葬儀代は遺産分割の対象となる?相続における葬儀代の注意点を行政書士が徹底解説

葬儀代は遺産分割の対象となる? 相続における葬儀代の注意点を行政書士が徹底解説 相続トラブル・事例
相続トラブル・事例

今、悩まれている方はお問い合わせください

長岡行政書士事務所

まずは初回0円相談でお悩み解決!

ご予約・お問い合わせはこちら

平日9:00~21:00(土日祝日予約制)

「葬儀代って遺産になるのだろうか?」

「お葬式費用って誰が払うのか決まっているの?」

「もめてほしくないんだけど、葬儀についての遺言ってできるの?」

大切な人が亡くなったときに訪れるお葬式。そしてその葬儀代は一般的に高額です。誰しもが払える費用ではなく、大きな負担となります。だからトラブルが起きやすいのです。

今回はそんな、相続における葬儀代についてお話をしたいと思います。

葬儀代は遺産にはならないとされている

葬儀代の一般的な流れとしては、民間の葬儀会社などにお葬式を依頼して、そのサービスに対してお金を支払う、という流れだと思います。

つまり契約によって生じる債務で、負債(マイナスの資産)という形で遺産になるように思えるかもしれません。

しかし結論を先に言うと、葬儀代は遺産とはなりません。ただし、不思議なことに遺産分割協議書には葬儀代について記入することができます。

これからその理由を説明していきます。

葬儀代は死後に発生したものであるから遺産ではない

葬儀代は本人の死後に発生する費用です。葬儀というものは死亡しなければ行われないものだからです。

そして民法には、相続財産について以下の規定があります。

民法896条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない

そして基本的には

  • 相続開始=本人が死亡した日

となります。

葬儀代は死亡した後に発生しますから、相続財産の範囲ではないのです。

遺産にならない葬儀代の支払者の問題点

葬儀代が相続財産ならば、亡くなった人の財産から葬儀代を出せばよく、その分だけ相続財産が全体的に減る、という形でわかりやすいのですが、相続財産ではないので次の問題が生まれます。

  • 誰が葬儀代を支払うのか?
  • 遺産ではないから、相続財産の中から支払うことはできないのか?

そしてこういった問題があるからこそ、葬儀代は遺産分割協議で話し合うことができます。

これから、これらの問題について説明していきます。

誰が葬儀代を支払うか?

葬儀代を支払う人が誰か、というのは特に決まりはありません。あくまでも、葬儀会社との契約によって行われるのですから、費用負担者も任意です。

喪主が葬儀代を負担する

多くの場合は、基本的には喪主が葬儀代を支払うことになります。そしてその時々のケースに合わせて、他の遺族などに葬儀代の一部を後から請求することもあります。

判例でも次のような判断が下されました。

名古屋高等裁判所平成24年3月29日判決 葬儀費用とは、死者の追悼儀式に要する費用及び埋葬等の行為に要する費用(死体の検案に要する費用、死亡届に要する費用、死体の運搬に要する費用及び火葬に要する費用等)と解されるが、亡くなった者が予め自らの葬儀に関する契約を締結するなどしておらず、かつ、亡くなった者の相続人や関係者の間で葬儀費用の負担についての合意がない場合においては、追悼儀式に要する費用については同儀式を主宰した者、すなわち、自己の責任と計算において、同儀式を準備し、手配等して挙行した者が負担し、埋葬等の行為に要する費用については亡くなった者の祭祀承継者が負担するものと解するのが相当である。

喪主になったら葬儀代を払う可能性が高い、と思った方がよいと思います。

各相続人で葬儀代を負担する

それぞれの相続人で亡くなった被相続人の葬儀代を分けて負担することもあります。

葬儀代はそれなりに高額ですから、結局はその時々の事情に合わせて誰が支払うのかを決めていくということになります。

話し合いで葬儀代の負担者を決める

葬儀代は相続財産ではありません。遺産分割の対象とはならないのです。

けれども、葬儀代を遺産分割協議でどう扱うかを決めることはできます。

そしてここで注意点ですが、遺産分割協議成立には全員の同意が必要です。

たとえば葬儀代のことで誰が払うべきかを争っていると、他の協議が済んでいるにも関わらず、そのせいで全員の同意とはならず、相続手続きが進まなくなってしまうこともありえます。

慣例・条理によって葬儀代負担者を決める

風習やその場所での決まりによって決める、というパターンです。

その地方や親族間で伝統的に決められた人が葬儀代を支払う(親の葬儀代は長男が支払うのが風習としてある)、という感じです。

このように葬儀代については、特に定まった人が払うわけでもなく、それぞれのケースごとに負担者を決めていきます。

遺産から葬儀代を払うことはできるのか?

葬儀代は死後に発生した費用であるから遺産とは関係がありません。しかし実は、葬儀代を相続財産から支払うこともできるのです。

相続人の同意があれば遺産から葬儀代を支払える

葬儀代は遺産分割協議で話し合うことができる、とさきほど述べました。

そして相続人の同意があれば、遺産から葬儀代を支払うことはできます。

それぞれの相続人が葬儀代によって遺産の内容が変わることに同意したのであれば、特に問題はありません。

しかし問題は、葬儀代に使う遺産をどう引き出すか、です。死亡により事実上預金口座は凍結されるからです。

預貯金の仮払い制度を活用して支払う

死亡により口座が凍結している場合は、預貯金の仮払いの制度というものを使うこともできます。

これは、

  •  法定相続分×1/3 と 制度上定められた限度である150万

のいずれか少ない方の金額を遺産分割前に引き出すことができる制度です。葬儀代のような費用を一時的にまかなうための制度といえます。

合わせて読みたい:相続法改正!相続時の預貯金払戻し制度とは?【遺言ちゃんねる掲示板】

たとえば、預貯金が1800万だとして、法定相続分だと配偶者はその半分(900万)をもらうことができます。

ですので、

  • 900万×1/3=300万 と 150万

を比べて、より少ない金額の150万まで一時的に引き出すことができます。そしてこれを葬儀代に用いることができるのです。

葬儀代の支払いは相続に影響する

遺産から葬儀代を支払うとその分、遺産が減ってしまいます。

たとえば喪主が、自分がもらい受けるはずだった預金150万をすべて葬儀代に払い、他の人が一切葬儀代を払わなかったとしたら、やはり喪主からすれば不公平な気がするでしょう。

葬儀代は突発的な支出なので、トラブルになりやすい場面だと思います。

遺言書で葬儀代について書くことも有効な手段

これほどにトラブルが発生しやすいのなら、やはり遺言によって葬儀代の負担者やその費用の出し方などを決めておくのもよいでしょう。

合わせて読みたい:葬祭費は誰の負担?遺言書に書くべき葬儀費用について行政書士が解説

遺言書には葬儀代について書くことができる

最初に説明したように葬儀代は死後に発生するものであって遺産ではないために、遺言書に書かなければならないことではありません。

けれどもそれを書いておくことによって、故人の意思がわかり、みんなでそれを確認できるため不要なトラブルは避けやすくなります。

葬儀費用を遺言書に記載した場合は事前に相続人へ伝えておく

一般的に、お葬式は故人がなくなったあとすぐに行われるため、遺言で葬儀代について書いたらそれを生前に伝えておいてもいいでしょう。

「葬式代については遺言に書いてあるから、その通りにしてくださいね」

と、一言だけでもよいでしょう。

実は、葬儀代に関しては、あくまでも伝言として書くイメージなので、「この人が葬儀代の負担者だ」と具体的な効力を発生させるものではありません。

どちらかといえば、「私の意思としてはこの人に任せたい」という感じです。

ですので、お葬式前に確認してもらった方が、トラブルは少なくなるでしょう。

葬儀代の問題は事前に行政書士などの専門家に相談

やはり葬儀代について難しいところは、 

  1.  誰が支払い、どう支払うかは任意
  2.  遺産でないのに遺産分割協議で話し合うことができる

ということだと思います。

  • 葬儀代を払う人が決まらない
  • 葬儀代の負担によって相続内容が変わってしまい、トラブルが起きる
  • 遺産ではないはずの葬儀代について協議していたら、遺産分割協議が止まってしまう

そしてこういったことに対処するには、やはり相続について総合的な判断ができる専門家の助けが必要な時もあります。

お葬式も相続も円満に進めたい方は当事務所に連絡ください

たとえば上で書いたような、遺言書に葬儀代について記入し、それをご家族に伝えたりなどのちょっとしたアプローチがあるだけでも相続は格段にスムーズに進みます。

相続に実績のある当事務所だからこそできることがあります。

やはり円満なお葬式、相続の方がよいものですよね。

いつでも長岡行政書士事務所にご相談お待ちしております。

今、悩まれている方はお問い合わせください

長岡行政書士事務所

まずは初回0円相談でお悩み解決!

ご予約・お問い合わせはこちら

平日9:00~21:00(土日祝日予約制)

この記事の執筆・監修者
長岡 真也(行政書士)

長岡行政書士事務所代表。1984年12月8日生まれ。
23歳の時に父親をガンで亡くしたことから、行政書士を志す。水道工事作業員の仕事に従事しながら、作業車に行政書士六法を持ち込んでは勉強を続け、2012年に27歳で合格。
当時20代開業者は行政書士全体の中で1%を切るという少なさで、同年開業。以来。「印鑑1本で負担のない相続手続」をモットーに、横浜市で相続の悩みに直面する依頼者のために、誠実に寄り添っている。最近は安心して相続手続したい方々へ向け、事務所公式サイト上でコラムを発信しており、相続手続の普及に取り組んでいる。

タイトルとURLをコピーしました