「遺産分割協議を終えて、協議書も作ったけど亡父の遺産が出てきた!どうしよう?」
「もしも遺産分割協議書を作った後に遺産が見つかったらどうするの?」
「万が一の記載漏れに備えた、安全な遺産分割協議書を作りたい」
相続人全員で遺産分割協議を終えると、遺産分割協議書を作成します。もしも遺産分割協議書を作成後に記載がない財産が出てきたらどうすればよいでしょうか。そこで、本記事では遺産分割協議書に書かれていない財産への対策や、注意点を紹介します。
遺産分割協議書の記載がない財産が出てきたらどうする?
遺産分割協議が無事に終わるとホッとするものです。しかし、協議が終わった後に遺産分割協議書の未記載の財産が見つかったら一体どのように対応すれば良いでしょうか。そこで、この章では未記載財産が発覚した後の対策についてわかりやすく解説します。
遺産分割協議はやり直さなくてもよい
もしも遺産分割協議書に未記載の財産が見つかったとしても、遺産分割協議そのものをやり直す必要はありません。ただし、新たに見つかった財産は「相続人全員の共有状態」となるため、一部の相続人が勝手に売却したり、使い込んではいけません。
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新たな財産について対応を協議する
新たな財産が出てきたら、相続人全員で「この財産は誰がもらうのか」と話し合いましょう。解決方法として、以下が考えられます。
① 法定相続分どおりに分割する
たとえば、現金や預貯金が新たに見つかったら、法定相続分どおりに分割し、相続人それぞれが取得する方法が考えられます。
② 特定の相続人が取得してもよい
絵画などの骨とう品、車両など法定相続分どおりに分割して取得しにくい財産が新たに見つかったら、特定の相続人が取得することも考えられるでしょう。
原則として遺産分割協議書は無効にはならない
新たに見つかった財産があったとしても、すでに作成済みの遺産分割協議書が無効になることはありません。新たに見つかった財産についてのみ、遺産分割協議書を作ればOKです。ただし、次に挙げるとおり無効となるケースもあります。
無効になるケースとは
もしも一部の相続人がこっそり財産を隠していたことが発覚し、新たな財産があると判明した場合には、遺産分割協議を無効にして再度遺産分割協議をやり直すことが可能です。
また、あまりにも高額の財産が発覚した場合は「最初からこんな財産があるとわかっていたなら、遺産分割協議に合意しなかった!」という相続人がいる可能性もあります。このようなケースでは納得しない相続人が無効を主張する可能性があります。
すでにまとまっている遺産分割協議を無効にしたい場合は、以下の方法で主張が可能です。
- 再度相続人全員で、遺産分割協議をやり直す
- 家庭裁判所で遺産分割調停を起こす
- 調停が不成立の場合は遺産分割の無効確認請求訴訟を行う
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債務が見つかったらどうする?
遺産分割協議後に、新たな債務が見つかった場合はどうすればよいでしょうか。支払える範囲であれば、相続放棄をしなくても債務を相続人が返済すれば問題ありません。
しかし、高額の債務だった場合はどうすればよいでしょうか。
すでに遺産分割協議後に相続財産を使っていたら、相続放棄ができない可能性は高いでしょう。しかし、相続の開始を知った日から3か月以内で、財産を使っていなかったら相続放棄が認められる場合があります。
ただし、判例((最高裁判例昭和59年4月27日)では「相続財産が全くなかったと信じており、借金も知らなかった」場合に相続放棄が認められています。
相続財産の有無をはっきりと把握している遺産分割協議後の相続放棄は難しいと言えるでしょう。このようなケースでは弁護士に相談されることがおすすめです。
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新たな財産が見つかっても、してはいけないこととは?
遺産分割協議後に新たな財産が見つかった場合、相続人がしてはいけないことがあります。トラブルを避けるためにも、以下の2つは絶対にしないようにご注意ください。
他の相続人に言わずこっそり使ってしまう
「あっ父親のタンスから現金…!」
「亡母の机から、新たな預貯金通帳が見つかった!」
このような形で被相続人の新たな財産が見つかることは少なくありません。他の相続人に言わずにこっそりと取得してしまうと、財産を遺産分割協議時に隠していたと誤解され、大きなトラブルとなるおそれがあります。相続人に連絡し、きちんと分割方法を話し合いましょう。
手続きをせずに放置してしまう
新たな財産が見つかった時、遺産分割協議が終わっていると「また遺産分割をみんなで話し合うことは面倒だな」と感じるかもしれません。しかし、手続きをせずに放置してしまうと、相続税申告から加えるべき財産が漏れてしまったり、相続登記が遅れてしまうおそれもあります。
特に加えるべき財産が漏れた状態で相続税申告を終えてしまうと、税務調査を受けてしまうおそれも高まります。見つかった段階で、速やかに手続きをしましょう。
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万が一の記載漏れを防ぐ|安心の遺産分割協議書を作ろう
遺産分割協議は相続開始後すぐに開始し、相続税申告や相続登記の期限に間に合うように進める必要があります。しかし、被相続人の財産のすべてを短期間で財産目録へまとめることは大変な苦労です。どうしても漏れが生じる恐れはあります。
そこで、万が一記載漏れの相続財産が見つかることに備えて、対策を講じた遺産分割協議書を作ることがおすすめです。詳しくは以下のとおりです。
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まずは相続財産の調査を徹底しよう
まずは、丁寧な相続財産調査が大切です。金庫や机だけではなく、被相続人のスマホやパソコンからネットバンキングやネット証券を介した財産が見つかることもあります。また、不動産の取得にあたっては固定資産税評価証明書だけではなく、名寄帳なども活用して調べましょう。
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これからの相続に備えるのであれば、残されるご家族が速やかに遺産分割協議ができるように、エンディングノートに財産の所在を記しておくこともおすすめです。
また、遺言書があれば財産目録にご自身の財産を記載できるほか、遺産分割協議を行う必要がなくなります。
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記載のない財産の取り扱いについて記載しよう
記載漏れに備えて、あらかじめ遺産分割協議書の作成時にひと工夫をしておくこともおすすめです。以下の条項を加えておくと、スムーズに手続きができるでしょう。
代表的な条項の文例
見つかった財産は特定の相続人が取得するケース ・「本協議書に記載のない遺産および後日新たに判明した遺産については、相続人長岡花子が取得する。」 見つかった財産は、相続人全員で法定相続分を取得するケース ・「本協議書に記載のない遺産および後日新たに判明した遺産については、相続人全員が法定相続分に従って相続する。」 見つかった財産は、その時相続人全員で話し合って決めるケース ・「本協議書に記載のない遺産および後日新たに判明した遺産については、相続人全員がその財産の帰属について再度協議を行うこととする。」 |
遺産分割協議書は安心の行政書士におまかせください
本記事では、遺産分割協議書に記載のない財産が出てきた場合の対策方法や注意点について、詳しく行政書士が解説しました。遺産分割協議後に新たな財産が見つかったとしても、遺産分割協議を1からやり直す必要はありません。
しかし、こっそり使ってしまったり、帰属先を決めずに放置してしまうと、大きなトラブルになるおそれがあります。見つかったら速やかに手続きを進めましょう。また、あらかじめ新たな財産が見つかってしまうことに備えて、遺産分割協議書の条項に工夫をすることもおすすめです。
詳しくはお気軽に横浜市を中心に相続のお悩みに対応する長岡行政書士事務所へご相談ください。