相続の際の戸籍を取得する意味とは?【名探偵・明智小五郎の遺言調査】

相続の際の戸籍を取得する意味とは?【名探偵・明智小五郎の遺言調査】 相続手続の基礎
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遺産相続の際に行われる戸籍収集はご存知でしょうか。

これは亡くなった方の相続人を確定するために行われます。

例えば、本人の出生から死亡までを取得したり、場合によっては親の出生まで取得したりと。

しかし、戸籍謄本を取得したり、読み込んだりと慣れていない方が多いのではないでしょうか。

今回はこの相続時の戸籍を取得する意味について「推理小説風」にお伝えします。ぜひ最後まで一読ください。

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ぼくは名探偵として知られる明智小五郎先生の助手、小林です。

明智先生は、永遠のライバルである怪人三十面相との闘いの日々…天才的な頭脳で怪人三十面相の狡猾な犯罪を、毎日未然に防いでいる…と思われがちです。

もちろんたまに怪人三十面相の予告が届くことはありますが、相手もそう毎日毎日出没できるほどヒマなわけではありません。

そんなときは、ぼくがやっている行政書士のほうでの依頼をこなし、先生は居眠りをしたり、茶々を入れてきては暇をつぶしているというわけです。

ということで、今日も事務所に相続のご相談がやってきまして…。

ご婦人「父が亡くなり、相続が始まったのですが、困ったことがありまして」

明智「麗しきご婦人に困りごとは似合いません。この明智が何なりと解決してさしあげましょう」

小林「先生…行政書士のことなんて、ひとつもわからないじゃないですか。で、その困ったことはどのようなことでしょうか?」

ご婦人「我こそは相続人であると名乗る人がたくさん出てきまして…。おそらく父が残した莫大な遺産が目当てなのでしょうけど…」

小林「なるほど、それで正しい相続人を調査したいというわけですか」

明智「ふん。調査などせずとも、この明智がひと目みればすぐに見抜けるのだがな。こないだも千里眼を覚醒させて…」

小林「先生にそんな特殊能力はありません」

相続の際の戸籍収集は相続人全員を特定するため

遺言書の無い状態で相続が開始されたら、被相続人の財産を誰が承継するのか特定する必要があります。なぜなら遺産分割協議を行う必要があり、協議には相続人全員が参加しなければならないからです。

相続人調査は戸籍を取得する

ご婦人「そもそも相続人調査とは、どんなことをなさいますの?」

小林「まず被相続人の出生から死亡までの戸籍を取得します。そこから、誰が相続人となるのか特定するんです」

ご婦人「さきほどおっしゃった、相続人全員の特定が必要となるのはどういう理由なのでしょう?」

小林「理由はおもに2つですね」

  • 遺産分割協議を行うため(相続人が全員参加していない遺産分割協議は無効)
  • 相続税の計算を行うため(基礎控除に影響する)

小林「相続人は私たちだけだろう、と思っていても案外気づかない相続人がいたりするものです。例えば、離婚で前妻・前夫との間に子がいたり、婚外で認知をしたりしているケースなどはそうですね」

ご婦人「父は…そうだったのかしら?」

小林「あくまで一般論ですから。いずれにせよ、家族が知らなかった相続人が発覚するということを知っている者たちが、今回、ずうずうしくも名乗りを上げているわけです」

明智「あくどい連中だ。怪人三十面相のほうが、まだ誇りを持っているな」

相続人の範囲は亡くなった方によって違う

小林「大事なのは、相続人の範囲を知っておくことですね。配偶者はもちろんのこと、第1順位は子など(直系尊属)、第2順位は親など(直系尊属)、第3順位は兄弟姉妹です。今回、まずふるいをかけるならそこです」

ご婦人「そうですね、それでだいぶ人数は減るわ」

明智「ふん、推理が甘いな、小林少年。本来相続人となるはずだったものが亡くなり、その子が相続をするような場合もあるだろう。第3順位までに該当しなかったとしても、相続人でないとは言い切れん」

小林「実はその通りで、代襲相続ということがありますね。死亡した相続人の直系尊属の場合は制限なく再代襲が行われます。また、兄弟姉妹が相続人であり、既に亡くなっている場合は、被相続人の甥・姪まで代襲相続が起きます

合わせて読みたい:代襲相続、数次相続、再転相続などの法定相続人の範囲を網羅的に行政書士が解説!

ご婦人「んまあ、甥・姪まで」

小林「だから戸籍謄本などをしっかりと調べないといけないんですね」

戸籍謄本取得による相続人調査の注意点

相続人を特定するにあたっては、亡くなった方の出生~死亡に至るまでの連続した戸籍謄本をまずは取得します。ご高齢の方の場合は、平成6年法務省令(戸籍のコンピューター化)などの影響で必要な通数が多くなることがあるため、早期に調査を始めることがおすすめです。

合わせて読みたい:相続における戸籍謄本、改製原戸籍謄本、除籍謄本とは?それぞれの戸籍を徹底解説!

戸籍謄本は本籍地のある市町村役場で取得

明智「小林少年、戸籍謄本はとこでもらえるんだ?」

小林「先生…さっき、100年に1回の割合でいいことを言ったと思ったら、やっぱりなにもご存じないんですね」

明智「100年って、君、失礼だな。10年に1回だ」

小林「戸籍謄本は、戸籍のある各市町村役場にて入手することができます

ご婦人「だったら、お役所に行って、それをいただけばいいだけでは?」

小林「そうなんですが、いくつか注意点があるんですよ、主に以下の4点に集約されるので見ていきます。」

  • 時間がかかることがある
  • 読みにくい戸籍謄本がある
  • 限定承認を検討する場合は早期に調査が必要
  • 相続放棄にも注意が必要

時間がかかることがある

戸籍は通数が多くなることがありますから、1つずつ辿っていく必要があると、想像以上に時間がかかることがあります。

読みにくい戸籍謄本がある

古い戸籍は字がつぶれていて判読しにくかったり、旧字やもう存在していない市区町村の地名が書かれていることもあります。判読するまでに時間がかかってしまうケースもあります。

限定承認を検討する場合は早期に調査が必要

限定承認を検討する場合は、相続人全員の同意が必要となります。ですので、早急に調査を進める必要があります。期限は、自己のために相続の開始があったことを知った日から3か月以内。限られた期間の中で、慎重に準備を進めなくてはいけません。

相続放棄にも注意が必要

相続放棄も限定承認同様に期限があります。期限は、自己のために相続の開始があったことを知った日から3か月以内。相続放棄は相続人全員の同意がなくても、単独手続きで行えます。

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戸籍取得と相続人調査を進めるコツとは

相続人の確定は戸籍謄本を収集する必要があり、大掛かりな作業になってしまうケースもあります。そうなると、確かに手間がかかりすぎてしまうので、調査をスムーズに行うコツを知っておきましょう。

戸籍取得を専門家に依頼する

小林「調査をスムーズに行うためには、まずは私たちのような専門家に依頼することがひとつ。もうひとつは、相続人全員で協力することです」

ご婦人「でも、相続人がわかってないから、どうしようもなくてよ?」

小林「あくまで現段階で判明している相続人ですよ。複数人いたら、手分けをして戸籍謄本の解読や収集を進めるんです。それだけでも負担がかなり違いますから」

ご婦人「もし行方不明の相続人がいたら、どうするんでしょう?」

明智「そのときは、この明智が先日覚醒させた千里眼で…」

小林「だから! ねえから、それ! 千里眼どころか、最近老眼でしょう!」

明智「そんなに怒らなくても…」

行方不明の相続人がいる場合は裁判所に申立て

小林「ご婦人、相続人の生死がわからず、連絡もできない場合ですよね。そのときは、家庭裁判所に不明者の代理人を申立てしていきます

合わせて読みたい:不在者財産管理人とは|相続人が失踪し見つからない時はどうする?

ご婦人「裁判所だなんて、なんだか緊張してしまうわ…」

明智「ご心配いりませんよ。この明智がついていきます」

小林「デートしたいだけでしょ…。申立ての際には書類なども整える必要があるため、専門家にアドバイスをもらうほうがいいですね。行政書士の専門家であって、探偵の専門家じゃないですからね」

ご婦人「は、はい」

小林「あと、もうひとつ覚えておいてほしいのが、広域交付制度です」

ご婦人「広域交付制度?」

令和6年3月1日以降は広域交付制度がスタート

令和6年3月1日以降、新しい制度として「広域交付制度」が始まりました。これまで戸籍謄本の収集は、本籍地のある役場でのみ取得が可能でしたので、遠方にある場合はそこまで出向くか、郵便で送付するよう依頼していく方法が主でした。しかし、それでは戸籍謄本取得に時間がかかるため、本籍地以外の役場でも、取得ができるようになったのです。

広域交付制度の請求者は兄弟姉妹以外

明智「あれだな、コンビニで公共料金の支払いができるようになったようなもんだろ?」

小林「微妙に昔の話しないでください…。いいですか、ご婦人、広域交付制度を通して請求できる方は、本人、配偶者、直系卑属のみですから兄弟姉妹は使えないということを覚えておいてくださいね」

ご婦人「最寄りの役場でも取り寄せられると聞きましたけど、代理を立ててもよいものなのですか?」

代理は広域交付制度で請求できない

小林「いえ、代理はできません。請求権利を持つ方々が直接出向くようになります。運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどの顔つきの本人確認書類の提示を求められますから」

明智「小林君、あまりにも古い戸籍の場合はどうなるんだ? システム上に登録できてないようなものもあるかもしれんぞ」

小林「そういう場合は、旧来の方法で取り寄せるしかないですね」

間違いのない戸籍取得は専門家を頼ることも検討

ご婦人「でも、いろいろとありがとうございました。今わかっている相続人と協力するのもいいのですが、やはり専門家である小林先生にお願いしたいと」

小林「ありがとうございます」

明智「おい、小林君。君が先生と呼ばれるだなんて100年早いぞ」

小林「やきもちやいてますね、ふふふ」

この記事を詳しく読みたい方はこちら:遺産相続手続における相続人の確定とは|行政書士が詳しく解説!

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この記事の執筆・監修者
長岡 真也(行政書士)

長岡行政書士事務所代表。1984年12月8日生まれ。
23歳の時に父親をガンで亡くしたことから、行政書士を志す。水道工事作業員の仕事に従事しながら、作業車に行政書士六法を持ち込んでは勉強を続け、2012年に27歳で合格。
当時20代開業者は行政書士全体の中で1%を切るという少なさで、同年開業。以来。「印鑑1本で負担のない相続手続」をモットーに、横浜市で相続の悩みに直面する依頼者のために、誠実に寄り添っている。最近は安心して相続手続したい方々へ向け、事務所公式サイト上でコラムを発信しており、相続手続の普及に取り組んでいる。

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