会社役員としての地位は相続できるの?【レッスンプロ・白珠翔子は行政書士】

会社役員としての地位は相続できるの?【レッスンプロ・白珠翔子は行政書士】 相続手続の基礎
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会社経営をしている方は、自身の死後に会社がどうなるのか不安になるのではないでしょうか。

特に多いのが「会社の財産や経営に関する地位は、相続対象になるのか?」というご相談です。法律知識を正しく把握し、適切な相続対策を進めましょう。

今回はこの「会社経営者」としての地位の相続について、分かりやすくお伝えするために「会話形式」で解説していきます。

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ここは、神奈川県横浜市にあるゴルフコース「ナガオカ港南カントリー」。

近年のブームからか、老若男女さまざまなゴルファーが、爽やかな風の中、プレーを楽しんでいます。

実はこのコース、他にはない一つの特徴で知られているのです。

それは、名物キャディ、白珠翔子さんがいること。

この白珠さん、元女子プロとして腕を鳴らした後、行政書士となり、今では行政書士事務所を切り盛りしながら、たまに気晴らしを兼ねてレッスンプロとしてコースにでることがあるのです。

ゴルフをしながら行政書士への相談ができるとあって、「ゴルフもうまくなるし、仕事や家庭の悩みもなくなって、一石二鳥だ」と経営者を中心に大人気。

さて、今日もお悩みを抱えたゴルファーが白珠さんのもとを訪れてきましたよ。

※この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係なくぶっとんでいますが、相談内容は現行法に基づいています。

会社経営者の地位は相続対象か?

白珠「おはようございます、打田専務。今日もいい天気でレッスン日和ですね! さあ目標の90打切りを目指してがんばりましょう!」

打田「そうなんだけどね、気分が晴れなくて…」

白珠「どうなさいました? 会社で何か?」

打田「実は相続のことでね。経営者である親父がいい齢だから、会社の相続を考えてて、財産とともに私に譲りたいと考えているみたいでね。でも経営者の地位そのものは相続の対象外らしくて、どうしていいか悩んでるみたいでさ」

白珠「わかりました。では、ゴルフも相続もナイスショットしていきましょ!」

会社経営者の地位「役員」は相続できない

ここで示す経営者とは、会社の最高責任者のこと。経営者が、地位そのものを相続の対象にすることはできません。会社は「法人」であり、経営者自身は「個人」であるため、個人の相続財産の対象にはならないのです。ですので、会社の持ちビルや社用車など、法人として所有している財産も、相続の対象外となります。

打田「ちょっとちょっと、白珠さん! 相続できないんじゃ困るよ。いきなりOB池ポチャしたくらいショックですよ」

白珠「でも対策はありますから、安心してください。ゴルフも相続も、ルールにのっとって対策をすると、それは戦略になりますから!」

打田「そりゃ頼もしいですね。まずは何から対策を?」

白珠「打田さんの会社は株式会社ですよね? そして経営さんは筆頭株主でもあり、代表取締役でもある」

打田「そうです。いわゆるオーナー経営というやつですね。会社規模はようやく中堅と言えるくらいにはなってきたかな」

会社の株式は相続対象になる

白珠「株式の保有率は何パーセントですか?」

打田「基本的には現社長である父が大半だね。一部、私の母も保有していますが」

白珠「そこがスイートスポットですよ。芯をとらえればボールが飛ぶように、相続の芯の部分です」

打田「私がいつもとらえきれないスイートスポット! だからいつも『ファー!』って言われるんだ…」

白珠「まあまあ。会社経営者が自社株式を100%所有しているなら、この株式自体は個人資産になりますよね。つまり、相続の対象です」

打田「相続の対象!」

白珠「株式をまとめて相続すれば、事実上会社の経営を引き継ぐことになりますよね」

打田「そうですね。株式の3分の2以上の取得になりますから」

合わせて読みたい:被相続人に株式がある場合の調査手続きとは?【名探偵・明智小五郎の遺言調査】

会社の株式を相続する際の注意点

白珠「ひとつ気を付けなくてはいけないのが、複数の相続人がいる場合ですね。株式を分散させるような形で相続手続きを行うと、取締役解任などの権利行使によって事業継承が危うくなる可能性がありますから」

打田「確かに。株式はまとめておいたほうが無難だな」

株式は分散させない

白珠「そうですね。株式が分散すると、いろんな意見が増えてきて、経営スピードが遅くなるばかりか、最悪、立ち行かなくもなりますから。しかも将来、細分化が進むと、誰が現在株主であるのか、特定に時間がかかる場合もありますからね」

打田「そうなると対応が大変そうだ…」

相続トラブルがあると会社を引き継げない

白珠「あと注意したいのが相続人間のトラブルです」

打田「一般的には、たとえばどんなトラブルがあるんですか?」

白珠「多いのは、財産争い、話し合いができない、付き合いがないという3種類です。例えばこんなふうに」

  • 欲しい財産をめぐって言い争いが起きてしまい意見が合致しない
  • もともと長年仲が悪く、相続人間で話し合えるほど友好な雰囲気ではない
  • 相続人が交流の無い子(例・前妻との子など)で、遺産分割協議に参加してもらわなければならない

合わせて読みたい:なぜ遺産分割協議はまとまらないのか?ケースごとに原因を行政書士が解説!

打田「ううむ…うちには該当しないけど、確かにありそうな話ではありますね」

白珠「こうしたトラブルがあると、そもそも相続自体が上手く進まないかもしれません。相続どころではなく、トラブル解消が優先になりますから時間もかかりやすいんですよね…」

打田「私だったら、一緒にゴルフで汗をかいて友好を深めるけどな」

白珠「そうありたいものですね! では、会社の相続の注意点をお話ししますね」

会社を経営していた方の相続の注意点

大切な方の相続するうえで、特にチェックしたいキーワードが「連帯保証人」「相続放棄」「株式評価」です。少なくともこの3つについてはしっかりと対策をしておきましょう。

会社経営者が個人で連帯保証人になっている

打田「連帯保証人…というと、借金のあの保証人ですか?」

白珠「そうです。会社の経営者は、法人の借入金について連帯保証人となっていることがあるんですよ」

打田「特に創業社長なんかによくある話だな…うちの親父は大丈夫かな?」

白珠「連帯保証人の地位は相続の対象になってしまいますので、必ず調べてください。しかも経営者が生前に、家族にもナイショで借り入れをしているというケースもありますから」

打田「わかりました。親父の債務について徹底的に調べるようにしておきます。でも最悪の場合、債務放棄ができたりしないのですか?」

相続放棄の場合は株式の相続ができない

白珠「確かに、債務などは相続放棄によってマイナスの財産を放棄をすることもできるのはできます。でも、事業承継が必要な場合は、株式などプラスの財産も放棄することになります

打田「なるほど、つまり事業承継においては相続放棄は簡単じゃないんだな…OBの1ペナで打ち直しができるわけじゃないもんな」

白珠「ですから被相続人の生前より、連帯保証人の地位や債務総額などをちゃんと把握して、誰がどのように引き継いでいくか、早めに検討する必要があうんです」

打田「さっき株式は個人財産だから相続できると聞いたけど、株式の評価というのは?」

合わせて読みたい:相続放棄ができなくなる行為とは?法定単純承認について行政書士が解説!

株式の評価をする

白珠「株式を相続する場合は、相続発生後に株式を評価する必要があるんですよ。上場株式は評価がしやすいですが、非上場株式は慎重に評価しなくちゃいけません」

打田「どうして?」

白珠「評価方法によって相続税が高くなることもあるからです」

打田「そりゃ困るよ。新しいドライバーだって欲しいし、アイアンセットも買い替えたいし…」

白珠「ですので、会計士や税理士に相談しながら進めていきましょうね! あ、ゴルフのことは、もちろん私にご相談を(笑)」

会社承継を円滑にするなら遺言書の作成をする

打田「やはり専門家を頼るべき、ということだね。最後に、背全対策で有効なものはどんなものがあるんだい?」

白珠「主には、生前贈与、遺言書の作成というのがあります」

打田「なるほど。生前贈与だったら地位争いにもならないし、遺言書があれば株式を相続させたい人を明確にできますものね」

白珠「はい。遺言書があれば、誰にどの財産を相続させるのか示せるので、円滑な事業継承につながります」

打田「ふむ、やはり事前に行政書士さんにしっかり相談したほうがいいね。やられましたよ、白珠さん。がっつり私の心をつかむドライバーショットを打たれました!」

白珠「あはは、私はキャディでもありますから。お客様にボギーを出させたくないだけですよ」

この記事を詳しく読みたい方はこちら:経営者の地位は相続できる?会社経営の相続時の注意点を行政書士が解説

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この記事の執筆・監修者
長岡 真也(行政書士)

長岡行政書士事務所代表。1984年12月8日生まれ。
23歳の時に父親をガンで亡くしたことから、行政書士を志す。水道工事作業員の仕事に従事しながら、作業車に行政書士六法を持ち込んでは勉強を続け、2012年に27歳で合格。
当時20代開業者は行政書士全体の中で1%を切るという少なさで、同年開業。以来。「印鑑1本で負担のない相続手続」をモットーに、横浜市で相続の悩みに直面する依頼者のために、誠実に寄り添っている。最近は安心して相続手続したい方々へ向け、事務所公式サイト上でコラムを発信しており、相続手続の普及に取り組んでいる。

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