遺産から葬儀代は払える?相続時における葬儀費用の問題を行政書士が解説!【相続座談会】

遺産から葬儀代は払える? 相続時における葬儀費用の問題を行政書士が解説!【相続座談会】 相続手続の基礎
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親族で遺産分割について話し合いをするとき、葬儀代の扱い方について悩む方も多いのではないでしょうか。

「お葬式費用って誰が払うのか決まっているの?」

そんなご相談も案外少なくはないのです。結論を言うと、葬儀代は遺産から払えません。ただし、不思議なことに遺産分割協議書には葬儀代について記入することができたりもするのです。

今回は、遺産分割における葬儀代の取り扱いについて、Aさん、Bさん、Cさんにお越しいただきました。どのような点に注意していけばいいか、一緒に考えてみましょう。

葬儀代は遺産の負担にはならないとされている

葬儀の一般的な流れとしては、民間の葬儀会社などにお葬式を依頼して、そのサービスに対してお金を支払う流れでしょう。つまり契約によって生じる債務で、負債ですので遺産になるように思えるかもしれません。しかし、葬儀代は死後に発生したものであるから遺産ではないのです。

A「よろしくお願いします」

B「意外でしたね、葬儀代っててっきり遺産から捻出するものとばかり思っていました」

葬儀費用は死亡後に生じた債務

A「時間軸で考えると理解しやすいですよね。葬儀というものは死亡しなければ行われない、つまり死後に発生する費用です。相続の開始は、本人が死亡した日ですので、相続財産ではないってわけですね」

C「気になるのが、相続財産ではないなら、相続財産の中から支払うことはできないのかどうかですよ。葬儀代が相続財産ならば、亡くなった人の財産から葬儀代を出せばいいですし、その分だけ相続財産が全体的に減るだけだから計算もしやすい」

A「葬儀代を誰が出すかには、厳密な決まりはないみたいですね」

B「なんでそこに決まりがないのですかね?」

A「あくまでも、葬儀会社との契約によって行われるのですから、費用負担者も任意でってことだと、うちでお世話になってる行政書士さんが言ってましたよ」

C「おや、Aさんはすでに行政書士さんに相談をされているのですね」

B「こりゃいろいろと教えてもらわないと」

葬儀の負担者は4パターンある

A「いえいえ。ちなみに、誰が葬儀代を負担するかというのは、主に4つのパターンがあるようです」

  1. 喪主が負担する
  2. 各相続人で負担する
  3. 話し合いで負担者を決める
  4. 慣例・条理によって葬儀代負担者を決める

では上記の4パターンを見ていきましょう。

①喪主が負担する
最も多いケースです。時々の状況により、葬儀代の一部を他の遺族などに後から請求することもあります。

②各相続人で負担する
相続人で亡くなった被相続人の葬儀代を分けて負担するケースです。

③話し合いで負担者を決める
葬儀代は遺産分割の対象とはなりませんが、葬儀代を遺産分割協議でどう扱うかを決めることはできます。注意点としては、遺産分割協議の成立には全員の同意が必要であること。他の協議が済んでいるにも関わらず、葬儀代が決まらないばかりに全員の同意とならず、相続手続きが進まなくなってしまうこともありえます。

④慣例・条理によって葬儀代負担者を決める
風習やその場所での決まりによって決めるというパターン。その地方や親族間で伝統的に決められた人が葬儀代を支払うケースです(例:親の葬儀代は長男が支払うのが風習としてあるなど)

遺産から葬儀代を払うことができる場合もある

葬儀代は死後に発生した費用ですので、遺産とは関係がありません。しかし、葬儀代を相続財産から支払うというケースもいくつか存在します。

遺産分割協議書に葬儀代の負担について書く

C「なかなか矛盾してそうだけど、どういうことでしょうね」

B「遺産分割協議で話し合うことができるっていうところがポイントになるのでは?」

A「どうもそうらしいです。遺産分割協議で話し合い、相続人の同意があれば、遺産から葬儀代を支払うことができるそうですよ。ちなみに、うちはそのケースでした」

B「いくつか存在する、と聞いたけど、ほかにはどんなケースがあるんですか?」

預貯金の仮払い制度で葬儀代を支払う

A「預貯金の仮払い制度を活用する方法は聞きましたね。死亡により口座が凍結している場合、以下のうちの少ない方の金額を遺産分割前に引き出せるんです」

  1. 法定相続分×1/3
  2. 150万円(制度上定められた限度)

A「これは葬儀代のような費用を一時的にまかなうための制度なんですって」

C「じゃ、たとえば預貯金が1800万だとして、法定相続分が…いくらだ?」

B「配偶者は半分、900万ですよね。つまり、①900万×1/3=300万と②限度額の150万を比較すると、②のほうが少ないので、150万は位置的にひきだせることになるってわけですね」

C「忘れちゃいけないのが、そのぶん遺産が減ってしまうということですよね?」

B「そこね。もしも喪主になってさ、自分がもらい受けるはずだった預金150万をすべて葬儀代に払い、他の人が一切葬儀代を払わなかったとしたら、さすがに不公平感すごいですよね」

A「葬儀代は突発的な支出なので、トラブルになりやすいから気を付けるに越したことはないですね。遺族にそういう思いをさせないためにも遺言で書いておくのもいいと行政書士さんが言ってました」

遺言書で葬儀代について書くことも有効手段

遺言によって葬儀代の負担者やその費用の出し方などを決めておくことで、不要なトラブルを避けることができるため、お勧めです。

B「遺産ではないけど、書けるんだ?」

A「書いておくことによって、故人の意思がわかり、みんなでそれを確認できるので、あながちありえない方法じゃなってことですね」

C「被相続人のやさしさでもありますよね」

A「ええ。「葬式代については遺言に書いてあるから、その通りにしてね」と伝えるだけでもスマートですよね。「この人が葬儀代の負担者だ」と具体的な効力を発生させるものじゃないので、あくまで「私の意思としてはこの人に任せたい」というメッセージのようにするといいそうです」

合わせて読みたい:葬祭費は誰の負担?遺言書に書くべき葬儀費用について行政書士が解説

葬儀代と相続の問題にお困りの方は行政書士にご相談を

B「Aさんは、行政書士さんからそういうアドバイスをもらったってわけでしょう?」

A「はい、私も最初は全然詳しくなかったですが、相談してみるもんですね」

B「私にも、その方を紹介してもらえませんか?」

C「私も!」

A「もちろん、ではあとでご連絡先をお伝えしますね。今日はありがとうございました!」

まとめとして、葬儀代の負担の問題はいかがだったでしょうか。葬儀代は死後に発生する債務(契約)なので、

原則的には相続財産の負担とはならないのですが、相続人全員の合意があれば相続財産で負担することが出来ます。

葬儀代や相続の問題でお困りのことがございましたら長岡行政書士事務所へお気軽にご連絡ください。

この記事を詳しく読みたい方はこちら:葬儀代は遺産分割の対象となる?相続における葬儀代の注意点を行政書士が徹底解説

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この記事の執筆・監修者
長岡 真也(行政書士)

長岡行政書士事務所代表。1984年12月8日生まれ。
23歳の時に父親をガンで亡くしたことから、行政書士を志す。水道工事作業員の仕事に従事しながら、作業車に行政書士六法を持ち込んでは勉強を続け、2012年に27歳で合格。
当時20代開業者は行政書士全体の中で1%を切るという少なさで、同年開業。以来。「印鑑1本で負担のない相続手続」をモットーに、横浜市で相続の悩みに直面する依頼者のために、誠実に寄り添っている。最近は安心して相続手続したい方々へ向け、事務所公式サイト上でコラムを発信しており、相続手続の普及に取り組んでいる。

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