預貯金口座の相続において、遺産分割協議書は常に必要なものではありません。実は遺産分割協議書がなくても、問題なく相続手続を進められるケースもあるのです。
そこで今回は、横浜市で相続手続きをサポートしている行政書士として、預貯金口座の相続で遺産分割協議書が必要なケース、不要なケースについて紹介します。
預貯金口座の相続で遺産分割協議書が不要なケース
遺産分割協議書がなくても預貯金口座の相続を進められるのは、次のようなケースです。
- 相続人が1名だけ
- 有効な遺言書がある
- 複数の相続人が法定相続分どおりに分ける
相続人が1名だけ
一つ目は、相続人が1名だけのケースです。分ける相手がいなければ、そもそも遺産分割協議を開催しないため、協議書がなくても相続手続を進められます。
なお、「相続人が1名」であるとは、次のようなケースです。
相続人が最初から1名だった
被相続人の遺産を相続できる法定相続人が、当初から1名のケースです。たとえば、被相続人の子や両親などがおらず、配偶者だけが相続するようなケースです。この場合、遺産分割協議書がなくても相続手続を進められます。
相続放棄・相続欠格・相続廃除の結果1名が相続することになった
相続人が相続放棄をすると、最初からその相続人はいなかったことになります。この結果、親族は多数いるものの、相続人が1名のみになることがあります。
相続放棄をした方がいる場合、確認のために「相続放棄申述受理証明書」の提出を求められることがあります。
(相続放棄受理証明書は証明書として150円分の収入印紙で発行されているもので、相続放棄申述受理通知書とは異なります)
また、相続欠格や相続廃除により、1名が相続することになるケースもあります。
ちなみに、遺産分割協議を進めた結果、1名が相続することになった場合も単独相続といえますが、この場合は遺産分割協議書が必要です。
有効な遺言書がある
二つ目は、有効な遺言書があるケースです。遺言書で預貯金の相続人が定められていれば、その内容にしたがって手続きするため、協議書は不要です。
複数の相続人が法定相続分どおりに分ける
三つ目は、複数の相続人が法定相続分どおりに分けるケースです。
たとえば、配偶者1名・子2名で相続する場合、配偶者は法定相続分に沿って2分の1、子はそれぞれ4分の1(子の法定相続分は2分の1のため)を相続します。このように法律で定められた割合どおりに分ける場合は、協議書がなくても、金融機関所定の書類に相続人全員が署名・押印する方法で手続できるケースが多いです。
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ただし法定相続分どおりに分けるケースは、あくまでも「遺産分割協議書がなくても手続きできる場合がある」というだけで、実務上は協議書を用意することが推奨されます。
協議書がないと、金融機関所定の書類に相続人全員が署名・実印の押印をし、全員分の印鑑証明書を用意しなければなりません。口座が複数の金融機関にある場合は、そのたびに全員の手を煩わせることになります。
また、この「相続人全員が署名・実印の押印をし、全員分の印鑑証明書を用意する」という作業は、遺産分割協議書を作成するのと同様です。だとすれば、金融機関ごとに書類を作成していくよりも、はじめに遺産分割協議書を1通作っておくほうが合理的といえるのではないでしょうか。
さらに、遺産分割協議書を作成しておけば、金融機関以外での各種相続手続にも活用できます。
預貯金口座の相続で遺産分割協議書が必要なケース
一方、複数の相続人がいて、遺言書がなく、さらに法定相続分とは異なる分け方をする場合は、遺産分割協議書が求められます。
たとえば、「預貯金は長男がすべて相続する」「不動産は配偶者が、預貯金は子どもたちが相続する」といったように、法律で定められた割合とは違う形で分ける場合です。
先ほど少し触れた、「遺産分割協議の結果、最終的に1名が単独で相続することになった」状態も、このケースに該当します。
遺産分割協議書の要否は「遺産の分け方」決まる
預貯金口座の相続で遺産分割協議書が必要かどうかは、「どのように分けるか」で決まります。あらためて判断基準を整理すると、遺産分割協議書が不要なのは、相続人が1名だけのケース、有効な遺言書があるケース、そして複数の相続人が法定相続分どおりに分けるケースです。
ただし法定相続分どおりに分ける場合、実務的には、遺産分割協議書を作成しておいたほうが手続が楽になります。
一方、遺言書がなく、法定相続分とは違う分け方を相続人の話し合いで決めた場合には、必ず遺産分割協議書が必要です。
なお、いざ遺産分割協議書を作る場合、金融機関名・支店名・口座番号や、誰がどの口座をどのように相続するのかなどを、正確に記載する必要があります。記載に不備があると、金融機関で受け付けてもらえず、相続人全員に署名・押印をやり直してもらうことにもなりかねません。
また、相続手続全体をスムーズに完了させるためには、他の財産、たとえば不動産や株式などの記載にも配慮する必要があります。抜けや不備のない遺産分割協議書を作成するためにも、ぜひ行政書士などの専門家へ相談してみてください。
横浜市の長岡行政書士事務所では、遺産分割協議書の作成はもちろん、相続人や相続財産の調査や、その後の金融機関での解約・名義変更の手続きまで、まとめてサポートしております。初回相談は無料なので、お気軽にお問い合わせください。
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