「相続手続が終わりかけたころに、亡き父がらみの知らない不動産が出てきてギョッとした」という話、実は案外あるあるだったりします。被相続人名義で登録されている不動産は、賦課期日前に被相続人が死亡しているならば相続人が納税義務者になります。つまり、知らなかったでは済まされないことになりかねないのです。そんなことにならないよう、ぜひ「名寄帳」(なよせちょう)を有効活用していきましょう。
今回はこの名寄帳について、相続時に横須賀市で請求する方法や必要書類を解説します!
名寄帳とは
名寄帳は、市区町村ごとに不動産の情報がまとまった一覧資料です。
不動産投資をしている人であれば、あちこちに土地や家屋を持っていても不思議ではありません。また、さまざまな相続が積み重なり、現在居住したり生活している土地・家屋以外に不動産を所有しているというケースもあります。
いずれにせよ、被相続人がどんな資産を持っていたかは、相続時にしっかり洗い出す必要があるので、名寄帳を使って確認すると便利だというわけです。
もっとも、名寄帳にはさまざまな情報が掲載されていますので、いったい名寄帳のどこをチェックすればいいのかわからない…という声をお寄せいただくことがあります。
そんなときはまずこの3つの項目を抑えるように覚えておきましょう。
- 不動産の所有者に関する情報
- 種類、所在地、用途など不動産そのものの情報
- 固定資産税の評価額と課税標準額
横須賀市で名寄帳を入手する方法は?
名寄帳は、被相続人の所有する(または所有可能性のある)不動産がある市区町村役場に申請する必要があります。また請求できる人も定められています。横須賀市の場合を見ていきましょう。
【横須賀市に名寄帳を申請できる人】
横須賀市に名寄帳を請求できるのは、以下に該当する人です。
- 相続人、納税管理人などを含む固定資産の所有者
- 本人本人と生計を一にする世帯の家族
- 本人の委任状などを持参した人
【まずは申請のための書類を書きましょう】
書類が完成したら、横須賀市役所1号館2階7番窓口に持参し、申請手続きを行います。各行政センター、役所屋では交付されないので注意してください。
まず名寄帳交付申請書に必要事項を記入します。申請書は横須賀市のホームページからダウンロードできます。

横須賀市の申請用紙ではなくても請求できる
もしダウンロードできない場合は、申請用紙を自作します。記入できる用紙を準備し、以下の内容を記載します。項目は横須賀市の発行する名寄帳交付申請書と同じですので、上の画面を参考に記載しても構いません。
- 宛先→横須賀市長
- 表題→税証明申請書
- 申請書作成年月日
- 申請者の住所・氏名(名称)・生年月日・印(法人の場合は代表者印)、昼間連絡のつく電話番号(携帯可)
- 所有者の住所・氏名(名称)・生年月日(申請者が相続人の場合は、亡くなった人との続柄と、死亡日)
- 必要な証明の種類と通数(評価証明・公課証明・名寄帳)
- 必要な証明の年度
- 評価証明・公課証明の場合は証明が必要な物件の区分(土地・家屋)と物件の所在地番(登記上の所在地)
横須賀市への窓口申請の方法
窓口申請をするときは、本人確認書類を持参し忘れないようにしましょう。名寄帳は重要な個人情報になりますので、本人・代理人にかかわらず、窓口に行く人の本人確認が必要になります。
本人確認できるものは、官公署が発行した免許証や許可証等(写真付き)のものが一般的です。
- マイナンバーカード
- 運転免許証
- 写真付住民基本台帳カード
- パスポート
もし写真付きの証書類がない場合は、保険証や年金手帳など氏名・生年月日の記載がある証明書等を2種類持参するようにしてください。
なお横須賀市では、名寄帳の発行手数料は無料となっています。
相続人が申請する場合は、相続権があることを確認できる書類(戸籍謄本または遺言書)を提示しなくてはいけません。また法人が申請する場合は代表者印もしくは代表者印を押した委任状または申請書が必要です。
横須賀市へ郵送による申請をしたい場合
名寄帳は、郵送で申請することもできます。横須賀市のホームページからダウンロードした申請書もしくは上の書式に倣った自作申請書に加え、以下を同封して横須賀市税務部資産税課に送ります。なお電話やFAXのみでの申請はできません。
- 切手貼付済みの返信用封筒
- 委任状等(代理人が申請する場合)
- 相続権があることを確認できる書類(相続人が申請する場合)→戸籍謄本または遺言書等、コピーでもOK
- 手数料分の定額小為替
手数料の計算例
同一の所有者なら2筆・2棟までそれぞれ300円です。
・土地2筆、家屋1棟の場合→土地1件300円、家屋1件300円で合計2件600円
・土地4筆、家屋3棟の場合→土地2件600円、家屋2件600円で合計4件1,200円
・土地1筆、家屋1棟、別の所有者1名で共有の土地1筆の場合→土地2件600円、家屋2件600円で合計4件1,200円
※計算に不安がある場合は、横須賀市にご相談ください。
【郵送請求の注意事項】
- 同一人と共有していても持ち分比率が違う場合は1筆づつ別々に計算されるので注意が必要です
- 委任状は、発行後6か月以内のものを用意しましょう
- 借家・借地人の場合は、賃貸契約書の提示またはコピーの添付をしましょう
- 最近売買した場合は、売買契約書(コピー可)、媒介契約書等(コピー不可)の提示もしくは添付をしましょう
【郵送請求の送付先】
「〒238-8550 横須賀市資産税課」で届きます。」
市区町村役場の郵便番号は特定の役所の番号が割り振らていますから、住所の記入が不要となります。
横須賀市へ名寄せ請求に困ったら専門家に相談しよう!
名寄帳に記載される情報は、その年の1月1日現在の情報です。つまり、そこから1年以内に変更があっても、翌年の1月1日現在になるまで情報が反映されません。
そうなると、不動産契約書など、名寄帳以外の方法で不動産の有無を確認しなくてはいけなくなります。
また、名寄帳に記載があっても、実は売却済みだったということもしばしばあります。すると不動産の登記事項証明書などによる確認が必要になってくるのですが、ここまでくると混乱してしまっても不思議ではありません。
そうなる前に、長岡行政書士事務所にご相談ください。相続手続全般に寄り添っていますので、ご不安を解消するお手伝いをさせていただきます。