遺産分割協議は合意解除できる?条件やトラブル例を行政書士が解説!

遺産分割協議の合意解除は可能か?概要とトラブルについて行政書士が解説! 相続手続の基礎
相続手続の基礎

遺産分割協議が終わった後に、被相続人の財産が新たに見つかったりすると一大事です。

しかし実務的には、遺産分割協議のあとに財産が出てくる可能性もあります。

新しい財産が見つかった場合、「遺産分割協議をやり直したい」と思う方もいるでしょう。しかし遺産分割協議はやり直せるものなのでしょうか。

遺産分割協議は相続人全員の合意で成立する重いものです。それを一旦解消するというのはトラブルが起きそうな気もしますが、今回は遺産分割協議の合意解除について「ゴルフレッスン風」に分かりやすくお伝えしていきます。

・・・・・

ここは、神奈川県横浜市にあるゴルフコース「ナガオカ港南カントリー」。

近年のブームからか、老若男女さまざまなゴルファーが、爽やかな風の中、プレーを楽しんでいます。

実はこのコース、他にはない一つの特徴で知られているのです。

それは、名物キャディ、白珠翔子さんがいること。

この白珠さん、元女子プロとして腕を鳴らした後、行政書士となり、今では行政書士事務所を切り盛りしながら、たまに気晴らしを兼ねてレッスンプロとしてコースにでることがあるのです。

今日は遺産分割協議の合意解除がテーマになりそうな予感です、、

この記事の執筆・監修者
長岡 真也(行政書士)

長岡行政書士事務所代表。1984年12月8日生まれ。
23歳の時に父親をガンで亡くしたことから、行政書士を志す。水道工事作業員の仕事に従事しながら、作業車に行政書士六法を持ち込んでは勉強を続け、2012年に27歳で合格。
当時20代開業者は行政書士全体の中で1%を切るという少なさで、同年開業。以来。「印鑑1本で負担のない相続手続」をモットーに、横浜市で相続の悩みに直面する依頼者のために、誠実に寄り添っている。最近は安心して相続手続したい方々へ向け、事務所公式サイト上でコラムを発信しており、相続手続の普及に取り組んでいる。

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遺産分割協議は合意解除できる

実は遺産分割協議は、やり直すことができます。相続人全員で成立したのですから、相続人全員の合意があれば解除が可能です。もちろん、遺産分割協議の中で一部だけを解除することも可能です。

ゴルフをしながら行政書士への相談ができるとあって、「ゴルフもうまくなるし、仕事や家庭の悩みもなくなって、一石二鳥だ」と経営者を中心に大人気。さて、今日もお悩みを抱えたゴルファーが白珠さんのもとを訪れてきましたよ。

白珠「ナイスショ…あーーーっ、池ポチャーーーーーー!」

経木「またやっちまった! うーん、翔子ちゃん、やり直してもいい?」

白珠「ティーショットの打ち直しは1打罰ですから、3打目からのスタートですよ」

経木「そんな厳しいこと言わないでさ」

白珠「ダメダメ、社長。ゴルフは紳士のスポーツなんですからね!」

経木「まいったなあ…。まあティーショットは1打罰程度だからいいけど、今抱えてるあっちのほうはそう単純にはいかないから」

白珠「何かあったんですか?」

経木「それがさ、こないだ亡くなった親父の遺産分割協議をしたんだけどね。そのあとに意外な盲点から、新しい財産が見つかって往生してるんだよ」

白珠「まあ、それは大変」

経木「遺産分割協議って、やり直せるのかな?」

白珠「結論としては、相続人全員の合意があれば、遺産分割協議はやり直せますわよ。あくまでも相続人全員の合意があれば、ですけど」

遺産分割協議をやり直すケース

遺産分割協議をやり直すケースとしては、次のような例が挙げられます。

  • 新しい財産が見つかったとき
  • 相続人全員の合意があるとき
  • 遺産分割協議が無効だったとき

「やり直す」といっても、上記の事例ごと、法律的な意味合いは少し変わるので注意してください。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

新しい財産が見つかったとき

経木「新しい財産が見つかったんだから、分割協議を最初からやり直さなきゃいけないのかなと思ってるんだけど、なんだかんだ大変だったから、もうやりたくないんだよね…」

白珠「あら、社長。新しい財産が見つかったとしても、協議自体を全部解除する必要はないですよ」

経木「そうなの?」

白珠「要するに、新たに見つかった財産のことだけ、追加で協議をすればいいんです」

経木「それは知らなかったな」

白珠「もっとも、新たに見つかった財産が最初の遺産分割協議と関連していれば別ですけどね。でも、実は遺産分割協議のやり直しって、ティーショットやり直しの1000倍リスクが高いですよ」

経木「げげげのげ」

合わせて読みたい:遺産分割協議は一方的に解除ができる?行政書士が内容や注意点を解説!

相続人全員の合意があるとき

相続人全員が合意すれば、遺産分割協議そのものをやり直すことも可能です。

これがいわゆる「合意解除」です。

たとえば新しい財産が見つかったことをきっかけに、相続人全員ですべての遺産分割協議をやり直してもいい、ということです。

遺産分割協議が無効だったとき

参加していない相続人がいたなど、遺産分割協議の要件を満たしていなかった場合は、そもそも遺産分割協議が「無効」だったと主張できます。

また、詐欺・強迫・錯誤などがあった場合も、遺産分割協議の「無効」を主張可能です。

もし遺産分割協議が「無効」となれば、一から遺産分割協議をやり直します。

遺産分割協議をやり直したいときに考慮すべきこと

遺産分割協議は解除することもできることが分かりました。しかし、一旦分配したりしたお金を取り戻したり、不動産を相続した人から再度やり直すとしたら、トラブルが起きないか不安ですよね。そちらも併せてみていきましょう。

遺産分割協議をやり直したいときに考慮すべきことは次の2つです。

  • 税金が発生するリスク
  • 遺産分割協議が無効である可能性

税金が発生するリスク

白珠「遺産分割協議のやり直しで考慮すべき一つ目のリスク、まずは税金面でのトラブルですね」

経木「なんだか嫌な響きだなあ…」

白珠「たとえば不動産などの財産を売却処分しているとしましょうか。もう人のものになっちゃった後だから、相続開始時の状態には戻せませんよね」

経木「そりゃそうだ。弁済しなくちゃどうにもならん」

白珠「そうなんです。しかも承継し終えた財産を別の相続人に渡すと贈与と見なされることもありますから…」

経木「ぞ、贈与税が発生するかも…!」

白珠「ですね…。加えて所得税も課税されるかもしれませんし、相続税の追徴なんてことも…」

経木「そりゃ困るよ、翔子ちゃん!」

白珠「あとひとつですね…、夏の怪談以上に恐ろしい話がね…」

経木「その稲川淳二さんみたいなテンションやめて」

遺産分割協議が無効である可能性

遺産相続のトラブルの中には、「一部の相続人による財産隠し」という事案が考えられます。

例えば、一部の財産を隠したまま遺産分割協議書を作成し、自分に有利になるように成立させれば、他の相続人は本来もらえるはずだった財産をもらえなくなり、不公平となります。

このような場合には遺産分割協議の無効を主張することも考えられます。

白珠「もし相続人の一部によって財産が隠されていたことがわかったら…財産隠しや偽造などの疑いがかけられ、無効となる場合があるんです」

経木「ひいいー!」

このような状態の場合、「一度合意した遺産分割協議を合意解除して、もう一度協議する」のではなく、「預貯金は残されていないと誤解していた」などを理由とした”錯誤無効”を主張することになるでしょう。

先述したとおり、遺産分割協議をやり直すといっても、それが合意に基づく「合意解除」なのか、それとも「無効」を主張することになるのか、法律的には異なる意味を持つため注意してください。

遺産分割協議をやり直さないようにする対策

遺産分割協議は状況により色々とトラブルが起きることは分かりました。では、そのようなトラブルを防ぐために何か対策はあるのでしょうか。一緒に考えていきましょう。

白珠「遺産分割協議のやり直しを防ぐためには、事前に有効な対策を打っておく必要があるんです」

経木「どういうものだい?」

  • 財産目録を作る
  • 遺言書を作る
  • 遺産分割協議事項に後日発見した財産について記載する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

財産目録を作る

白珠「まずは遺産分割協議の前に相続財産調査を徹底すること。相続財産にはプラスの財産だけではなく、借金のようなマイナスの財産も含むことがあります。財産を漏れなく探してから、遺産分割協議を行うのが、トラブル防止の一番の方法です」

合わせて読みたい:相続時に必要な財産目録とは|目的や書き方を行政書士が紹介します!

経木「もう、今度同じようなことがあったら、タンスや机など以外に、財布の中のカード類なども全部調べるよ…」

財産調査や財産目録の作成が大変な場合には、行政書士へ依頼できます。

横浜市の長岡行政書士事務所でも対応していますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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遺言書を作る

白珠「まだ相続が発生していないタイミングであれば、遺言書を作成することで遺産分割協議のやり直しを対策できますね。相続財産の調査はどうしてもヌケモレが出やすいですから、それを見越して遺言書で相続内容を決めておくことです」

経木「つまり、遺言書があれば、遺産分割協議をしなくても済むというわけかい?」

白珠「そういうことです。それだけでも相続人の負担はだいぶ減りますし、一部の相続人による財産隠しも起きなくなります」

合わせて読みたい:遺言書とは~効力と種類について行政書士が詳しく解説!

遺言書の作成についても、行政書士に相談可能です。

横浜市の長岡行政書士事務所では遺言書作成もサポートしています。

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遺産分割協議事項に後日発見した財産について記載する

経木「でも、実際に遺産分割協議をしなくてはいけなくなったら、その時は何に気を付ければいいんだい?」

白珠「まさに、このときに『新たな財産の発覚時にはどのように対応するか』という方針も一緒に決めておくといいんですよ」

経木「なるほど、先手必勝か!」

白珠「もちろん、その新しい財産が債務の場合にはちょっとややこしくなりますから、相続が発生したときに、すぐ法律の専門家に相談するに越したことはないんですよ」

遺産分割協議書の作成についても、行政書士へ依頼できます。

法律的な表現など難しい内容もあるため、ぜひお気軽にご相談ください。

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遺産分割協議を合意解除しないためにも行政書士に相談

経木「そうかそうか…おっと、そうこうしているうちに、グリーンに乗ったぞ。下りのロングパットか、気を引き締めて、と…エイッ」

白珠「わあ、お見事! これで最初の打ち直しを帳消しにしましたね!」

経木「いやあ、翔子ちゃんのおかげだよ。ありがとうね!」

この記事を詳しく読みたい方はこちら:遺産分割協議はやり直せるのか?行政書士がポイントを徹底解説!

遺産分割協議で問題があると税金の発生リスクや協議自体が無効になる可能性も分かりました。このようなことにならないためにも、事前に財産目録を作ることや遺言書の存在も検討することが大事です。

遺産相続を円滑に進めるときは、ぜひ横浜市の長岡行政書士事務所までお気軽にご相談ください。

今、悩まれている方はお問い合わせください

長岡行政書士事務所

まずは初回0円相談でお悩み解決!

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この記事の執筆・監修者
長岡 真也(行政書士)

長岡行政書士事務所代表。1984年12月8日生まれ。
23歳の時に父親をガンで亡くしたことから、行政書士を志す。水道工事作業員の仕事に従事しながら、作業車に行政書士六法を持ち込んでは勉強を続け、2012年に27歳で合格。
当時20代開業者は行政書士全体の中で1%を切るという少なさで、同年開業。以来。「印鑑1本で負担のない相続手続」をモットーに、横浜市で相続の悩みに直面する依頼者のために、誠実に寄り添っている。最近は安心して相続手続したい方々へ向け、事務所公式サイト上でコラムを発信しており、相続手続の普及に取り組んでいる。

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