「大切な母が亡くなった。これから遺産相続の手続きが必要だけど、どうすればいい?」
「遺産相続が開始されたら、どのような流れで進むのか知りたい。」
「近い将来相続があるかも。相続は開始されたらどうしたらいい?」
遺産相続の手続きは、大切なご家族が亡くなられた時から開始されます。しかし遺産相続の流れについて、全体像を知っている方は多くありません。
そこで今回の記事では、遺産相続の流れについて、横浜市で相続手続きをサポートしている行政書士の立場から解説します。相続の発生から手続きの完了まで、各種期限とあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
(もしご自身での相続手続きが難しいと感じた場合は、横浜市の長岡行政書士事務所にお気軽にご相談ください)
相続の開始
まずは、そもそも相続がいつ開始するのか知っておきましょう。
遺産相続の手続きは、相続開始日から始まります。相続開始日は「被相続人が亡くなった日」です。
ただし、失踪による死亡の場合は、普通失踪で生死不明から7年以上の経過が相続開始日となり、特別失踪(天災等による行方不明)なら危難が去った日(※)が相続開始日となります。
(※)危難が去った日とは
天災等に遭遇し、行方不明にあった日を指す。たとえば、洪水で行方不明になった場合は洪水発生日に亡くなられている可能性が高いため、災害で被害にあった日を、危難が去った日とみなします。
関連記事:死亡とみなされる「失踪宣告」とは?相続人が行方不明な場合の対処法!
また、相続手続きの中では、「相続の開始を知った日」というキーワードも登場します。
相続の開始を知った日とは、遺産相続に関する手続きの起算日となる考え方です。以下のように整理しましょう。
- 相続開始日は、被相続人が亡くなった日
- 相続の開始を知った日は、相続人が相続手続きを進める上で起算日となる日
なぜこのように「相続開始日」「相続の開始を知った日」が分かれているのかというと、被相続人と疎遠だった相続人や、海外に住んでいる相続人などは、被相続人が亡くなったことを知らないまま月日が経過していることがあるためです。
そこで、遺産相続手続きを相続人が進める際には、「相続の開始を知った日」を手続きの起算日とするのです。
期限のある遺産相続手続きの起算日を、「被相続人が亡くなった日」にしてしまうと、被相続人の死亡を知らなかった相続人は手続きができないままとなってしまいますからね。
相続手続きの期限
相続手続きに期限があるのか気にしている方も多いでしょう。
結論とすると、誰がどの財産をどのくらい相続するか決める「遺産分割協議」には期限が存在しません。
しかし、それ以外の各種手続きには期限があります。とくに意識すべき手続きは次のとおりです。
相続手続き | 期限 |
相続放棄・限定承認 | 相続開始を知ってから3か月以内 |
相続税 | 相続発生日の翌日から10カ月以内 |
個別具体的な相続分(特別受益・寄与分)の主張 | 10年以内 |
相続不動産の登記(相続登記) | 3年以内 |
これから相続手続きの流れを解説していきますが、上記の期限が存在していることは覚えておきましょう。
関連記事:遺産分割協議に期限はない!ただし10か月以内の手続きが望ましい理由を行政書士が解説!
遺産相続手続きの流れ
遺産相続に関する手続きは、どのような流れで進行するのでしょうか。この章では遺産相続の手続きの必要性も交えながら詳しく解説します。
- 遺言書の確認
- 相続人の調査
- 相続財産調査
- 遺産分割協議・遺産分割協議書の作成
- 遺産分割手続き完了
遺言書の確認|ステップ1
被相続人が亡くなり、遺産相続の手続きが開始されたら、まずは遺言書の確認を行いましょう。
もし遺言書があれば、その遺言書の指定通りに相続手続きを進めます。
遺言書がなければ、相続人同士で遺産の分け方を決めなければなりません。
相続手続きの進め方を決定するためにも、遺産の有無は相続開始後速やかに確認してください。
そして遺言書にも種類が存在します。
それぞれの遺言書の種類ごとの特徴は次のとおりです。
- 公正証書遺言:検認不要なので相続手続きを進める
- 自筆証書遺言・秘密証書遺言:裁判所に検認手続きを申し立てる
あわせて読みたい>>遺言書の検認申し立てをしないとどうなる?罰則や注意点、手続き方法を行政書士が解説!
合わせて読みたい:遺言検索とは?遺言書の探し方と遺言検索システムについて行政書士が解説
相続人の調査|ステップ2
遺産分割手続きで遺言書が無い場合は、相続人調査で法定相続人を特定し、遺産分割協議を行う必要があります。面識のない相続人がいたとしても、遺産分割協議は相続人全員で行う必要があるため、連絡が必要です。
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本をすべて取り寄せ、相続人を特定しましょう。特定できたら相続関係図を作ると、その後の手続きがわかりやすくなります。
あわせて読みたい>>相続人全員の戸籍謄本はどうやって集める?注意点やコツを行政書士が解説!
相続人の特定は、思った以上に大変かもしれません。横浜市の長岡行政書士事務所では、相続人も承っておりますので、お気軽にご相談ください。
相続財産調査|ステップ3
相続人調査と並行して、被相続人が遺した財産の調査を行います。プラス・マイナスの財産を問わずに調査を行い、遺された財産の総額を算出します。
プラスの財産としては、次のような例が挙げられます。
- 現金・預貯金
- 不動産・借地権
- 骨とう品・貴金属類
- ゴルフ会員権
- 株式・投資信託
- 著作権
一般的に資産だとみなされるものは「プラスの財産」です。
マイナスの財産は「債務・義務」などが挙げられます。代表例は次のとおりです。
- 借金(消費者金融などからの借入など)
- 住宅ローン・自動車ローン
- クレジットカードで未払いとなっているもの
- 買掛金
- 未払医療費・未払家賃
- 滞納税
- 保証債務
なお、相続発生後に遺族が受け取る金銭だとしても、相続財産とはされないものもあります。相続財産に含まれない金銭の代表例は次のとおりです。
- 生命保険金
- 死亡退職金
- 遺産から発生する収益
- 祭祀財産、葬式費用、香典
これらすべてを調査することは、非常に大変な作業です。この財産調査も横浜市の長岡行政書士事務所では承っておりますので、お気軽にご相談ください。
関連記事:相続財産の調べ方とは?遺産の探し方や注意点を行政書士が解説!
なお、相続税が関係する場合、相続財産の特定においては贈与の有無も調べる必要があります。贈与は今まで被相続人の死亡日以前3年以内に行われたものが対象でしたが、税制改革により「7年間」に変更されます。(2024年1月1日以降)
長岡行政書士事務所では、信頼できる税理士事務所を紹介することも可能です。
遺産分割協議・遺産分割協議書の作成|ステップ4
被相続人が遺した財産の総額が特定できたら、相続人間で遺産分割協議を行います。遺産分割協議を終えたら、遺産分割協議書を作成します。話し合いによる遺産分割が上手く進まない場合は、裁判所に対して調停、審判を検討します。
合わせて読みたい:
遺産分割調停とは|相続時に知っておきたい手続きの注意点について解説!
遺産分割手続き完了|ステップ5
遺産分割協議が相続人全員の同意でまとめられ、遺産分割協議書の作成も終わったら、財産の分配へ進みます。不動産がある場合は相続登記を要するため、速やかに手続きを進めましょう。
もし相続財産の中に不動産がある場合は相続登記を要するため、速やかに手続きを進めましょう。
必要に応じて発生する相続手続き
遺産相続の手続きには、必要に応じて進める手続きもあります。手続きによっては期限があるため注意しながら進めましょう。詳しくは以下です。
- 相続放棄・限定承認
- 相続登記
- 相続税申告
相続放棄・限定承認
被相続人が遺した財産は一切いらない、借金が多くて相続を放棄せざるを得ない、
その場合には、相続放棄の手続きを裁判所に対して申立てする必要があります。相続放棄は「相続の開始を知った日から3か月以内」です。
限定承認とは、相続するプラスの財産の範囲内で、債務を承継する方法です。限定承認も相続放棄と同様に、「相続の開始を知った日から3か月以内」に行います。
関連記事:遺産から葬儀費用を払うと相続放棄できない?法定単純承認とみなされる行為を行政書士が解説!
相続登記
不動産を相続した場合は、相続登記をしなければなりません。
相続登記は、2024年4月1日以降「所有権の取得を知った日から3年以内」に行う必要があります。(※2)
不動産を相続により取得したら、期限内に登記手続きを行いましょう。
関連記事:不動産はどのように相続する?遺産相続手続き時の注意点とは
参考URL 法務省 不動産を相続した方へ ~相続登記・遺産分割を進めましょう~
相続税申告
相続税の納付が必要な場合には、相続税申告を「相続の開始を知った日の翌日から10か月以内」に行いましょう。納付が送れると延滞税などが発生するため注意が必要です。
関連記事:相続税申告はどうすればいい?手続き方法や期限・税率を解説!【税理士監修】
財産が無かったら遺産相続手続きは不要?
財産が無かったら遺産相続手続きは不要だと思うかもしれません。
しかし、相続財産に含まれるものは、預貯金や有価証券などのプラスの財産だけではありません。車のローンや消費者金融からの借入など、マイナスの財産も含みます。
しっかりとマイナスの財産も含めて調査をしなければ、相続放棄ができなくなり、相続人が債務を承継してしまう可能性があります。必ず「相続財産の調査」などを怠らないようにしましょう。
合わせて読みたい:遺産相続における遺産の範囲とは?知っておきたい注意点も行政書士が紹介
行政書士に相談できる相続手続き
遺産相続の流れや手続きは複雑なケースも多く、専門家に相談をすることがおすすめです。相続のパートナーとしておなじみの行政書士なら、以下のケースに対応しています。
- 相続人調査
- 相続財産調査
- 遺産分割協議書の作成
- 遺言書の作成
- 銀行などでの相続手続き
相続人調査
戸籍情報が複雑だと、相続人調査に時間がかかることがあります。
行政書士に依頼すると、戸籍謄本の取り寄せなど、事務負担を丸ごとおまかせいただけます。
相続財産調査
相続財産の調査方法も複雑な時があります。金融機関への調査だけではなく、不動産も特定していく必要があります。
「家族がどのような財産を持っていたのかわからない」と不安を感じたら、まずはお気軽に横浜市の長岡行政書士へご相談ください。
遺産分割協議書の作成
相続人が話し合ったあとに作成する「遺産分割協議書」についても、行政書士が作成できます。
銀行などでの相続手続き
銀行などでの相続手続きについても、行政書士へお任せいただけます。
遺言書の作成
遺産相続の手続きは、時に相続人にとって重い負担となります。遺される家族には、なるべく円満に相続してほしいと感じたら、生前から相続対策を進めることがおすすめです。行政書士なら、遺言書の作成をサポートできます。
行政書士以外の専門家に依頼する業務
相続手続きでは、行政書士以外の専門家に依頼する業務も発生します。
たとえば相続税関係は税理士へ、相続登記関係は司法書士へ依頼しなければなりません。
これら専門家をそれぞれ自分で手配するとなると、想像以上に労力が必要です。
横浜市の長岡行政書士に相続手続きをご依頼いただいた場合は、私たちの事務所で取り扱えない分野の手続について、提携している弁護士、税理士、司法書士、社会保険労務士、土地家屋調査士等をこちらの責任で手配いたしますのでご安心ください。
遺産相続手続きは行政書士へ依頼できる
今回の記事では、遺産相続の流れについて詳しく解説しました。相続の手続きは必要に応じて相続放棄や相続税の申告など、期限があるものも多いためご注意ください。
遺産相続の手続きへの疑問、相続に向けて遺言書を活用した生前対策を始めたいなど、相続全般に関するご質問は、お気軽に横浜市の長岡行政書士事務所におまかせください。とことん誠実に、1つ一つのお悩みにしっかりと寄り添います。初回相談は無料です。