相続人が生前の債務を立て替えた場合の問題とは【レッスンプロ・白珠翔子は行政書士】

相続人が生前の債務を立て替えた場合の問題とは 相続手続の基礎
相続手続の基礎

相続する財産には財産的に価値があるプラスの財産と、借金や損害賠償など負債として残るマイナスの財産があります。

マイナスの財産を相続したくない場合は、相続放棄によって拒否することができるほか、もしマイナスの財産を相続しても債務控除としてマイナスの財産分は控除されるなど、相続人の負荷を軽くする措置はあります。

しかし、亡くなった親のために子が立て替えた諸々の費用は相続においてどのように扱われるのでしょうか?

今回はこの相続人における生前の立て替え問題を「ゴルフレッスン風」に解説いたします!

・・・・・

ここは、神奈川県横浜市にあるゴルフコース「ナガオカ港南カントリー」。

近年のブームからか、老若男女さまざまなゴルファーが、爽やかな風の中、プレーを楽しんでいます。

実はこのコース、他にはない一つの特徴で知られているのです。

それは、名物キャディ、白珠翔子さんがいること。

この白珠さん、元女子プロとして腕を鳴らした後、行政書士となり、今では行政書士事務所を切り盛りしながら、たまに気晴らしを兼ねてレッスンプロとしてコースにでることがあるのです。

ゴルフをしながら行政書士への相談ができるとあって、「ゴルフもうまくなるし、仕事や家庭の悩みもなくなって、一石二鳥だ」と経営者を中心に大人気。

さて、今日もお悩みを抱えたゴルファーが白珠さんのもとを訪れてきましたよ。

白珠「おはようございます、半加社長。今日は苦手なバンカーに入らないよう、フェアウェイど真ん中を狙い続けたいですね!」

半加「そうだねえ、相続の方でバンカーにハマりそうだから、せめてゴルフくらいはスッキリいきたいもんだよね」

白珠「おや、何かお悩みのようですね」

半加「ああ、実は亡くなった親の家のローンと入院費用を立て替えてたんだけど、立て替えたお金は、親の債務になるのかどうか、調べてもなんだか複雑で困ってんだよ」

白珠「わかりました。では、ゴルフも相続もナイスショットしていきましょ!」

※この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありませんが、相談内容は現行法に基づいています。

この記事の執筆・監修者
長岡 真也(行政書士)

長岡行政書士事務所代表。1984年12月8日生まれ。
23歳の時に父親をガンで亡くしたことから、行政書士を志す。水道工事作業員の仕事に従事しながら、作業車に行政書士六法を持ち込んでは勉強を続け、2012年に27歳で合格。
当時20代開業者は行政書士全体の中で1%を切るという少なさで、同年開業。以来。「印鑑1本で負担のない相続手続」をモットーに、横浜市で相続の悩みに直面する依頼者のために、誠実に寄り添っている。最近は安心して相続手続したい方々へ向け、事務所公式サイト上でコラムを発信しており、相続手続の普及に取り組んでいる。

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立て替えたお金が相続財産になる条件

立替金はマイナスの遺産です。お金を支払う義務があるのならそれは基本的に、債務として相続されることになります。

半加「そうだよね。マイナスの財産として承継されるのなら、その分の金額だけ相続税が控除されるんだろ?」

白珠「そうですね。細かく言うと、いくつかの条件をクリアしなくてはいけないんですけどね」

立て替えたお金が相続財産になる条件は以下の3つです。

  • 立替の事実を証明する
  • 立替えた人が分かるようにする
  • 立替が扶養義務に該当しないこと

上記以外にも状況により条件になる恐れがあります。

立替の事実を証明する

親に関する費用を支払った際に領収書を受け取るなどして、客観的にお金を立て替えたという事実を証明する必要がある

立替えた人がわかるようにする

費用を支払い、領収書を受け取った際に、宛先として立替えた人の名前が記されているなど、支払者を明確に証明する必要がある

立替が扶養義務に該当しないこと

亡くなった親に経済力がなく、経済力のある子が入院費用を支払っていたのなら、この扶養義務に該当する可能性がある

半加「なるほど、けっこう細かいんだな。こうした要件があるのは、やっぱり立替金が、その後の問題になりやすいからかい?

白珠「さすが社長、リスクへの意識はお高いですね!そうなんです。では具体的に事例をご紹介しましょう」

立替金が問題になりやすいケースとは?

マイナス財産承継時の要件が細かく決まっているのは、立替金により問題が起きるケースがありうるためです。いくつかの具体例を見ていきましょう。

生活費の立替

親が高齢になり、収入が減り、子が親の分の生活費(家賃や食費など)を支払うことになった
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扶養義務に該当するように見えるが、遺された財産が結果的にプラスであるならば、扶養義務には該当しない。相続税の算定額がその分だけ減ることになる

ローンや借金の立替

親が亡くなりそうなので、親のローンや借金を子が自分のお金で清算した
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子供への借金もマイナスの財産としてカウントされますので、相続税がかかる金額から控除される

葬式の費用の立替

葬儀費用を喪主である子が立替えて支払った
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厳密には相続財産ではないが、相続開始後発生する必要なお金であるため、葬儀費用は立替えた分、相続税の算定額からは控除される

専門家の費用の立替

遺産分割協議書の作成や遺言執行を行政書士に依頼し、相続税の税務申告を税理士に頼んだ
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葬儀費用と違い、故人が遺したマイナスの財産と評価はされにくい。死後に発生した任意の費用として、相続人や関係者が支払う費用とされている

半加「白珠さんのおかげでだいぶわかりやすく整理されたけど、何が遺産なのか、そしてそれはどういう種類の遺産なのかを的確に把握するのは難儀なことだな」

立て替え費や相続財産の範囲に困ったら行政書士へご相談ください

白珠「まったくです。さて、社長、ここから一気にグリーンを狙いましょう。2オンできれば、バーディトライですよ!」

半加「ようし…ここは秘伝の、チャー・シュー・丼!」

白珠「ナイスショット! …あっ!」

半加「ああっ、グリーン手前のバンカーに…!」

白珠「社長、でもちゃんとバンカー対策なさってきたじゃないですか! 相続もバンカーショットも、大事なのは対策です!」

半加「相続も?」

白珠「はい、専門家に相談をすれば、何が相続財産となり、そのためどのようなことになるのかがわかるので、ぜひしっかり専門家を味方につけてください!」

半加「ようし、じゃあこのバンカーを一気に脱出して、昼休憩のときに白珠君に正式に依頼するようにしよう!」

白珠「社長ならできます! しっかりボールをすくって…せーの!」

半加「おおおし、いった! しかもピンそば!」

白珠「社長、ゴルフも相続も最高の寄せができましたね!」

この記事を詳しく読みたい方はこちら:亡くなった人の債務を立替えたらどうなるの?相続時の立替金を行政書士が徹底解説!

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この記事の執筆・監修者
長岡 真也(行政書士)

長岡行政書士事務所代表。1984年12月8日生まれ。
23歳の時に父親をガンで亡くしたことから、行政書士を志す。水道工事作業員の仕事に従事しながら、作業車に行政書士六法を持ち込んでは勉強を続け、2012年に27歳で合格。
当時20代開業者は行政書士全体の中で1%を切るという少なさで、同年開業。以来。「印鑑1本で負担のない相続手続」をモットーに、横浜市で相続の悩みに直面する依頼者のために、誠実に寄り添っている。最近は安心して相続手続したい方々へ向け、事務所公式サイト上でコラムを発信しており、相続手続の普及に取り組んでいる。

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