「相続では遺産分割協議が必要になるらしいけど、何のための手続きなの?」
「家族が亡くなり遺産分割協議が必要となった。協議時のポイントはどんなこと?」
「遺産分割協議に出席するようにと連絡があった。参加時の注意点とは?」
家族が亡くなり相続が開始されると、遺産分割協議が必要となる場合があります。
遺産分割協議は大切な遺産を相続人で分割するための話し合いです。
この記事では、遺産分割協議について、知っておきたいポイントと注意点を紹介します。
遺産分割協議とは
遺産分割協議とは、被相続人(故人)の財産についてどのように分割するか、法定相続人全員で話し合うことです。
遺産分割協議に関する民法の条文を見てみましょう。
民法第907条(遺産の分割の協議または審判等)
共同相続人は、次条第一項の規定により被相続人が遺言で禁じた場合又は同条第二項の規定により分割をしない旨の契約をした場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。
2 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りでない。引用元:民法 | e-Gov 法令検索
遺産分割協議のポイント
これをふまえ、遺産分割協議について知っておきたいポイントは次の3つです。
- 遺言書の有無を確認してから開催する
- 相続人全員が参加しなければならない
- 相続財産を特定した上で協議したほうがいい
それぞれ詳しく見ていきましょう。
遺言書の有無を確認してから開催する
まず、遺産分割協議の開催が必要なのは、次のようなときです。
- 有効な遺言書がなく、なおかつ法定相続分と異なる割合で遺産分割するとき
- 遺言書と異なる遺産分割するとき
- 遺言書に記載のない遺産があるとき
つまり遺産分割協議を開催するかどうかは、有効な遺言書があるかないかによって判断しなければなりません。
もし有効な遺言書がある場合には、遺産分割協議は不要です。
そのため相続が開始されたら、まずは遺言書を探さなければなりません。
合わせて読みたい:遺言検索とは?遺言書の探し方と遺言検索システムについて行政書士が解説
相続人全員が参加しなければならない
遺産分割協議は、相続人全員が参加する必要があります。疎遠になっているから、などの理由で参加させないまま遺産分割協議を進めても、その協議は無効です。
なお、もしも相続人の中に行方不明になっている方がいる場合でも、その相続人が不在のままで遺産分割協議を終えることはできません。
不在のまま遺産分割協議を進めるためには、「不在者財産管理人」の選任が必要です。詳しくは以下の記事をご一読ください。
こちらの記事もご一読ください:不在者財産管理人とは?相続人が失踪し見つからない時の相続を行政書士が解説!
相続財産を特定した上で協議したほうがいい
もし遺産分割協議を実施した後、後から財産が見つかると、原則としてその財産については改めて遺産分割協議しなければなりません。
多大な手間となってしまうため、協議の前段階で「相続財産」を特定しておく必要があります。
相続財産には被相続人が遺したプラスの財産(現金・預貯金など)と、マイナスの財産(借金や滞納税など)のいずれも含みます。漏れが無いように調査を行いましょう。
関連記事:相続財産の調べ方とは?遺産の探し方や注意点を行政書士が解説!
ただし実務的には、記載漏れを防ぐために「その他一切の財産」という表現を用いたり、後から判明した財産について相続人○○が取得するといった文言を入れたりして、対策することもあります。
しかし、やはりすべての財産が分かったうえで話し合うことが望ましいことは間違いありませんから、相続財産を特定した上で協議することをおすすめします。
この財産調査についても、行政書士に依頼可能です。横浜市の長岡行政書士事務所でも財産調査を含めた相続手続きを承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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遺産分割協議が不要なケース
ここまで紹介したポイントをふまえると、以下のケースでは遺産分割協議は不要です。
- 遺言書がある
- 相続人1名である
- すべての相続財産を法定相続分どおりに分割する
ただし「法定相続どおりに財産を分割する」場合については、後々のトラブルを防ぐため、「誰がどの程度の財産を分割したのか」書面で残しておく観点から、あえて遺産分割協議書を作成することもあります。
また、法定相続通りだとしても預貯金を解約する時には、結局金融機関所定の依頼書に相続人全員の署名捺印が必要なこともあり、実質的に遺産分割協議書を作るのと変わらないため、当初より作成した方が望ましいでしょう。
相続発生から遺産分割協議までの流れ
相続発生から遺産分割協議までは、次のような流れで進みます。
- 遺言書の確認
- 相続人調査
- 相続財産調査
- 遺産分割協議(遺産分割協議書の作成)
- 遺産分割手続き完了
遺言書の確認
被相続人が亡くなり、遺産相続の手続きが開始されたら、まずは遺言書の確認を行いましょう。もし遺言書があれば、その遺言書の指定通りに相続手続きを進めるためです。
遺言書が見つからない場合は、遺産分割協議が必要となります。
なお、遺言書が見つかった場合、その種類によっては「検認」が必要となる場合もあるため、注意してください。
あわせて読みたい>>遺言書の検認申し立てをしないとどうなる?罰則や注意点、手続き方法を行政書士が解説!
相続人調査
つづいて遺産分割協議を行うために、相続人調査で法定相続人を特定します。
たとえ面識がないとしても、遺産分割協議は相続人全員で行う必要があることには注意してください。
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本をすべて取り寄せ、相続人を特定しましょう。もし自分での調査を負担に感じる場合は、行政書士へ依頼することも可能です。
あわせて読みたい>>相続人全員の戸籍謄本はどうやって集める?注意点やコツを行政書士が解説!
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相続財産調査
相続人調査と並行して、被相続人が遺した財産の調査を行います。先述したとおり、協議前にすべての財産をリストアップすることが望ましいです。
なお、プラスの財産だけではなく、借金のようなマイナスの財産も相続対象です。
ただし原則として、債務は遺産分割協議の対象にはなりません。しかし、相続人全員の同意があれば「相続人の間では」遺産分割協議の対象にもできます。
あわせて読みたい>>誰が借金を相続するか遺産分割協議で決められる?注意点を行政書士が解説
相続財産調査についても行政書士に依頼可能です。
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遺産分割協議(遺産分割協議書の作成)
すべての相続人を特定し、遺産財産もリストアップしたら、相続人間で遺産分割協議を行います。
遺産分割協議を終えたら、遺産分割協議書を作成しましょう。
遺産分割協議書の作成についても、もちろん行政書士に依頼可能です。
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遺産分割手続き完了
遺産分割協議が相続人全員の同意でまとめられ、遺産分割協議書の作成も終わったら、財産の分配へ進みます。
銀行や証券会社、自動車の名義などを変更していきます。
もし相続財産の中に不動産がある場合は相続登記を要するため、速やかに手続きを進めましょう。
なお、遺産分割手続きについては、それぞれの士業で対応範囲が異なります。
横浜市の長岡行政書士事務所にご依頼いただいた場合には、私たちの事務所で取り扱えない分野の手続は、提携している弁護士、税理士、司法書士、社会保険労務士、土地家屋調査士等をこちらの責任で手配いたしますので、ご安心ください。
遺産分割協議の期限
まず、遺産分割協議自体には「期限」は設けられていません。家庭裁判所で遺産分割を争う調停や審判についても、期限が設けられていませんので、納得がいくまで紛争を長期化させることも可能です。
しかし、遺産分割協議は「別の手続きの期限」も意識した上で遂行する必要があります。
たとえば相続財産の金額が大きく、配偶者控除などのしくみを使っても大きな財産を承継する場合には、「相続税」の納付対象となる可能性があります。
相続税は「相続税の開始を知った日の翌日から10か月」以内に申告及び納付を終える必要があるため、遺産分割協議が遅れると申告に間に合わなくなる可能性があるため注意しましょう。
関連記事:遺産分割協議が未了の場合も相続税申告は必要?対策法やデメリットを行政書士が解説!
また、相続財産の調査の結果、被相続人に高額の債務がある場合には相続放棄を検討することもできます。また、生前から被相続人との間で交流が無く、一切の財産を不要とする場合も相続放棄ができます。
相続放棄は「相続の開始を知った日から3か月以内」に行う必要があり、もしも間に合わない場合には「期間の伸長」を家庭裁判所に申し立てる必要があります。(遺産分割協議に参加したくない、などの理由でも相続放棄はできます)
遺産分割協議を行うにあたっては、相続財産や相続人の調査などを行う必要があります。相続人の人数が多かったり、相続財産が多い場合には、調査に時間を要することも少なくありません。
遺産分割協議そのものに期限はないものの、その他の相続手続きに支障が出ないよう、早めに進めておくことをおすすめします。
関連記事:遺産分割協議に期限はない!ただし10か月以内の手続きが望ましい理由を行政書士が解説!
遺産分割協議がまとまらない場合の手続き
本来なら笑顔で終えたい遺産分割協議ですが、相続人間で衝突が起きてしまうことも珍しくありません。
遺産分割協議が揉めてしまった場合の選択肢は次のとおりです。
- 遺産分割調停
- 遺産分割審判
なお、遺産分割調停から審判にまで発展すると、一般的な遺産分割協議よりも問題解決への時間を要します。2年以上かかるケースもあり、その間は相続財産が分配できないままとなります。長期化すると、延滞税などを防ぐために、相続税を法定相続分で一旦申告せざるを得ないため、注意が必要です。
それでは、それぞれの手続きについて詳しくみていきましょう。
遺産分割調停
遺産分割協議が当事者間で上手くいかない場合には、遺産分割調停を行う方法が考えられます。遺産分割調停は、家庭裁判所に申立てを行い、話し合いによる解決を求める方法です。
調停では相続人当事者から話を聞き、調停に至った経緯や証拠を提出しながら解決を模索します。一般的には半年から1年程度で解決できますが、調停は「不成立」という結果で終えることも可能です。
遺産分割審判
調停での話し合いが不成立の場合は、自動的に審判へ移行します。審判は話し合いによる解決ではなく、裁判官が双方の意見や証拠を確認した上で、最後に審判を出します。なお、和解による解決も可能です。
遺産分割協議の進め方に悩んだら行政書士へ相談
遺産分割協議の開催が必要なのは、次のようなときです。
- 有効な遺言書がなく、なおかつ法定相続分と異なる割合で遺産分割するとき
- 遺言書と異なる遺産分割するとき
- 遺言書に記載のない遺産があるとき
そして遺産分割協議に先だって、相続人調査・相続財産調査が必要となります。
横浜市の長岡行政書士事務所では、遺産分割協議に関わる調査・手続きに対応しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料で対応しています。