「延命治療を望まないという意思を、どう残しておけばよいのだろう」
「元気なうちに、終末期の希望を書面にしておきたい」
横浜市で相続手続・遺言書作成をサポートしている長岡行政書士事務所には、このようなご相談も寄せられます。
自分が意思表示をできなくなったとき、どのような医療を受けたいか。この希望は、あらかじめ示しておかなければ、医療従事者も家族も判断に迷うことになります。
そこで今回は、延命治療に関する意思表示の方法について、いくつか代表例を紹介します。
延命治療に関する意思表示の方法
そもそも日本では、回復の見込みがなく、ご本人が苦しんでいる状態であっても、意思表示がなければ、延命治療を取りやめることが基本的にできません。
日本には延命治療の中止について定めた法律がなく、現場では厚生労働省のガイドラインを拠り所に判断されているのが実情です。
参考:厚生労働省|人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン
そのガイドラインでは、ご本人の意思が確認できない場合、ご家族などが「本人ならどう考えただろうか」と推定し、その推定意思を尊重するとされています。つまり、意思表示を残していなければ、ご家族が重い判断を背負うことになるのです。
そのため、もし「延命治療を望まない」という希望があるのなら、ご自身の意思を、しっかり伝わる形で残しておくのがおすすめです。その方法として、主に次の3つが挙げられます。
- 事前指示書(リビング・ウィル)を作成する
- 尊厳死宣言公正証書を作成する
- 家族や医療者と話し合っておく(ACP・人生会議)
それぞれ詳しく見ていきましょう。
書面による意思表示
事前指示書とは、自分で意思表示ができなくなったときに備えて、希望する医療やケアについて、あらかじめ書面で示しておくものです。「リビング・ウィル」とも呼ばれます。
法的に決まった書式はないため、公益財団法人日本尊厳死協会が公表している書式や、医療機関や自治体が配布している様式に沿って書けば問題ありません。
尊厳死宣言公正証書を作成する
より確実に意思を伝えたい場合は、自分の意思を尊厳死宣言公正証書として残す方法があります。
尊厳死宣言公正証書とは、「延命治療を望まない」「尊厳死を望む」という意思を、公証人に作成してもらったものです。
事前指示書だと、「本当に本人が書いたのか」「書いた当時、正常な判断ができる状態だったのか」という疑問が生じる余地がありますが、公正証書なら、公証人が本人確認を行ったうえで作成するため、こうした疑問は生じません。
医療従事者やご家族も、本人の意思として受け止めやすくなります。
なお、尊厳死宣言公正証書の作成については、行政書士へ相談することも可能です。
もし手続きに不安なことがある場合は、横浜市の長岡行政書士事務所へお気軽にお問い合わせください。初回相談は無料です。
関連記事:尊厳死宣言公正証書とは?作り方や意思表示方法について行政書士が解説!

家族や医療者と話し合っておく(ACP・人生会議)
書面を用意するのではなく、ご家族や医療者と話し合っておくことで意思表示する方法もあります。
この話し合いはACP(アドバンス・ケア・プランニング)といい、厚生労働省は「人生会議」という愛称をつけ、普及を進めています。
たとえ尊厳死宣言公正証書を作成するとしても、書面に書ききれない気持ちや、そう考えるに至った理由を共有しておいたほうが、ご家族も納得しやすくなるでしょう。
延命治療の意思表示をする際の注意点
延命治療の意思表示をする際の注意点としては、下記の3点が挙げられます。
- 必ず希望どおりになるとは限らない
- 意思表示した書類の保管場所を家族に伝えておく
- 遺言書に書いても効力がない
それぞれ詳しく見ていきましょう。
必ず希望どおりになるとは限らない
まず押さえておきたいのが、書面を作成したからといって、必ずそのとおりに扱われるわけではない、という点です。
先述のとおり、日本には尊厳死を直接定めた法律がありません。そのため、事前指示書や尊厳死宣言公正証書に法的な拘束力があるわけではなく、医療従事者がそれに従う義務を負うものではないのです。
とはいえ、意思表示に意味がないわけではありません。本人の希望が明確なら、それが尊重される可能性が高いですし、何より、ご家族が判断を迫られる場面での支えになります。
意思表示した書類の保管場所を家族に伝えておく
せっかく書面を作成しても、必要なときに見つけてもらえなければ意味がありません。
延命治療の判断が必要になる場面では、ご本人はすでに意思を伝えられない状態です。「あの引き出しに入れてある」と本人が説明することはできません。
作成したら、ご家族や、判断を委ねたい方に、内容と保管場所を伝えておきましょう。尊厳死宣言公正証書を作成したのであれば、家族に謄本を渡しておくのも一つの方法です。
遺言書に書いても効力がない
「尊厳死の希望も、遺言書に書いておけばいいのでは」と考える方もいるのではないでしょうか。
しかし、延命治療の希望を遺言書に書いても、効力は生じません。
理由は2つあります。
1つは、効力が発生するタイミングです。遺言書の効力が生じるのは、遺言者が亡くなった時点です。延命治療の判断が必要になるのは、その前の段階ですから、間に合いません。そもそも、ご家族が遺言書を開くのは、亡くなったあとのことです。
もう1つは、遺言書に書いて効力を持つ内容が、法律で決まっているという点です。これを法定遺言事項といいます。
法定遺言事項とされているのは「遺産の分け方」「遺言執行者の指定」などで、延命治療に関する希望は含まれていません。
合わせて読みたい:法定遺言事項とは?遺言書に書いて効力が発生する内容を行政書士が解説!
なお、遺言書には「付言事項」として、法的な効力はないものの、家族へのメッセージを書き添えることができます。そこに延命治療の希望を記すことを考える方もいるかもしれませんが、やはり読まれるのは亡くなったあとですから、延命治療の意思表示としては、本記事で紹介した方法を選ぶことをおすすめします。
終末期の意思表示に困ったら行政書士に相談ください
自分で意思を伝えられなくなったとき、どのような医療を望むのか。これを残しておかなければ、ご家族が「本人ならどう考えただろうか」と推し量り、重い判断を背負うことになります。
方法としては、事前指示書(リビング・ウィル)、尊厳死宣言公正証書、そしてご家族や医療者との話し合い(ACP・人生会議)が挙げられます。実際のところは、どれか1つを選ぶというより、書面を用意したうえで、その内容をご家族と共有しておくのが理想的です。
とはいえ、「どのような内容を書けばいいのか分からない」「公証役場とのやり取りに不安がある」という方も多いでしょう。
横浜市の長岡行政書士事務所では、尊厳死宣言公正証書の原案作成から、公証役場との調整までサポートしています。あわせて、遺言書の作成や、判断能力が低下したときに備える任意後見契約、さらに亡くなった後の相続手続まで、ワンストップでサポートしております。
「自分の人生の終わりに関わることは、すべて自分で段取りをつけておきたい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。


