戸籍制度の歴史とは?相続時に必要となる戸籍を行政書士が解説!【法律の寺子屋】

inheritance 相続に関連する法制度
相続に関連する法制度

相続で戸籍を扱うとき、「どうして戸籍というものがあるのか」を不思議に思う人も少なくないでしょう。戸籍がなければ日本人であると証明できず、パスポートの申請など公的機関での手続きもできません。ところが、世界を見渡すと戸籍制度を導入している国は少なく、現在、日本以外では中国と台湾だけ。ではなぜ、日本では戸籍が大事にされているのでしょうか? 今回は、戸籍制度について、基本を学べる講座を「寺子屋風」に開催しました。村の子どもたち、太助、お菊とともに、ぜひこの機会に戸籍に詳しくなりましょう。

この記事の執筆・監修者
長岡 真也(行政書士)

長岡行政書士事務所代表。1984年12月8日生まれ。
23歳の時に父親をガンで亡くしたことから、行政書士を志す。水道工事作業員の仕事に従事しながら、作業車に行政書士六法を持ち込んでは勉強を続け、2012年に27歳で合格。
当時20代開業者は行政書士全体の中で1%を切るという少なさで、同年開業。以来。「印鑑1本で負担のない相続手続」をモットーに、横浜市で相続の悩みに直面する依頼者のために、誠実に寄り添っている。最近は安心して相続手続したい方々へ向け、事務所公式サイト上でコラムを発信しており、相続手続の普及に取り組んでいる。

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戸籍とは出生から死亡に至るまでの記録

戸籍は、個人の身分関係、親族関係を出生から死亡に至るまで記録している制度のことです。日本では、夫婦と子供が同一の戸籍に記載されているので、身分関係、親族関係を理解しやすい資料として各所で利用されています。

長岡「さて、太郎くん、お菊ちゃん、今日のお話は戸籍についてですよ」

お菊「戸籍って自分や家族のことが書かれてるお役所の書類ですよね、お師匠さま」

長岡「おや、お菊ちゃんは良く知ってるね。戸籍にはいくつか種類があるのは知ってるかな?」

太郎「こないだおっ母さんが、戸籍謄本がどうとかこうとか言ってたけど」

長岡「戸籍謄本もその一つだね。ほかにも戸籍抄本とかいろいろあるんだ」

お菊「なんだか似たような名称だからややこしいわ」

長岡「そうだよね。簡単に説明すると、戸籍謄本(全部事項証明書)は、戸籍にまつわる情報が全部載っているもの戸籍抄本(一部事項証明書)は、一部の情報が載っていると覚えればいいよ」

太郎「なるほど、イチブトゼンブだね。B’zさんの曲にもそういうタイトルのがあるな」

お菊「太郎ちゃん、うまいこと言ったわね」

長岡「ところで、この戸籍。必要になったとき、どこにもらいにいけばいいかわかるかな?」

お菊「うーん、お役所じゃないかな」

長岡「そう、本籍地の役所でもらうのが基本だね。日本国内なら、自由に本籍を選べるんだ」

太郎「じゃ、おいらはやっぱり富士山のてっぺんがいいぞ! なんだかお殿様みたいな気分になれそうだ」

長岡「残念ながら、富士山の頂上は本籍にできないんだ。なぜならそこには住所がないからね。山頂付近の郵便局や神社には住所があるんだけどね」

太郎「じゃ、皇居がいいぞ! なんせ昔の江戸城だから、やっぱりお殿様みたいな気分になれそう!」

長岡「太郎ちゃん、実は皇居は…OKなんだ」

太郎「ボケたつもりだったのに、意外にOKだったときの、この気恥ずかしい感じ…」

お菊「何言ってんのよ」

戸籍制度の歴史

戸籍の歴史は古く、制度として最初に登場したのが6世紀中頃の「名籍(なのふだ)」と言われています(ただし、日本書紀にはすでに戸籍についての記載がありました)。名籍は現在の用途とは違い、海外から来た渡来人などを記録するものだったようです。

太郎「ほえー、昔からインバウンド需要ってあったんだね」

お菊「たぶん、そのニュアンスは違うと思うけど…」

長岡「すごいよね、6世紀から続く制度なんてそうそうあるもんじゃない」

太郎「飛鳥時代の645年、皇極天皇による大化の改新の中で、注目したいのが改新の詔(かいしんのみことのり)。この新たな施策の一つとして戸籍・計帳の整備があった。身分・氏性を確定する台帳としての役割を持たせ…」

長岡「ななな、太郎ちゃん、いつの間にそんなに勉強を!」

お菊「甘いわね、お師匠さん。ほら、この小さな紙を読んでいただけのカンニング」

太郎「てへへ、バレたか」

長岡「カンニングであっても、ちゃんと調べてからカンニングしようとしてるね! 太郎ちゃんのカンニングの続きを説明しようか、カンニングなしで」

太郎「カンニング連呼…ひっそり根に持ってらあ、お師匠さん」

長岡「要するに、『どこにどれだけの人が住んでいるのか、そのうち成人男性はどれくらい住んでいるのか』を把握しようとしていたんだね」

お菊「でもどうしてそこまで把握しないといけなかったの?」

長岡「当時の目的は予算だったんだよ。つまり、『この村には大人がどれくらいいるから、どれくらいの生産ができるか、どれくらいの税を集められるか』を正確に調べることだったんだ」

お菊「なるほど。正しい情報がないと、税の収入が予想できないから、国家予算を立てられないのね」

長岡「お菊ちゃんは、末は博士か大臣か、だね。ちなみに戸籍ではないけど、有名な豊臣秀吉も、太閤検地を行って年貢を正確に取り立てるための制度を敷いていたんだよ」

太郎「令和の今の戸籍もそういう使い方なの?」

現在の戸籍制度とは

長岡「今は用途が違うね。国としての本格的な戸籍制度が開始されたのは、明治時代に入ってからなんだ。当時は『家制度』の考え方のもとに『家』を基本単位にしていたんだよ」

終戦後に改正された戸籍制度

お菊「それまでも『家』の制度は重視されていたのに、思ったより遅いイメージ」

長岡「ところが、太平洋戦争のあと、GHQの占領政策のもと、日本の戸籍制度は大きなターニングポイントを迎えることになるんだ」

太郎「太平洋戦争か…。おいらたちが生まれるだいぶ前の話のようだけど、でも実はついこないだのことなんだよな…」

お菊「うん、そうだね」

長岡「昭和23年、新しい戸籍法が施行されたんだ。戦前では『家』を基本単位としていたんだけど、新しい戸籍のもとでは夫婦とその子供の2世代を基本単位となった。つまり、戦前の『家』制度ではなくなったんだ」

お菊「でも戸籍を見ると『戸主』ってあるでしょ。これって『家』の主って意味じゃないの?」

長岡「『戸主』は、いわゆるその家の代表という程度の意味で、家長のような特別な意味を持つものではないんだよ」

太郎「そうかあ。戸籍にも流れがあるんだな」

沖縄の戸籍は悲しい歴史がある

長岡「そう。もうひとつ、戸籍の流れで忘れてはいけないのが、沖縄の戸籍の歴史だ」

お菊「もしかして太平洋戦争が関係してるんですか、お師匠さん? 沖縄は壮絶な戦渦に巻き込まれたと勉強したことがあるけど…」

長岡「まさしくそうなんだ。実は沖縄戦は生き残った人々ほぼ全員の戸籍を奪い去ってしまった…」

お菊「それって、無戸籍ってことになるね…」

長岡「そう。さらに戦後しばらく沖縄はアメリカの占領下にあったから、戸籍の復元も難しかった。だから、新たに作成された戸籍は、死亡者や不在者の記載漏れ、性別や年齢も違っているなど、身分登録からは程遠かったんだよ」

太郎「その影響は今も残ってるの?」

長岡「残ってるね。所有者不明あるいは境界線不明などの理由で土地開発が遅れていたり、親族間の土地相続問題など、問題は少なくないだろうね」

相続時の戸籍請求にお困りの方は行政書士にご相談ください

太郎「戸籍って、本当にいろんな歴史があるんだね…。今までただの名簿みたいに思っていたけど、もっと大切に見ていかなきゃな」

お菊「そうね。戸籍があることで守られていることもあるもんね」

長岡「二人とも、その調子で勉強してくれたら嬉しいよ」

この記事を詳しく読みたい方はこちら:相続時に必要となる戸籍制度とは?日本特有の戸籍の歴史と沖縄戸籍の扱いも紹介!

以上、相続時によく目にすることがある戸籍制度のついて「寺子屋風」にお伝えいたしました。

戸籍制度は法改正の変遷をたどり、現在の戸籍制度に行きつきましたが、意外にも大昔から似たような制度があるのをご存じない方も多かったのではないでしょうか。

もし、相続の際に戸籍についてご不明なことがありましたら、横浜市の長岡行政書士事務所までお気軽にご相談ください。

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この記事の執筆・監修者
長岡 真也(行政書士)

長岡行政書士事務所代表。1984年12月8日生まれ。
23歳の時に父親をガンで亡くしたことから、行政書士を志す。水道工事作業員の仕事に従事しながら、作業車に行政書士六法を持ち込んでは勉強を続け、2012年に27歳で合格。
当時20代開業者は行政書士全体の中で1%を切るという少なさで、同年開業。以来。「印鑑1本で負担のない相続手続」をモットーに、横浜市で相続の悩みに直面する依頼者のために、誠実に寄り添っている。最近は安心して相続手続したい方々へ向け、事務所公式サイト上でコラムを発信しており、相続手続の普及に取り組んでいる。

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