エンディングノートとは?遺言書と比較してその長所、短所を行政書士が解説!

エンディングノートとは?遺言書と比較してその長所、短所を行政書士が解説! 遺言書
遺言書

今、悩まれている方はお問い合わせください

長岡行政書士事務所

まずは初回0円相談でお悩み解決!

ご予約・お問い合わせはこちら

平日9:00~21:00(土日祝日予約制)

「エンディングノートってなに?」
「エンディングノートと遺言書ってなにが違うの?」
「エンディングノートを書く時、注意すべきことは?」

最近「終活」という言葉をよく聞くようになりました。

時が流れて、人生がそろそろ終わるかもしれない、そんなときに自分の周りを整理しよう、一般的にはそんな活動のことを言います。

確かに自分がいなくなってしまってからでは、大切にしてきた家族や物をどうにかすることはできません。だから生前にそれを整理するのは素晴らしいことでしょう。

遺言などはその代表例かもしれませんが、その活動のひとつにエンディングノートというものもあります。

今回はそのエンディングノートについて、遺言書と比較をしながらお話をしたいと思います。

エンディングノートとは

エンディングノートは、その名の通り、人生の「終わり」に向けて自分の気持ちや何かあった時の身の回りのことにについて記したものです。例えば、自分の生きてきた証として家族へ想いを遺したり、将来の介護の希望や延命のことについて遺された家族が困らないようにしたりとするようなことです。

また、ほかの特徴としてはやはり、任意で作るものであることでしょう。

つまり、作りたい人の意思で自由に作るものなのです。

書く内容は任意

希望するお葬式や今自分が抱えている感情(感謝や謝罪)、そして自分という人間の歴史、各種サービスのログインパスワードのことなど、とにかく自分が死んでしまったら他の人に伝えられないことを書いて、自分の人生の終わりに備えておくものです。

書く時期も任意

特に何歳になったら書く、あるいはある出来事が起こったら作る、という決まりも存在しません。

自分の人生の終わりを予感して、その終わらせ方にある程度、自分の希望を伝えたくなったときにいつでも作成していいものです。

しかしノートには自分の気持ちや情報を書いていくことになりますので、それらがはっきりしているうちに作った方がいいのは間違いありません。

ですので、エンディングノートが気になったのならさっそく作成してみるのもいいと思います。

前のノートを捨ててしまって、また作り直すのも自由だからです。

エンディングノートと遺言書の違い

人生の終わりについて記したエンディングノートと遺言書。ふたつの共通点は、生前の意思を伝えて死後の整理を事前に行っておく、ということでしょう。

しかしこのふたつには明確な違いが存在しています。

以下、整理していきます。

遺言書には法的拘束力がある

形式に沿った遺言書には法的な拘束力があります。

つまり、遺言書には遺言者の意思表示としての力が存在しているので、基本的には遺言書に書かれている内容が相続として実現されます。

これに対して、エンディングノートは法的な拘束力がありません。

それは故人が遺した日記のようなものであり、遺族や他の人がエンディングノートに書かれた内容を無視しても特に問題はありません。

逆に言えば、だからこそエンディングノートの方が自由に作成できるとも言えます。相続法とは関係のないところで行われる行為だからです。

遺言書には書く形式が存在する

遺言書には厳密な形式があります。

署名捺印が必要であったり、自筆で書く必要があったり、日付を書いていなければならなかったり、また「相続させる」のような法律上の文言を使ったりしなければなりません。

そしてそれに適合しない遺言書は無効になることさえあります。

しかしエンディングノートには形式はありません。自由に作るものですし、そもそも法的な拘束力がないから無効ということもありません。

合わせて読みたい:遺言書の書き方・方式・注意点を行政書士事務所の事例と共に解説!

遺言書には書ける内容が決まっている

遺言書には、相続のことや自分の財産のこと、遺言執行者のことなど書く内容が決まっています。

エンディングノートの場合は先ほども述べたように、どんなことを書いても構いません。単なる自分の感情を書いたって構いません。

合わせて読みたい:遺言書の法定遺言事項とは~法定事項の一覧を行政書士が解説!~

遺言書には開封のタイミングが定められている

遺言書の場合、故人が死亡し、遺言書について家庭裁判所の検認を受けたあと(公正証書などの場合検認が不要になります)、相続人全員で開封することになります。

つまり、遺言書の公的な検査、そして関係者の立ち合いが必要なこともありあます。

エンディングノートの場合は、開封にタイミングはありません。誰かが故人の死後すぐにエンディングノートを見てもいいですし、死ぬ前にもう確認してもいいのです。

合わせて読みたい:自筆証書遺言の検認とは?目的や必要な状況・流れを行政書士が解説!

遺言は法律行為だがエンディングノートは違う

こうして見ると、遺言はれっきとした法律行為であって、法律が定めた形式にのっとって行われるものです。

だからこそ遺言には法的な効力があり、それは後々の相続に影響を与えます。

しかしエンディングノートは事実行為です。個人的な気持ちや情報を記した日記や手紙と同じようなものです。

最大の違いは、やはりそれでしょう。

合わせて読みたい:遺言書とは~効力と種類について行政書士が詳しく解説!

遺言書エンディングノート
法的効力
書面の形式
内容限定されている自由
開封の時期決まっている自由
自由度低い高い

エンディングノートの活用方法

遺言書とは違う性質を持つからこそ、エンディングノートをうまく活用すれば遺言書を補完するような形で、より自分の想いや意思をしっかりと伝えられるようになります。

遺言では書けなかった感謝の気持ちを書く

お世話になった妻や、小さい頃は可愛かった立派になった子に、遺産を遺すのは遺言書の役割です。

しかしどれだけたくさんの遺産を遺しても、やはり本当に遺したいのは気持ちなのではないでしょうか。

「あなたのおかげでこんなに幸せな人生だったよ」

「あなたは立派な子だから、私の家を守り抜いてほしい」

そんな自分の気持ちを記録として残しておくために、エンディングノートを活用することができます。しかもその書き方は自由です。本当に手紙のような形でも大丈夫です。

遺言書ではカバーしきれない情感や謝意というものを伝えるのに、エンディングノートは適しています。

必要な情報を素早く伝える

開封の時期を遺言書よりも早くすることができるため、エンディングノートをうまく活用して、サブスクリプションのような定期購入の無駄な出費を抑えることもできます。

たとえば使っているサイトのIDとパスワードを記しておき、必要ないと思ったら解約するように伝えます。

そういう風にしてエンディングノートで情報を管理しておけば、必要なことがすぐにできたり、逆に不必要なことをすぐにやめることができたりします。

言葉以外の情報を使う

エンディングノートには言葉以外のことを記すことも自由です。たとえば、いつも大事にしてきた家族との写真を貼り付けたり、大昔に妻や夫からもらった大切なペンダントなどを添えることもできます。

絵が得意な方は、絵を描いてもいいでしょう。年表や図を使って自分史を作成してもいいと思います。

自己表現、家族や友人に対するアプローチは、格段にエンディングノートの方が向いています。

権利関係は遺言書、それ以外はエンディングノート

財産などの権利関係は法的な問題なので遺言書に任せて、そのほかまだ自分の希望があるのならエンディングノートを使ってみるのがいいでしょう。

エンディングノートも一般的になってきて、今じゃテンプレートもありますし、それ用のノートを市販で買うこともできます。

気持ちなどの本当に伝えたいことを総合的にまとめるツールとしてエンディングノートは有効です。

手紙のようにばらばらに残してもいいですが、やはりひとつにまとめないと、必要な情報が消えてしまって伝わらないということもあります。

エンディングノートの注意点

エンディングノートは自由に作成できるものですが、いくつか注意点もあります。それを説明したいと思います。

ノートの保管は厳重に

エンディングノートの保管場所について、特に定めのようなものはありません。

しかしたとえば、自分の使っているパスワードや、あるいは親しい人々の連作先などをノートに記したとしたら、それは重要な個人情報になります。

エンディングノートはその性質上、デリケートな情報や個人情報が記されやすいので、作成したら金庫や鍵付きの書庫などに入れて厳重に保管した方がいいでしょう。

鉛筆などはなるべく使わない

鉛筆やシャープペンシルで書くと、長い時間を経て文字が消えてしまったり薄くて判読できないということになる可能性があります。

一応ボールペンなどを使った方がいいでしょう。

定期的に修正する

一度エンディングノートを作成しても年月が経って、記載した内容が少し事実と違ってくるということはよく起こります。

たとえばパスワードなどが変わったり、交友関係が変わったり、あとは気持ちが変わったりすることもあります。

エンディングノートの最大の利点は自由であることなので、その都度、現在の自分に適したエンディングノートにアップグレードしましょう。

その時が来たら納得できるよう、定期的には見返した方がいいと思います。

エンディングノートは遺言書と合わせて作成する

 エンディングノートは、遺言書ではどうしてもできないことをすることができる素晴らしい選択肢です。

 それを作っておくことにより、自分や家族に適した相続を実現するための心強い味方になってくれます。 

  •  形式的だが、強い法的拘束力を持つ遺言書
  •  法的な効力はないが、ものすごく自由なエンディングノート

 性質の全然違うこのふたつの方法、お互いがお互いを補完している一長一短のツールです。

 それぞれのよさを活かして相続をすることにより、より自分に合った相続が可能になります。

 自分らしい、素敵な終活のためにエンディングノートを作成してみてもいいかもしれませんね。

 遺言書やエンディングノート作成でお困りの方は、横浜市の長岡行政書士事務所までご連絡ください。

今、悩まれている方はお問い合わせください

長岡行政書士事務所

まずは初回0円相談でお悩み解決!

ご予約・お問い合わせはこちら

平日9:00~21:00(土日祝日予約制)

この記事の執筆・監修者
長岡 真也(行政書士)

長岡行政書士事務所代表。1984年12月8日生まれ。
23歳の時に父親をガンで亡くしたことから、行政書士を志す。水道工事作業員の仕事に従事しながら、作業車に行政書士六法を持ち込んでは勉強を続け、2012年に27歳で合格。
当時20代開業者は行政書士全体の中で1%を切るという少なさで、同年開業。以来。「印鑑1本で負担のない相続手続」をモットーに、横浜市で相続の悩みに直面する依頼者のために、誠実に寄り添っている。最近は安心して相続手続したい方々へ向け、事務所公式サイト上でコラムを発信しており、相続手続の普及に取り組んでいる。

タイトルとURLをコピーしました