相続人が相続放棄をした後の財産はどうなる?行政書士が注意点等を解説!

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「父が連帯保証人になっていたので、相続人全員で放棄をしようと思う。家や預貯金はどうなる?」
「相続放棄をした後は、亡くなった家族の財産をどうすればいい?」
「相続放棄後に注意すべき点を詳しく知りたい」

相続は義務ではないため、放棄をすることができます。相続放棄を行うと、被相続人が所有していたプラスの財産も、マイナスの財産も合わせて放棄する必要があります。では、放棄後には、遺された財産はどうなるのでしょうか。本記事で行政書士がわかりやすく解説します。

相続放棄をすると遺された財産はどうなる?

法定相続人は必ずしも相続を行う必要はなく、「相続放棄」を選択することもできます。


相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

民法第915条

では、実際に相続放棄をしたなら、被相続人が遺した相続財産はどうなるのでしょうか。

相続放棄をしたら次の相続人へ相続権が移る

たとえば、親の相続を第1順位である子が全員相続放棄をした場合、次に第2順位である直系尊属(親)に相続権が移動します。

相続放棄をすると、その相続人は「はじめから居なかった」ことになるため、子が全員相続放棄をしても代襲相続として孫に相続権が移ることはありません。

合わせて読みたい:第三順位の兄弟姉妹と配偶者が法定相続人となる場合を行政書士が解説します! 

相続人全員が放棄をしたら相続人不存在となる

被相続人に高額の債務があった場合などのケースでは、相続人全員が相続放棄をすることがあります。では、相続するべき人が全員いなくなった場合はどうなるのでしょうか。

相続人全員が相続放棄を完了させると、「相続人不存在」となります。遺言書がある場合は遺言書に沿って財産が承継されますが、特別縁故者もない場合には最終的に相続財産は「国庫」に納付します。

合わせて読みたい:相続財産管理人とは?相続人がいない場合の手続きの概要と注意点

最終的には国庫に納付される

では、国庫に納付するとはどのような意味なのでしょうか。引き継ぐ方がいなくなった相続財産がある場合は、最後に国のものとして納付されます。現在単身者の増加や少子化によって、相続人がそもそもいないケースも増加しており、相続財産の国庫納付が増加の一途を辿っています。

NHKによると相続人がいないために国庫に納められた金額は、2022年度には768億9444万円と、記録が残る2013年度以降、最も多くなっているのです。

参考URL :NHK 「相続人いない財産」過去最多768億円が国庫へ 昨年度

相続人全員の相続放棄後の財産の管理方法とは

相続人全員が相続放棄を完了させた場合は、相続財産の管理はどうすればよいでしょうか。この章では相続放棄後の相続財産の管理方法について、詳細を解説します。

相続財産清算人の申立てが行われる

相続財産の管理をする相続財産がいなくなったら、「相続財産清算人」を申立てします。

この時、予納金を裁判所に対して納める必要があるため注意が必要です。予納金は相続財産の金額などによって大きく異なっており、10~100万程度の範囲が相場でしょう。相続放棄をすると、被相続人が遺した財産を無断で承継・処分することはできません。そのため、被相続人の財産を管理し、債権者などに分配する人が必要となります。

家庭裁判所に対して申立てを行うと、裁判所が相続財産清算人を選任します。(民法第952条1)

相続財産清算人の選任後、相続人の調査を行う

相続財産清算人が選任されたら、相続財産清算人はすぐに相続権主張の催告を行い、「本当にこの相続に関して、相続人はいませんか」という呼びかけのような手続きを行います。この手続きでも相続人が見つからなかった場合は、債権者や受遺者に対して請求申出の催告を行います。

債務がある場合は被相続人の財産から清算する

必要に応じて、相続財産清算人は相続財産の中から債権者・受遺者に対して弁済を進めます。弁済できる資金が無い場合、不動産競売などの財産の処分を行います。

弁済すべき金額に満たない場合でも、相続財産がすべて弁済でなくなった場合は、清算は終了します。

残った財産から報酬が清算され、残りは国庫へ

弁済完了後にも被相続人の相続財産が残っている場合は、国庫に納付されて完了します。すべての業務が完了すると、相続財産清算人に対して裁判所が報酬を決定します。

相続放棄後の管理責任や処分における注意点

相続放棄の完了後、被相続人の財産は勝手に使ったり処分をすることはできません。しかし、相続財産の内容によっては管理責任を負う場合もあります。この章では相続放棄後の管理責任や処分について、詳細を解説します。

相続放棄前も後も、勝手に処分はできない

被相続人の相続財産を放棄する可能性がある場合、放棄前の段階から勝手に処分や消費をすることはできません。相続放棄前に、勝手に預貯金を使いこんだりすると、「法定単純承認」とみなされるため、相続放棄ができなくなります。また、車や不動産の売却などの行為も法定単純承認とみなすため避ける必要があります。

合わせて読みたい:相続放棄ができなくなる行為とは?法定単純承認について行政書士が解説!

相続放棄完了後は、相続人ではなくなるため被相続人の財産を処分などする行為はできません。

管理責任が発生するケースもある

相続放棄をする前~完了後は、被相続人の財産の取り扱いに注意が必要ですが「管理責任」について対応せざるを得ない時があります。たとえば、他人の敷地に放置されている被相続人の車両などがある場合、別の場所に移設するよう求められるケースがあります。

また、相続放棄後~相続財産清算人の選任までの期間で、被相続人が所有していた空き家が近隣トラブルになっている場合などは、「現に占有」している方が管理する義務があります。

単純承認にならないように慎重に判断するべきことが多いため、もしも相続放棄前後に財産の扱いに悩んだら、速やかに弁護士に相談することがおすすめです。

相続放棄が予想される場合賃貸物件の整理はどうする?

被相続人が生前に賃貸物件に住んでいた場合、遺されている遺品類などの処分はどうするべきでしょうか。先に触れたように、相続放棄を予定している場合は賃貸物件にある遺品類の処分は難しいですが、物件管理者からすると、「早く撤去してほしい」と考える可能性は高いでしょう。

しかし、滞納家賃がある場合、相続人による弁済は法定単純承認とみなされる可能性があるため、物件管理者側の督促に対応することができません。

賃貸物件と相続放棄については、以下2つの視点から検討する必要があります。

■保存行為
保存行為については、法定単純承認とはみなしません。処分はできないため、まずは遺品類をまとめて別の場所で保管することは検討できるでしょう。

■腐敗する物の処分は認められる
冷蔵庫内の生ものなど、腐敗する物については処分が認められています。しかし、「何を処分し、何を保存してもいいのか」法律に沿って判断することは大変難しいため、専門家に相談することが望ましいでしょう。

相続放棄はどうして起きるのか?

相続放棄は大切な相続財産をまとめて放棄することです。では、どうして相続放棄という事態は起きてしまうのでしょうか。原因は以下のとおりです。

債務が高額のケース

被相続人に高額の債務があった場合、預貯金や不動産などのプラスの財産を相続しようとすると、債務も相続する必要があります。たとえば、住宅ローンや消費者金融からの借入、連帯保証、滞納家賃なども債務として引き継ぎます。

欲しい財産があっても、債務の返済が始まること考えると、相続放棄をせざるを得ないケースがあるのです。

生前から没交流のケース

高額の財産があっても、被相続人と相続人の間が長年没交流だった場合、相続放棄を選択する人もいます。たとえば、両親の離婚で長年父とは交流の無かった子が、父が遺した財産を受け取らないケースは少なくありません。

また、相続によっては甥や姪が相続人となるケースもありますが、面識に乏しい方の財産を受け取ることを拒否することもあります。

その他

被相続人が遺した財産が遠方の売れない不動産だけだった場合など、管理が難しい財産だけがある場合、相続放棄を選択する場合があります。

また、事業継承にともない、特定の相続人に財産を集中させるために、相続放棄を選択することもあります。

相続放棄は慎重に判断を|専門家に相談することがおすすめです

この記事では、相続放棄後の財産のゆくえについて、管理の視点から詳しく解説を行いました。相続放棄は、手続きそのものは難しいものではなく、ご自身で家庭裁判所に対して申立てすることも可能です。ただし、大切な財産をまとめて放棄することになるため、慎重に判断するようにしましょう。

しかし、法定単純承認や管理責任といった注意点もあります。国庫への納付に向けた手続きも知っておく必要があるため、専門家に相談をすることがおすすめです。

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この記事の執筆・監修者
長岡 真也(行政書士)

長岡行政書士事務所代表。1984年12月8日生まれ。
23歳の時に父親をガンで亡くしたことから、行政書士を志す。水道工事作業員の仕事に従事しながら、作業車に行政書士六法を持ち込んでは勉強を続け、2012年に27歳で合格。
当時20代開業者は行政書士全体の中で1%を切るという少なさで、同年開業。以来。「印鑑1本で負担のない相続手続」をモットーに、横浜市で相続の悩みに直面する依頼者のために、誠実に寄り添っている。最近は安心して相続手続したい方々へ向け、事務所公式サイト上でコラムを発信しており、相続手続の普及に取り組んでいる。

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