外国在住の相続人がいる場合の遺産分割はどうするの?行政書士がわかりやすく解説!

外国在住の相続人がいる場合の遺産分割はどうするの? 行政書士がわかりやすく解説! 相続手続の基礎
相続手続の基礎

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『相続人が外国在住の場合、遺産分割はできるのか?』
『相続人が外国在住の場合、どのような手続きが必要なのか?』
『相続人が外国在住の人がいる場合の遺産分割の際の注意点が知りたい!』

新型コロナウイルスの影響もあり、在外法人の人数はここ数年減少傾向にありますが、外務省の統計によると、令和4年時点で在外法人の数は130万人を超えています。

この数字からもわかるように、日本企業の海外進出やグローバル化に伴い、相続人の中に海外に居住している方がいるということも珍しくないのではないでしょうか。

では、外国在住中に相続が発生した場合、遺産分割の手続きはどのように行うのでしょうか。

今回は海外在住の相続人が相続で必要な書類や注意点をご紹介します。

相続手続きの基本的な流れ

まずは前提となる日本での相続手続きの基本的な流れについて簡単にご紹介します。

相続人全員で遺産分割協議をする

人がお亡くなりになった場合、その人が作成した遺言書が存在しない限り、お亡くなりになった方の遺産を相続する権利がある相続人全員で”故人の遺産をどのように分けるか”を話し合い、遺産の分割方法を決定する必要があります。

これを”遺産分割協議”といいます。

遺産分割協議においては、”遺産をどのように分けるか”相続人全員で話し合い、全員で合意する必要があります。

もしも相続人のうち一人でも合意が得られない場合、遺産分割協議はまとまらず、最悪の場合には裁判所へ持ち込んだ上で解決を求める他手段がない・・・なんて事態にもなりかねません。

合わせて読みたい:遺産分割協議とは~知っておきたいポイントと注意点を解説

相続人全員で遺産分割協議書を作る

そして、無事に遺産分割協議がまとまった場合には、後々のトラブルを予防するために、”誰が何を相続した”と遺産分割方法を記載した”遺産分割協議書”を作成し、相続人全員の署名と捺印をし、各々相続財産を登記し、相続手続きを完了する・・・といった流れが一般的です。

遺産分割について、詳しくは以下のリンクをご参照ください。

合わせて読みたい:遺言書がある場合・ない場合の相続手続を行政書士が解説|相続の流れと遺言執行の流れ 

相続人が外国在住でも遺産分割協議は必要

遺言書で指定されている場合には遺言書が優先されるため、遺産分割協議は必要ありません。

しかし、現実には遺言書が用意されていないというケースも多いため、遺産分割協議が必要となるケースが多々あります。

すでにご説明した通り、遺産分割協議を行うためには相続人全員の同意を要します。

遺産分割協議において相続人が外国在住であったとしても相続人全員の同意が必要なことに何ら変わりはありません。

とはいえ、外国に在住の場合は相続人全員で集まって話し合うことが難しい場合もあるかと思います。

そのような場合には、メールや電話などで話し合いをまとめていくことも可能です。

また、遺産分割協議についても、国際郵便などで順番に署名捺印をして作成することも可能です。

海外在住の場合、日本に帰国することは気軽に行うことができるものではありません。

全員が集まって手続きを行うことと比べると多少時間はかかりますが、他の相続人と協力することで一度も帰国することなく遺産分割協議を行うことも可能となります。 

海外在住の相続人がいる場合の必要書類

相続人の中に外国に在住の方がいる場合でも、相続手続きの流れに大きな違いはありません。

相続人全員が同意できる遺産分割協議を行ったうえで、遺産分割協議書に相続人全員の署名、実印での押印、そして印鑑証明書の添付が必要とされています。

しかし印鑑証明書や住民票登録の制度がない国も存在します。

つまり、日本で当然に遺産分割協議書に添付が必要とされる書面ですが、外国には存在すらしないため、外国に在住の相続人にとっては入手したくても入手できないという事態になりかねません。

例えば、遺産分割協議書に実印を押印し、印鑑証明書を添付するという事ができないケースもあります。

そのため、通常必要とされる書類に代わる証明書を準備する必要があります。

これらの書類について、以下で詳しく見ていきます。

サイン証明書

日本での印鑑証明証に代わるものとして、”サイン証明証”が必要となります。

サイン証明書は、現地の在外公館(大使館・領事館)へ足を運び、ご自身のサインを印鑑の代わりに使用できるよう手続きを行うことで入手する事ができます。

サイン証明書を受けるには、遺産分割協議書を現地の在外公館に持参し、係官の前で遺産分割協議書にサインをすることで、在外公館の発行する証明書が綴じ込まれてサインが本人のものであることが証明されます。

このようにして取得したサイン証明書は、日本における印鑑証明と同様の効力を持つものとなります。

在留証明書

日本における住民票の代わりとなるものとして、”在留証明書”が必要となります。

在留証明書は、サイン証明書と同様に現地の在外公館で発行してもらうことができます。

必要な場合には、サイン証明書と同時に申請することをおすすめします。

在留証明書を発行するには、以下のような条件があります。

  • 日本国籍があること
  • 現地にすでに3ヶ月以上滞在し、かつ現在も居住していること

発行を受けるときは、パスポートのほか公共料金の請求書など滞在期間と居住地がわかるものが必要となります。

事前に必要書類を確認することをおすすめします。

相続証明書

日本国籍ではなく、外国籍を取得しているといったケースもあるかと思います。

そのようなケースでは、準備する書類に違いがあります。

通常、相続手続きにおいて相続人であることを確認するために”戸籍謄本”が要求されるケースが多いです。

しかし、外国籍の方の場合、日本に国籍がないため戸籍謄本を取得する事ができません。

この戸籍謄本の代わりになるものとして”相続証明書”が必要となります。

相続証明書は、被相続人がお亡くなりになり、相続を開始したことや相続人であること

を証明する書類です。

便宜上、”相続証明書”と呼ばれる事が多いですが、正式名称ではないため注意してください。

相続証明書に当たるものは以下のような書類です。

  • 出生証明書
  • 婚姻証明書
  • 死亡証明書

一般的にこれらが相続証明書に該当します。

外国在住者の遺産分割時における注意点

相続人の中に外国に在住の方がいらしたとしても必要とされる相続手続きに違いはありません。

しかし、日本に居住している場合と外国に居住している場合では勝手が違うことも多々あります。

そのため、遺産分割や相続手続きにおいて以下のような注意したい点をご紹介します。

  • 遺産分割協議の話し合いの機会が設けにくい
  • 書類の準備とやりとりに時間がかかる
  • 遺産分割後のお金の振り込みに注意が必要
  • 外国在住でも日本の相続税申告は必要

上記注意点を以下見ていきましょう。

遺産分割協議の話し合いの機会が設けにくい

相続人全員が日本に在住の場合、遠方であったとしても直接会って遺産分割や相続手続きを行うことは海外在住の方に比べるとハードルは低くなるでしょう。

本来であれば、直接会って対面で遺産分割の話し合いができると良いかもしれません。

しかし、外国にお住まいとなると気軽に帰国することはなかなか難しい方もいらっしゃると思います。

また、他の相続人の方にとっても帰国を待っていては相続手続きが滞ってしまうという懸念点もあります。

速やかに遺産分割や相続手続きを行うために、zoomなどのweb会議システムを利用することをおすすめします。

相続手続きには期限があるものもあります。

できるだけ早めに話し合いを行う事ができるような工夫が必要となります。

書類の準備とやりとりに時間がかかる

すでに必要書類については触れましたが、日本で必要とされる書類とは別の書類が必要なケースがあります。

日本とは準備する書類が異なることを知らず、書類の取得が遅れてしまうことも懸念されます。

国外への書類の発送は時間も手間もかかります。

そこで、外国に在住の相続人に署名捺印をしてほしい書類は、PDFデータで送るなどの対応をおすすめします。

スピーディーにやり取りができるように工夫が必要となります。

遺産分割後のお金の振り込みに注意が必要

遺産分割と相続手続きの後は、被相続人の財産を相続人で分配する作業があります。

外国に在住の相続人がいた場合、預貯金は海外送金という手段がありますが、海外送金は手数料が高く、手間もかかってしまいます。

もちろん海外送金でも問題はありません。

しかし、日本国内に口座が残っている場合には日本の口座へ振り込むなど、お金の振り込み方法なども注意をすると負担が少なく済む方法を採ることができるのではないでしょうか。

外国在住でも日本の相続税申告は必要

日本の相続人から遺産を受け取った場合、外国在住の相続人についても日本において相続税が課せられます。

そのため、相続税の申告が必要となるため注意が必要です。

外国に相続人がいる場合は事前の対策が必要

外国に相続人がいたとしても遺産分割を行うことは十分可能です。

むしろ、一度も帰国することなく相続手続きを完了させることすらも可能です。

もちろん、相続人全員が日本にいる場合に比べると手続きは時間も手間もかかるため煩雑であるといえますが、ひとつひとつ確実にクリアしていけば問題なく手続きを完了させせることが可能です。

また、これらの手続きは遺言書を作成しておくことでも比較的容易に回避することができます。

いずれにしても外国在住のご親族や相続人がいる場合には早めの対応が必要となります。

事前・事後、いずれにおいてもさまざまな工夫をすることでスムーズに遺産相続が可能となります。

相続でお困りの際はお気軽に長岡行政書士事務所にご相談ください。

 

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この記事の執筆・監修者
長岡 真也(行政書士)

長岡行政書士事務所代表。1984年12月8日生まれ。
23歳の時に父親をガンで亡くしたことから、行政書士を志す。水道工事作業員の仕事に従事しながら、作業車に行政書士六法を持ち込んでは勉強を続け、2012年に27歳で合格。
当時20代開業者は行政書士全体の中で1%を切るという少なさで、同年開業。以来。「印鑑1本で負担のない相続手続」をモットーに、横浜市で相続の悩みに直面する依頼者のために、誠実に寄り添っている。最近は安心して相続手続したい方々へ向け、事務所公式サイト上でコラムを発信しており、相続手続の普及に取り組んでいる。

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