父親から認知をされていない非嫡出子は相続人になる事はできません。 

認知がないと法律上は他人同士なので、父親の財産を相続することができないのです。 

しかし、認知をされていれば非嫡出子でも嫡出子と同じ相続分を得ることができます。 

以前は非嫡出子の相続分は認知をされていても嫡出子の半分でしたが、憲法の原則である法の下の平等に反するのではないかという指摘が以前からあり、平成25年9月4日の最高裁判所の判決で今までの法律が「非嫡出子」に対して不公平であり、違憲であるという判断が下されました。 

よって非嫡出子の相続では認知のある・なしが大きな問題となります。 

認知の手続き方法について 

認知には下記3パターンあります。 

  1. 遺言書に書いてもらう「遺言認知」 
  1. 認知しないまま亡くなってしまった場合の「死後認知」 
  1. 家庭裁判所により「強制認知」 

では、上記の内容を確認していきましょう。

遺言認知とは

一番最初の遺言認知とは、遺言の中で子を認知することです。 

遺言者の死亡とともに遺言は効力を得ますが、遺言内容を執行することを託された人(=遺言執行者)はその職についてから10日以内に認知の届け出をしないといけません。 

遺言認知の為の遺言の書き方や遺言執行者に関しては、下記別コラムもご参照ください。 

あわせて読みたい>>>遺言による認知とは|遺言で子を認知する時の注意点を行政書士が解説! 

死後認知とは

次に、父親が認知しないまま亡くなってしまった場合は、非嫡出子本人もしくはその直系卑属(その子や孫)、そして法定代理人は認知を求めて家庭裁判所に死後認知の訴訟を起こすことができます。 

血縁関係を証明するためのDNA鑑定を行ったり、非嫡出子と父親の戸籍謄本を入手する必要があったりとハードルが高いので、専門家のサポートを利用することをお勧めします。 

強制認知とは

最後の強制認知ですが、これは父親が存命中に行います。 

父親が認知をしてくれない場合に父親の住所地を管轄する家庭裁判所に調停を依頼し、話し合いによる認知を目指します(=認知調停)。 

認知調停でも合意に至らない場合は認知の訴えを起こすことができます。 

ただ、元々認知を渋っていたので訴訟にまで発展したというケースが多く、相手方の協力が得られないことが予想されます。また長期戦になった場合の費用負担も無視できません。 

遺言認知と同じように、専門家のサポートを利用すべきと言えます。 

非嫡出子の相続で考えられる代表的なトラブル3つ 

最後に、この段落では非嫡出子が関係した相続の代表的な3つのトラブルを紹介します。 

どんなトラブルかのイメージをつかんでいただき、これまでに紹介した嫡出子・非嫡出子の知識を当てはめて理解を深めてください。 

被相続人の死後に認知されていた非嫡出子の存在が判明 

相続開始時には、誰が相続人かをまず確定させる必要があります。 

その為には財産を遺して亡くなった人(=被相続人)の生まれてから死ぬまでの戸籍謄本を取り寄せて内容を確認する必要がありますが、認知をすることで非嫡出子が戸籍に記載されるので、家族が知らなかった非嫡出子の存在が見つかることがあります。 

遺言がないと相続を進めるためには「遺産分割協議」という相続人全員参加の全体会議を開いて遺産の分割について話し合い、合意する必要があります。 

あわせて読みたい>>>遺産分割協議とは~知っておきたいポイントと注意点を解説

認知されている非嫡出子は相続人になるので、無視して進めると遺産分割協議が無効になってしまいます。 

相続人と非嫡出子とはこれまで面識がなかった場合が多く、そのような相手とお金の話をするのは大きな負担です。 

客観的な視点を持つ外部の専門家に依頼して遺産分割協議の進行をまかせて、各人の納得がいく着地点を図るべきだと言えます。 

認知されている非嫡出子と連絡がとれない

認知されている非嫡出子は遺言分割協議に参加してもらわないといけませんが、他の相続人たちとは疎遠であったり、連絡すらつかなくなっているケースもあります。 

連絡が取れないと戸籍を基に居場所を探すことになりますが、他の相続人達も日中は仕事を持っていることも多いと思いますし、毎回遠隔地に赴いて人探しをするのは大変な労力です。 

どうしても見つからない場合は家庭裁判所に「不在者財産管理人の選任」の申立をすることができます。 

不在者財産管理人は不在者の権利や財産を管理する役割があり、更に家庭裁判所から権限外管理許可を得ることで連絡の取れない非嫡出子に代わって遺産分割協議に出席してもらうことが可能になります。 

ただ、不在者財産管理人の申立から遺産分割協議を開始できるまで8~9カ月もかかる可能性があり、相続の申告・納税期限が10カ月であることを考えると時間的に相当厳しくなることは覚悟する必要があります。 

あわせて読みたい>>>不在者財産管理人とは|相続人が失踪し見つからない時はどうする? 

父親が認知してくれないので遺産がもらえない 

前述2つのトラブルは相続人としての視点からでしたが、非嫡出子である子もしくは子の母の視点からのトラブルがこの「父親が認知をしてくれない」というものです。 

認知により養育費を払う負担を嫌がったり、家族に非嫡出子がいることがバレたくないという理由で父親が認知をしてくれないと、非嫡出子と母親は経済的に困窮してしまう可能性があります。 

また、心理的にも自分の出自を認めてもらいたいという思いを抱く非嫡出子もいるでしょう。 

このような場合は前述の認知の段落で説明した「強制認知」という手段を使うことができます。 

強制認知は家庭裁判所の調停から始まりますが、調停が不成立であった場合でも裁判でDNA鑑定によって親子関係が判断されるため事実上父親が強制認知から逃げることは困難です。 

ただ、裁判になると1年以上の時間と費用がかかるので、非嫡出子側にとっても大きな負担になることは避けられません。 

非嫡出子の相続問題は専門家のアドバイスを利用 

認知済みの非嫡出子がいたとしても周りに黙っていると、相続の時急に現れて他の相続人が動揺し遺産分割協議がまとまらなくなってしまう可能性があります。 

家族に非嫡出子の事を伝えていたとしても、他の相続人も非嫡出子とは疎遠になりがちなもの、亡くなった際に非嫡出子と連絡がとれないと遺産分割協議がストップしてしまい、相続税の申告・納付期限に間に合わなくなってしまう惧れがあります。 

また、認知をしないまま亡くなってしまっても、死後認知が家庭裁判所に認められたりすると、遺産を受け取った相続人のところに請求が行くことになります。 

このように非嫡出子が絡んだ相続はトラブルに発展する可能性がありますので、まずは専門家に相談をし、遺言を書く等の対策を事前に講じておきましょう。 

長岡行政書士事務所は相続の経験が豊富にあり、相談者様に寄り添った相続を目指しています。 

不明点もしくは不安を感じられた場合は、是非当事務所にご相談ください。 

今、悩まれている方はお問い合わせください

長岡行政書士事務所

まずは初回0円相談でお悩み解決!

ご予約・お問い合わせはこちら

平日9:00~21:00(土日祝日予約制)

この記事の執筆・監修者
長岡 真也(行政書士)

長岡行政書士事務所代表。1984年12月8日生まれ。
23歳の時に父親をガンで亡くしたことから、行政書士を志す。水道工事作業員の仕事に従事しながら、作業車に行政書士六法を持ち込んでは勉強を続け、2012年に27歳で合格。
当時20代開業者は行政書士全体の中で1%を切るという少なさで、同年開業。以来。「印鑑1本で負担のない相続手続」をモットーに、横浜市で相続の悩みに直面する依頼者のために、誠実に寄り添っている。最近は安心して相続手続したい方々へ向け、事務所公式サイト上でコラムを発信しており、相続手続の普及に取り組んでいる。

タイトルとURLをコピーしました