「大切な母が亡くなった。これから遺産相続の手続きが必要だけど、どうすればいい?」
「遺産相続が開始されたら、どのような流れで進むのか知りたい。」
「近い将来相続があるかも。相続は開始されたらどうしたらいい?」
遺産相続の手続きは、大切なご家族が亡くなられた時から開始されます。そこで、「今回の記事では遺産相続の流れについて、相続の発生から手続きの完了までを詳しく解説します。ぜひご一読ください。
相続の開始とは|相続の開始を知った日との違い
大切なご家族が亡くなられたら、相続が開始されます。相続が開始されると、さまざまな手続きを行う必要があります。そこで、この章では「遺産相続手続きの開始」について、開始日や手続きの概要を詳しく紹介します。
相続の開始は「被相続人が亡くなった日」から
遺産相続の手続きは、相続開始日から始まります。相続開始日は「被相続人が亡くなった日」です。ただし、失踪による死亡の場合は、普通失踪で生死不明から7年以上の経過が相続開始日となり、特別失踪(天災等による行方不明)なら危難が去った日(※1)が相続開始日となります。
(※1)危難が去った日とは
天災等に遭遇し、行方不明にあった日を指す。たとえば、洪水で行方不明になった場合は洪水発生日に亡くなられている可能性が高いため、災害で被害にあった日を、危難が去った日とみなします。
相続の開始を知った日とは
相続手続きの中では、「相続の開始を知った日」というキーワードも登場します。この言葉には、どのような意味があるのでしょうか。相続の開始を知った日、とは遺産相続に関する手続きの起算日となる考え方です。以下のように整理しましょう。
- 相続開始日は、被相続人が亡くなった日
- 相続の開始を知った日は、相続人が相続手続きを進める上で起算日
なぜこのように分かれているのか、というと被相続人と疎遠だった相続人や、海外に住んでいる相続人などは、被相続人が亡くなったことを知らないまま月日が経過していることがあるためです。
そこで、遺産相続手続きを相続人が進める際には、「相続の開始を知った日」を手続きの起算日とするのです。
期限のある遺産相続手続きの起算日を、「被相続人が亡くなった日」にしてしまうと、被相続人の死亡を知らなかった相続人は手続きができないままとなってしまいます。
遺産相続の流れとは|手続きの流れと概要
遺産相続に関する手続きは、どのような流れで進行するのでしょうか。この章では遺産相続の手続きの必要性も交えながら詳しく解説します。
遺言書の確認|ステップ1
被相続人が亡くなり、遺産相続の手続きが開始されたら、まずは遺言書の確認を行いましょう。相続開始後速やかに確認してください。遺言書がある場合は、以下の手続きが必要です。
- 自筆遺言証書は裁判所に検認の手続き要
- 公正遺言証書は検認不要、財産の分配を準備
- 秘密遺言証書は裁判所に検認の手続き要
合わせて読みたい:遺言検索とは?遺言書の探し方と遺言検索システムについて行政書士が解説
相続人の調査|ステップ2
遺産分割手続きで遺言書が無い場合は、相続人調査で法定相続人を特定し、遺産分割協議を行う必要があります。面識のない相続人がいたとしても、遺産分割協議は相続人全員で行う必要があるため、連絡が必要です。
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本をすべて取り寄せ、相続人を特定しましょう。特定できたら相続関係図を作ると、その後の手続きがわかりやすくなります。
相続財産調査|ステップ3
相続人調査と並行して、被相続人が遺した財産の調査を行います。プラス・マイナスの財産を問わずに調査を行い、遺された財産の総額を算出します。
※相続税との関係では・・・
なお、相続財産の特定には贈与の有無も調べる必要があります。贈与は今まで被相続人の死亡日以前3年以内に行われたものが対象でしたが、税制改革により「7年間」に変更されます。(2024年1月1日以降)
遺産分割協議と遺産分割協議書の作成|ステップ4
被相続人が遺した財産の総額が特定できたら、相続人間で遺産分割協議を行います。遺産分割協議を終えたら、遺産分割協議書を作成します。話し合いによる遺産分割が上手く進まない場合は、裁判所に対して調停、審判を検討します。
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遺産分割調停とは|相続時に知っておきたい手続きの注意点について解説!
遺産分割手続き完了|ステップ5
遺産分割協議が相続人全員の同意でまとめられ、遺産分割協議書の作成も終わったら、財産の分配へ進みます。不動産がある場合は相続登記を要するため、速やかに手続きを進めましょう。
財産が無かったら遺産相続手続きは不要?
遺産相続の手続きは、被相続人に見るべき財産が無かったら行う必要はないでしょうか。相続財産に含まれるものは、預貯金や有価証券などのプラスの財産だけではありません。車のローンや消費者金融からの借入など、マイナスの財産も含みます。
しっかりとマイナスの財産も含めて調査をしなければ、相続放棄ができなくなり、相続人が債務を承継してしまう可能性があります。必ず「相続財産の調査」などを怠らないようにしましょう。
合わせて読みたい:遺産相続における遺産の範囲とは?知っておきたい注意点も行政書士が紹介
必要に応じて進める遺産相続の手続きとは
遺産相続の手続きには、必要に応じて進める手続きもあります。手続きによっては期限があるため注意しながら進めましょう。詳しくは以下です。
相続放棄・限定承認
被相続人が遺した財産は一切いらない、借金が多くて相続を放棄せざるを得ない、
その場合には、相続放棄の手続きを裁判所に対して申立てする必要があります。相続放棄は「相続の開始を知った日から3か月以内」です。
限定承認とは、相続するプラスの財産の範囲内で、債務を承継する方法です。限定承認も相続放棄と同様に、「相続の開始を知った日から3か月以内」に行います。
相続税の納付が必要な場合には、相続税申告を「相続の開始を知った日の翌日から10か月以内」に行いましょう。納付が送れると延滞税などが発生するため注意が必要です。
相続登記
相続登記は、2024年4月1日以降「所有権の取得を知った日から3年以内」に行う必要があります。(※2)
不動産を相続により取得したら、期限内に登記手続きを行いましょう。
参考URL 法務省 不動産を相続した方へ ~相続登記・遺産分割を進めましょう~
相続手続きの一覧図
上記で解説した相続手続きの一覧図は以下です。注意点もあわせてご一読ください。
手続きの期限 | 注意点 | |
---|---|---|
相続放棄 | 相続の開始を知った日から 3か月以内 | 手続きをしないままだと債務を承継する。 期限に遅れそうな場合は裁判所へ期間の伸長の申立て必要 |
限定承認 | 相続の開始を知った日から 3か月以内 | 相続人全員で申立てが必要 |
相続税の申告・納付 | 相続の開始を知った日の 翌日から 10か月以内 | 遅れると延滞税などあり。適用できなくなる特例もある。 |
相続登記 | 所有権の取得を 知った日から 3年以内 | 遅れると過料の対象 |
相続は誰かに相談するべき?こんな時は行政書士へ
遺産相続の流れや手続きは複雑なケースも多く、専門家に相談をすることがおすすめです。相続のパートナーとしておなじみの行政書士なら、以下のケースに対応しています。
相続人の調査を依頼したい
相続人調査は複雑な場合があり、時間がかかることがあります。行政書士に依頼すると、戸籍謄本の取り寄せなど、事務負担を丸ごとおまかせいただけます。
相続財産の調査方法が分からない
相続財産の調査方法も複雑な時があります。金融機関への調査だけではなく、不動産も特定していく必要があります。「家族がどのような財産を持っていたのかわからない」と不安を感じたら、まずはお気軽に行政書士へご相談ください。
生前から相続を見据えて相談したい
遺産相続の手続きは、時に相続人にとって重い負担となります。遺される家族には、なるべく円満に相続してほしいと感じたら、生前から相続対策を進めることがおすすめです。行政書士なら、遺言書の作成をサポートできます。
遺産相続の悩みや、生前からの相続対策は安心の行政書士へ
今回の記事では、遺産相続の流れについて詳しく解説しました。相続の手続きは必要に応じて相続放棄や相続税の申告など、期限があるものも多いためご注意ください。
遺産相続の手続きへの疑問、相続に向けて遺言書を活用した生前対策を始めたいなど、相続全般に関するご質問は、お気軽に長岡行政書士事務所におまかせください。とことん誠実に、1つ一つのお悩みにしっかりと寄り添います。